高野秀行『謎のアジア納豆』
『謎のアジア納豆 そして帰ってきた<日本納豆>』(高野秀行:著 新潮社:刊 Kindle版)
読了。「辺境ライター」、高野秀行さんのアジアにおける納豆についての見聞記です。
簡単に感想など。
納豆。不思議な食べ物だと思います。あたしは西の方の故郷にいるころ、納豆が食べられませんでした。しかし上京してしばらくたったある日、納豆を食べる仲間の様子を見て、自分でもちょっと興味を持って、スーパーで納豆を買ってみました。そしてそれまで食べられなかった納豆を食べられました。そしてそのことに自分で驚きました。食べ物を食べられる・食べられないってのはその土地の空気にもよるのかなと思いました。いや、貧乏暮らしでは納豆が食べられるか食べられないかはかなりQOLに関わってくるとは思いますが。インスタントラーメンより飯に納豆かけて食う方がコストは同じくらいではるかに体に良いでしょうし。
というわけで、納豆ってのは自分の中ではちょっと不思議な食べ物にカテゴライズされているのだけど。
そして、納豆ってのは日本独自の食べ物だと思っていました。そう思っている人は多いと思うのだけど。昔、韓国の人に「納豆食べられるんですか。すごいですね」って言ってしまったことがあります。本書では詳しくは紹介されてないですが、韓国にも納豆はあるようで(赤面)。
納豆を日本独自の食べ物と思い込みがちなのは「中華」に納豆がないせいかなと思います。日本でポピュラーな食材で、中華に似たような食材がないなら、それは日本独自な食材ではないかと思いこんじゃうんじゃないかと。
ただ、本書によると中国にも納豆はあるようです。ただ、メインストリームの食材ではなくて、「辺境」の食材とか。そう、本書で高野さんは納豆を「辺境食」と定義づけていらっしゃいます。
さて、本書の目次ですが。
プロローグ 日本は納豆後進国なのか?
第一章 納豆は外国のソウルフードだった!? チェンマイ/タイ
第二章 納豆とは何か
第三章 山のニューヨークの味噌納豆 チェントゥン/ミャンマー
第四章 火花を散らす納豆ナショナリズム タウンジー/ミャンマー
第五章 幻の竹納豆を追え! ミッチーナ/ミャンマー
第六章 アジア納豆は日本の納豆と同じなのか、ちがうのか
第七章 日本で『アジア納豆』はできるのか 長野県飯田市
第八章 女王陛下の納豆護衛隊 パッタリ/ネパール
第九章 日本納豆の起源を探る 秋田県南部
第十章 元・首狩り族の納豆汁 ナガ山地/ミャンマー
第十一章 味噌民族納豆民族 中国湖南省
第十二章 謎の雪納豆 岩手県西和賀町
第十三章 納豆の起源
エピローグ 手前納豆を超えて
謝辞
参考文献
となっています。アジアの納豆事情だけではなく、日本国内も取材されています。
そして納豆に関する高野さんの考察と高野さんによる実証実験も紹介されています。
紙版の方は分からないのですが、Kindle版には口絵にカラー写真もたくさん収められていて楽しいです。
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