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2023/12/21

映画『窓ぎわのトットちゃん』

アニメーション映画『窓ぎわのトットちゃん』を観てきました。ツイッターの私のタイムラインで絶賛だったので。
原作は大ベストセラーですね。改めて調べると日本で一番売れた本とか。関連本もたくさん出てたと記憶しています。ただもう40年くらい前の本だから、当時の記憶がある方も50代以上かしら?私は原作本も関連本も読んではいないのですが。「原作未読組」です。
映画化は今回が初になるのかな?あれだけのベストセラーだから映画化の企画も何度もあったと思いますが、今回やっと映画化になったということはかなりのリキが入っているのではと思います。

本作の私なりの感想を簡単に書いてみます。
(以下、ネタバレを気にせずに書いていきますのでご注意)

まぁ、私は原作未読組ですし、黒柳徹子さんのことも通り一遍のことしか存じ上げません。初めての出会いは『サンダーバード』のレディ・ペネロープ役だと思います。そして黒柳徹子さんと久米宏さんが司会を務めた『ザ・ベスト・テン』は楽しみに見てて、『徹子の部屋』も時々見てた。その程度です。まぁ、あたしの中では黒柳徹子さんといえば「永遠のレディ・ペネロープ」ですが。本作を拝見して黒柳徹子さんもまたレディ・ペネロープと同じ上流階級の方だと知りました。だから適役だったのかな?

原作未読組なので本作がどの程度原作をなぞっているかはよく分からないのですが。本作では、授業を妨害するというので当時の普通の学校を追い出された黒柳徹子さんが自由でユニークな校風の「トモエ学園」に入学してからのおはなしを、小児麻痺の後遺症で体の不自由なクラスメイトの男の子との交流を軸に描いた作品でした。
物語の始まりは昭和15年です。中国大陸で日本は戦っていましたし、太平洋戦争前夜。戦雲が濃くなっていった時代。そして昭和20年、学園は解散し、黒柳さん一家が青森に疎開するまでが描かれていました。

Twitterのタイムラインの評判では、本作にはたくさんの語り口があると指摘されていました。
私もそう感じました。

黒柳徹子さん。今なら発達障害とかそう呼ばれるタイプの人だったのでしょうか(何もわかってない私がそういう専門用語を軽々に使うべきではないとも思いますが)。『窓ぎわのトットちゃん』刊行当時と現代ではそれに対するスタンスもだいぶ変化してるとは思います。原作が出たころよりは発達障害に対する理解と受容もだいぶ進んでいるのではと思うのですが。

トモエ学園、よい場所だと思いました。しかしTwitterで指摘があったのですが、トモエ学園に行けたのは当時の上流階級の人間だけではなかったかと。戦争が始まって、普通の学校に通う子どもたちがトモエ学園の生徒をからかいに来るシーンがありました。「ひどい奴らだな」思うと当時に、トモエ学園の生徒たちのカラフルで上等な身なりと、からかいに来る生徒たちの粗末な身なりの違いに気がついてハッとしました。トモエ学園は私学だったと思いますから、学費も高かったのではと思います。少人数制だしね。少人数制だからあれだけ自由な教育もできたと。やっぱりあのやり方はすべての公立学校が取り入れられるものではないんだろうなと思いました。

あたしはどうかな?むしろトットちゃんに迷惑を感じる側の人間だろうと思います。冒頭の普通の学校の先生みたいにね。そして、たぶん、トモエ学園みたいなところに通えたら良かったなと内心思いながらトモエ学園をからかいに行くタイプだと思います。

まぁほんと、語り口はたくさんある映画だと思います。ここで書けるのもそのうちのわずか、それも拙いレベルでしかないのですが。

「これって場合によっちゃ『児童ポルノ」扱いされるのでは?」ってシーンもありましたし、今は『忖度』(なんに対しての?)で割愛されやすい大人たちの喫煙シーンもバンバン出てきます。それって「安っぽい『忖度』はしないよ」って制作サイドの意思表明だと感じました。そして描ききった(という書き方は傲慢に過ぎますが)と思います。それが記録的ヒット作なのに40年間映画化されなかった本作に対峙する作り手の『覚悟」だったのではと思います(なんかめちゃくちゃ偉そうな書き方で申し訳ないのですが)。

しかしそのトモエ学園もやがて戦火に巻き込まれ。そしてそれらすべてを奪っていった戦争。戦争がなかったらどうなっていたのかなぁとも思いました。
あれだけ勇ましく兵士として送り出された人々も上の方の思いつきレベルのクソみたいな作戦であたら命を落としていったのだろうし。

映像的な部分では、現実と幻想がシームレスにつながっていく演出が素敵でした。
あと(ジャイアント)パンダ。私はパンダを知ったのは日中国交正常化で上野にパンダがやってくるってのがきっかけなんですが。戦前からパンダは知られていたのかしら?劇中何度かパンダが出てきます。そういえば黒柳徹子さんといえばパンダですね。そのころからパンダのことをご存じだったのかしら。

『窓きわのトットちゃん」、面白かったです。うまく書けないのですが、ほんとうに面白くて考えさせられる要素がたくさんありました。

おススメです。

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