2017年の寺山修司忌とイメージフォーラムフェスティバル
今年も5月4日の寺山修司の御命日に、高尾霊園の寺山修司のお墓と3年前の4月末に亡くなられた九條今日子さんのお墓にお参りしてきました。
寺山修司忌はお天気のいいことが多いのですが、今年もいいお天気でした。暑いくらいの陽気。だいたい毎年、上着を着ていこうかどうしようか迷って、着ていって、そして現地で汗まみれになって着てきたのを後悔するパターンですな。
先日、萩原朔美さんのトークショーで教わった、「定点観測」ということ。十数年寺山修司忌にお参りしているので、いくつかの変化もまた、気がつきます。
高尾駅のツバメが激減しているように見られます。昔はツバメの鳴き声がうるさいぐらいでしたが。今はたまにちょぼちょぼくらい。ツバメの餌やりはいくら見ても見飽きないのですが、それももう目にすることもありません。ツバメの越冬場所は中国南部なのでしょうか。いまは中国も経済大躍進で乱開発されて、ツバメの居場所はどんどん減っているのでしょうか。それとも地球温暖化でツバメの子育てシーズンがずれ込んでいるのかしら。
高尾霊園入り口には休憩所があって、いつもそこでひと休みするのですが。ふと気がつくと、時節柄か、喫煙室がなくなって更衣室になってました。(屋外の喫煙コーナーはまだあります)
あの喫煙室で九條さんが煙草をのんでいらした様子、まだ憶えています。そして私も煙草をのまなくなってしまって…。
高尾霊園の食堂(安下処というそうです)でお昼ご飯を食べて帰宅。
翌5日は渋谷のイメージフォーラムフェスティバルへ。かわなかのぶひろ先生の新作を拝見しに。
かわなか先生はもう解散してしまったのですが、ある会の仲間でいらっしゃいました。実験映画・映像作品の世界を教えてくれた先生です。そしてまたかわなか先生も寺山修司とゆかりのある方だと後に知って。
毎年イメージフォーラムフェスティバルにかかる先生の新作を拝見するのも楽しみです。
今回かわなか先生の新作はDプログラムの中の一作として公開されました。
Dプログラムは
『むかしの山』(辻直之/16ミリ/3分/2017)
『確かな気配』(浅尾鷹哉/デジタル/10分/2017)
『Hydrangea』(狩野志歩/デジタル/12分/2016)
『21日を見つけに』(池端規恵子/デジタル/13分/2017)
『おもかげたゆた』(大寳ひとみ/デジタル/9分/2016)
『時の繪ふたたび』(かわなかのぶひろ/デジタル/25分/2017)
『むかしの山』。ドローイングアニメーションです。辻さんのお名前はどこかで伺ったことが…、と思ってたら、かわなか先生の上映会、「映像の地下水脈」のチラシのイラストを描いていらっしゃる方でした。
インドの古い民話だそうですが、山に羽根が生えて飛んでいって、ある村に降りると。降りるときの衝撃で民家が壊されて、人々が困ってるところに、神様がやってきて山を叱る、というお話でした。それが辻さんのほのぼのととぼけたドローイングアニメーションで。面白かったです。他にも見たいなぁと。
『確かな気配』。ゲイのカップル。パートナーは心を少々病んでいて…。というお話を一人称視点で、イメージ的に構成した作品。
一人称視点で、当人の姿はスクリーンに現れません。語りだけ。ふと気がついたら、この語りを女性の声にしたら(「俺」とか最低限の台詞の変更は必要でしょうが)、そのまんまストレートなカップルの話になるな、それは(変な言い方だけど)面白いなぁと思いました。
『Hydrangea』。ぼやけた、緑の風景で構成された抽象的な作品です。いちばん実験映画的といえば実験映画的といえる作品かと。緑の風景。公園でピントを固定させたカメラで撮ったそうで、いっしゅんピントが合ったりします。植物の葉とか。
『21日を見つけに』。これはエッセイというか詩というか、「論」な部分もある作品です。アルバムには21日の写真だけがない…。上映後の作者さんのご挨拶で、作者さんのご両親がビデオをたくさん取っていて、それをモチーフにできたとおっしゃっていました。写真も動画もスマートフォンなんかの普及もあって、たくさん撮られる時代になりましたから、そういう素材を使った映像作品もこれから増えていくのでしょうね。
『おもかげたゆた』。ある女性への「語りかけ」でつづられるおはなし。プログラムによると母親のようですが。動画、写真、イラスト。そして実景の中の奇妙なアニメーション、なんていえばいいのかな、生きている鏡餅みたいな。そういうモチーフで構成された作品。そして語りかけ。終盤、どうもその方は…、とほのめかされて。
そしてトリが『時の繪ふたたび』でした。かわなか先生にはミャンマー旅行をモチーフにした『時の繪』という作品があるのですがいくつかある「~の繪」シリーズの一作。ミャンマーの田園風景、市場の風景をモチーフにした作品。かつての、かわなか先生幼少時の、「貧しいけれど豊かな」かつての日本の姿を思い起こさせると。はにかみながら、屈託なく、笑顔を向ける人々。
2016年、前年に『時の繪』が上映されて好評だったミャンマーの映画祭にかわなか先生が呼ばれて参加したときのオープニングパーティーの映像とオリジナルの『時の繪』当時の映像で構成された作品でした。
97年の『時の繪』当時、モニターを写る側に向けて撮影できるビデオカメラが出たそうで、その機能を活かして『時の繪』は撮られたそうです。モニターに移る自分の姿に驚き、喜び、はにかんでみせる人々。そして去年の映画祭のオープニングパーティーの映像もそうやって撮ったそうです。あれはすごい発明だったのだなぁと。そして今はセルフィーおおはやりですね。
本作は映画祭の様子まででまだ序盤だそうで、続きを作る予定もあるそうです。楽しみにしています。
今回、イメージフォーラムフェスティバルは上の階でやってた萩原朔美さんの特集上映と、このDプログラムだけしか見ませんでした。面白そう、見たいなって思ってたのも他にあったのですが。やっぱり動けなくなっていってるのかなぁと。
そして上映終了後、横浜に向かいました。
(to be continued.)
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