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2016/05/07

イメージフォーラムフェスティバル2016Cプログラム

こちらも連休中のおはなし。

5月5日は渋谷のイメージフォーラムでイメージフォーラムフェスティバルCプログラムを観てきました。かわなかのぶひろ先生の新作、そして寺山修司モチーフという、ちょう楽しみなプログラムでした。

腰の痛む体を引きずりながらヨタヨタとイメージフォーラムへ。やっぱり移動速度も落ちてるのか、いつもの時間と思って移動したら、開演ぎりぎりの到着でした。何とか無事に席も残ってました。

この回は開演前にイメージフォーラムフェスティバルの授賞式がありました。で、各ノミネート作品のワンカットが上映されたのですが。あ、見たかったな、惜しい事したなって思いました。
またフリーパス券を買って全プログラム制覇!とかやってみたいものです。
ノミネートされた皆様、受賞された皆様、おめでとうございます。

そしていよいよ かわなかのぶひろ先生の新作です。タイトルは『断章-寺山修司を揺り起こせ』だそうです。漢字二文字はディック・フランシスかよっ!、命令口調はクライブ・カッスラーかよっ!と思わず突っ込みを入れそうになりましたが…。90分、たっぷりの作品です。(でももっとたくさん見たかった!)

ほんとにかわなか先生の寺山修司関連映像のちょうお蔵だしといった作品でした。

寺山修司死去を伝える映像、寺山修司の実験映画の紹介。

そして、寺山修司没後になりますが、かわなか先生が横浜市美術館で寺山修司についての講演を依頼されたとき、それではとJ・A・シーザーさんにお願いして演劇実験室◎万有引力さんの小公演を替わりにやった時の映像。『寺山修司のエロチックな午後』というタイトルだったそうです。

客入れ時にもうロビーをうごめいている、頭を包帯でぐるぐる巻きにした役者さん。
天井桟敷もそうなのでしょうが、万有引力さんも、そのお芝居はパーツの構成って側面があります。そのいろいろなパーツの紹介って感じかな?

冒頭、劇場へやってくるセーラー服の少女のくだりは『青ひげ公の城』かしら。それからもだえるテープレコーダー、犬に変身するの。
そして万有の真骨頂である真っ暗闇の中でのお芝居。カチャカチャいう音が響いていたのは、先日の『奴婢訓』でもあった、金属製のボウルを長い箸でカチャカチャ鳴らす、奴婢たちの食事シーンが元でしょうか。

寺山演劇のエッセンス的な公演だったみたいです。これはほんと、生で見たかったものです。私が万有引力の公演に行き始めたのは、前世紀末からなんですが、「あ、あの方かしら?お若いなぁ」って方もしらっしゃいました。

それからかわなか先生と寺山修司の係わり合い。かわなか先生は当時は「アンダーグラウンド・シネマ」と呼んでいた実験映画の上映会をやっていらしたそうなのですが。場所に苦労されて。それで面識があった寺山修司に、当時渋谷にあった天井桟敷館を使わせてもらえないかとお願いしたところ、快く承諾してくれたそうです。

天井桟敷館を借りてアンダーグラウンド映画上映会は5年続き、それからかわなか先生は四谷三丁目にイメージフォーラムという実験映画の上映もやれる拠点を自前で持ち。だから、寺山修司がいなかったらイメージフォーラムもまたなかったと。

そして、寺山修司をめぐる人たちのお姿。

かわなか先生はふと気がつくとカメラを回していらっしゃるのですが。そうやって撮り溜めた膨大な映像をお蔵出ししてくれてます。寺山修司の法事に集まった関係者の方々のお姿。
トークショートなどでお見かけした、あ、あの方かなぁという方もいらして。
そして、超貴重だと思うのですが、寺山修司の納骨式の映像も。

寺山修司とその周囲の人々の記憶。映像とともに語られる、かわなか先生の思い出。
「歴史なんて嫌いだ。思い出が好きだ。」って、去年急逝された元・天井桟敷の昭和精吾さんの公演でよく聞いていて、好きな言葉なのですが。

映像を見ていて…、寺山修司って種をたくさんお播きになった方なのかなぁと、ふと気がつきました。寺山修司の事はよくわからないですが、もしお会いすることがもしあったら、どういう感じだったのかなぁって、今でもうまく想像できないのですが。たぶん、私の理解と想像を超えているかと。でも、寺山修司の遺されたものは、とても私の心のよりどころになってくれています。

そう。私自身は生寺山修司は見かけたありませんが、でも、寺山修司関連のトークショーや、万有引力公演で、たくさんの魅力的な方々をお見かけして。そう、寺山修司がお播きになった種の実りと思うのですが、とても素敵で。

自分の蒔いた種がきっと実っていくと、それは確信して、だからこそ病身をおして活動をお続けになったのかなぁと。その、種を蒔くことと、種を蒔いていく「大地」への信頼、オプティミズム。それが現れているのが寺山の晩年の詩、『懐かしのわが家』なのかなぁと。死を前にしているのに、あれだけ明るさや希望を感じさせてくれる詩。

上映終了後、かわなか先生のおはなしがありました。イメージフォーラムの大将、かわなか先生。でも、かわなか先生の作品がシアターイメージフォーラムのスクリーンに上映されたのは、これが初めてだったそうです。

ほんと、本作はちょうおススメ作だと思います。たくさんの人に見てほしいと思ってます。寺山修司ファン必見であると思います。たくさんの人たちに観る機会があったらと思います。

僭越ながら、そう思っております。

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