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2009/06/29

映像の地下水脈#13

土曜日は高円寺のMatching Moleさんにかわなかのぶひろ先生の実験映画上映会、『映像の地下水脈#13』を観てきました。

当日の上映作品は、
『Brikky』(清川玲奈/DV/9min45sec/2009)
『時の繪』(かわなかのぶひろ/DV/30min/1998)
『人である。~福岡フィルムメーカーズフィールド~』(かわなかのぶひろ/8ミリ&DV/40min/2009)
でした。

Matching Moleさんは物販もやってるのですが、Tシャツ類の販売も始めてました。どうやらレア物もあるようです。大友克洋の絵の入ったいい感じのやつで、私も着られるサイズがあったのでひとつ求めました。ほんと、好きな感じのTシャツとかあっても、デブ的に入るサイズがなかなかないのが辛いところです。
ちなみに万有引力のお芝居の物販で万有引力のTシャツ、LLサイズがあったのはとても嬉しかった思い出です。

さて、上映会は。

まず、若手ゲスト作品として清川玲奈さんの『Brikky』。
本作は今年のイメージフォーラム付属映像研究所卒業制作展でも拝見しています。
ちょっとかわいらしい感じのするタイトルですが。

セルフ・ドキュメンタリー系の作品になります。引きこもりの兄がモチーフ。
18歳から10年間、父の生家のある島に借家を借りて引きこもり生活を続けていた、と。
その兄を実家の大阪に引っ張り出してきて、アパートを借りて新生活を始めさせるというおはなしでした。

その、10年暮らした借家の荒れ果てた様。
両親の言葉。引きこもりをやめ、新生活を始めると兄に語らせる様子。

私も引きこもりに片足突っ込んだ経験がありますし、今でも引きこもりの素質じゅうぶんな私。(何もせずに暮らしていけるだけのお金があったら直ちに引きこもってしまうかも)
そして、ある事情もありまして。引きこもりが他人事じゃない私はとてもイタかったです。

その、10年暮らした借家の荒れ果てた様子。そう、内面の荒廃を写したような荒れ果てた様子。それはかつての私の部屋に似ていて(いや、今でもちょっとそうだけど)。

作者の玲奈さんはそういう兄の様子を心配している、思いやりのある方のようですけど。
(色々ややこしい思いが去来するのですが)、そういうところ、尊敬します。

お次がかわなか先生の旧作。『旅の繪』。かわなか先生がミャンマーを旅行された時の映像をモチーフにしています。その、貧しいけれど豊かな暮らしの様子が、かつての日本の、貧しいけれど豊かな時代を思い起こさせると。

市場に並ぶ、色とりどりの食材。子供たちのまっすぐな視線、笑顔。その、本当に、貧しいけれど豊かさを感じさせる様子。
そして今の日本の豊かだけど貧しい様子。「引きこもり」もまた、その豊かで貧しい時代の産物であろうかと思います。

そしてかわなか先生の新作が『人である。』これは、一昨年急逝された福岡フィルムメーカーズフィールドの福間良夫さんについての作品です。
かわなか先生が福間さんに最後にお会いしてから20日後に福間さんは急逝されたとか。

福岡フィルムメーカーズフィールドとは、福間さんたちが主宰された福岡の映像作家さんたちの集まりで、実験映画上映会なども精力的に主催されていたそうです。
かわなか先生が福岡に行くたびにお会いしてたとか。

私の故郷の方であります。しかし、もちろん故郷時代は、実験映画の世界すら知らなかったし、そういう方々がいらっしゃるなんてもちろん存じ上げませんでした。
こういう方たちが故郷にいらしたんだなという思い。そして、お会いする事もなかったのだなという思い、色々思うところができて。

ま、ほんと、故郷にどうしてもいたたまれなくなって故郷を出て。東京暮らしを始めて。
でもまだ東京に馴染んだともいえない暮らし。
そういうことをちょっと考えました。

Matching Moleさんでの映像の地下水脈はひと区切り、次回からは渋谷のイメージフォーラムでの開催になるそうです。Matching Moleさんは好きな場所になりましたし、近場で行きやすい場所だったのでちょっと残念であります。

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