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2008/03/24

イメージフォーラム卒展2

さて、23日日曜日のダブルヘッダー第1試合のほうのお話。
イメージフォーラム映像研究所2007年度卒業制作展のBプログラムを拝見してきました。
Bプログラムは映像コース。実写系といえばいいのかなぁ、実写でないのもアリですが。
以前はイメージフォーラム映像研究所には現在の映像コースにあたるものしかありませんでした。本科が1年と本科卒業生を対象にした専科が1年かな。いや、正直言ってシステム的な部分はあまり知らないのですが。それが数年前アニメーションコースというのができて。アニメーションはそっちのほうになったようです。ただ、実験映画、映像作品という世界は、実写とアニメのあわいのような作品もあるのですが、逆にそのあわい的なものが面白かったりするのですが。そういうのってどっちになるんだろう?

今回、映像コースはA~Dプログラムの4プログラムありました。20日にAプログラム、そして今日Bプログラムですから、半分しか見られません。今年はかぶっているライブとか御芝居とか出勤日とかあってなかなか見にいけなくて。ちょっと残念です。

さて、Bプログラムの作品は。

『ひかりの糸』(高野美奈子/ビデオ/14分)
失踪した父が残したギターを背負い、ひとりさすらう女の子。街中から荒野。それにかぶさるリーディング。リーディングにイメージがのっかているという感じ。
しかし、渡り鳥からスナフキンまで、ギターというのは孤独なイメージを背負っているものだなぁと改めて感じました。

『居住迷宮』(齋藤明日香/ビデオ/3分)
「SPACY」みたいな、幾何学的にグルングルン動くといえばいいのか、そんな感じの作品。マンションがモチーフです。「SPACY」のころはカメラワークで勝負する感じでしたが、今時ならデジタル処理で色々合成できますし、手間も少なくなってるでしょうが、でもやっぱり「どうやって作ったのだろう」と思わざるをえない作品でした。

『版ころがし』(松本巳佳/ビデオ/4分)
版木に彫られた耳、それから様々に展開していくという作品です。例えば本作とかもアニメーションの範疇にも入る作品ともいえると思うのですが。ここらへんの定義はどうなのかしら?

『トンネル』(黒岩信孝/ビデオ/7分)
日常に疲れ、トンネルの中に入っていく男。しかしトンネルの闇は怖くて。
私も日常に疲れていると思いますし、ぜんぶうっちゃってひっくり返したいと思っていますが、でも、それをやると怖くて不安でたまらなくなるだろうなぁと思います。だからかったるい日常を淡々と生きているのですが。

『中村三郎上等兵』(中村のり子/ビデオ/38分)
5年前に他界した祖父。祖母の元に届いた祖父の他界を悼む戦友の手紙、そこから始まって、兵隊時代の祖父の話を両親や親戚、元・戦友にインタビューして回るという作品。
セルフ・ドキュメンタリー系の作品になるのかしら。

女性の作ったセルフ・ドキュメンタリー作品だと、「男のサービスエリア」や「私が選んだ父」が印象に残っています。「男のサービスエリ」は自殺した父、「私が選んだ父」は失踪した父がモチーフになっています。
本作もまた、他界した祖父がモチーフ。つまり、不在となってしまった人物の姿を、その人物の周囲にいた人々にインタビューして回って浮き彫りにしようとする作品と呼べるかな?

お茶目入ったユーモアセンス、そして、底に流れる作者のあたたかいまなざし。それがいいです。完成度も高いと思いますし、テレビ放映とかしてもいいんじゃないかな、この作品は。

ところで、この作品は38分ですが。「男のサービスエリア」は41分、「私が選んだ父」は43分。40分前後の尺ってのは、ドキュメンタリーがちょうどまとまるくらいのいい時間なんでしょうか?30分でもなく、1時間でもなく。

『タイペイランドスケイプス』(中川千歳/ビデオ/3分)
昭和レトロ風に加工された台北の風景でしょうか。今の台湾とか中国の風景にかつての日本の姿を見る、ということ。公害まで真似されては困りますが…。
映像コラージュという感じの作品でした。レトロチックな色合いに加工された映像が、びりびりと切り貼りされていって。

という方向で、今年のイメージフォーラム卒展を見ました。
今年は全作品見られなかったのが残念ですが、秋ぐらいに卒展からの選抜展というのもあります。今年はそっちでもチェックしましょうかしら。

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