この週末はイメージフォーラム映像研究所2019年度卒業制作展を拝見してきました。
ここ数年は作品数の少なかったイメージフォーラム映像研究所の卒展ですが、今年はA~Hと全部で8プログラムもあります。
なにがあったのか事情は分からないのですが、とてもたくさんです。
今年も簡単な感想を書いてみます。ただ、ほんとわたしは、こういう映像作品の感想を書くほどのスキルは持ってない者ですけど。
見た順番に書いていきます。
なお、作品タイトル等はイメージフォーラムさんのサイトのものによります。変更された作品もあるみたいです。
Aプログラム
『Bael』(酒巻海成 / 8分 / 2020年)
音楽も良かったし、画作りも上手いと思います。スタイリッシュでした。
『Demenz』(白水浩 / 6分 / 2020年)
薄れゆく記憶をテーマにした作品、かしら。いや、まだお若いのに。あたしなんてひどいものですよぉ。にじみゆく映像。
『TSUKURIME』(Ayako Tejima / 11分 / 2020年)
自分の目の病気をモチーフにした作品。実は私も加齢と不摂生が原因で、目の具合がだいぶ悪くなってて。映像を見るのがちょっと苦痛で、だから今回の卒展も行こうかどうしようか悩んだのですが。でも、卒展に行って、この作品に出会えてよかったです。私もそうありたいと思います。
自身の目の病気をモチーフにした作品だと萩原朔美さんの『目の中の水』シリーズを思い出します。
目の病気で気づかされたことが一つあって、それは、「他の人の見えてる世界と私の見えてる世界は違う」ってこと。ちょっと考えたらわかるような事ですが。でもやっとそれを「理解」したような。
『30歳の旅』(Johan Chang / 55分 / 2020年)
作者さんが30歳を迎えるのを機に、作者さんの周りの人たちに30歳の頃はどうだったかって訊くインタビューとイメージ映像を組み合わせた作品です。作者さんは台湾の方らしく、インタビューの相手は台湾の方や日本の方のようです。まぁ、普通のサラリーマン的な人はいらっしゃらないようですが。
私は30歳のころ、どうだったかな?ぼんやりとサラリーマンをしていましたが。それは今も変わらないけど。
Gプログラム
『ASMRISM』’前田大介 / 10分 / 2020年)
靴フェチ作品、かなぁ。靴に細い紐を通してゴソゴソいう音をさせたり。
『動物園 I/Zoo Ⅰ』(立川清志楼 / 22分 / 2020年)
この方の作品は去年の卒展で『24minutes』という作品を拝見しています。動物園の檻の一角に向けられたまま、フィクストのカメラ。24分間、夕暮れの日が傾いている様子がかすかにわかるって作品です。
今回も動物園の檻をゆっくり移動していくショット。そこにいるであろう動物を写そうとせず、それと無関係に動いていくカメラの目線。
そしてラストは短く反復していく映像で妙な躍動感を出しています。
『TOKYO INCIDENTS』’坂本裕司 / 17分 / 2020年)
風景、しかし、音楽がINCIDENTS-何か起きそうな空気を醸し出していて。不思議な緊張感。
『Smoke』(ジョイス・ラム / 10分 / 2020年)
最初のシーンはBBQらしきものを楽しむ人々。じつはそれは「どんと焼き」の様子で。村の人々が協力して大きな山車を作り、それを曳いて行って火をつけます。どんと焼き。そしてそのどんと焼きの残り火でみんなで持ち寄った思い思いの食材を焼いて楽しむ、と。
楽しそうなお祭りで、そしてこの国にこういう風景があるのだなと感じいれさせてくれる作品でした。
Hプログラム
『意味をもつ前に』(寺島万智 / 8分 / 2020年)
もう世間一般的には8ミリ映画なんて消えてしまっていますが。イメージフォーラムの卒展では8ミリ作品が見られる事もあります。本作も8ミリ作品でした。フィルムとか現像とかどうしてるのかしら?と思うのですが。モノクローム作品です。
上映後のお話によると今回が初めての8ミリ作品だそうです。
『きりむすぶ』(花房慎也 / 90分 / 2020年)
作品紹介に「好きな人を10年間撮り続けました。そしてついに結婚しました」とあったのですが。作品を見てびっくり。以前の卒展でも作品を2本拝見した方です。
その2本では、惚れたあるアングラ劇団の女優さんがいて、彼女をモデルにして撮っていたと。でも、振られるのが怖くて告白はしなかったと。しかし結局は彼女には嫌がられてしまい、もうモデルもお断りになってしまっていると。そういうトホホな流れだったのですが。でも「ついに結婚しました」とあるので、結局はその方とうまく結婚できたのか?羨ましいなぁ、と思ったのですが。でも作品を拝見してるとそれは違うくて。
つかこういう人間関係、よくこなせるなと思いました。作者さんも、ご出演も皆さんも。これがほんとだったら。だったら私はそういう相手と友達付き合いできない、結婚もできない、逃げ出して独りでいるって思いました。孤独に耐える方がいいなぁって。
本作はその女優さんを撮り始めたころの映像が4:3で、それから16:9になって、そういうところにも時間の経過を感じさせます。
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