三角みづ紀『骨、家へかえる』

091106 『骨、家へかえる』(三角みづ紀:著 講談社:刊)
読了。
だいぶ前に買ってあったのですが、最近やっと読了しました。
新進気鋭の女性詩人、三角みづ紀さんの処女小説集です。
本書は講談社のBirthシリーズの1冊です。
Birthシリーズは若い才能たちのシリーズのようです。

表紙イラストが印象的ですね。硬虎さんとおっしゃる方のようですが。

三角みづ紀さんはちょっと不思議なご縁のある方で、映像作品とかライブとか拝見しています。書籍は一般出版社で刊行された詩集、『オウバアキル』『カナシヤル』『錯覚しなければ』と自伝エッセイ『幸せのカタチ』を読んでいます。ちょっとファン、くらいな方です。

本書には小説が2篇、『骨、家へかえる』と『美代子の満開の下』が収められています。
物語がずんずんと進むような感じじゃなくて、登場人物たちの心のひだが丁寧に描かれるというタッチの小説です。

ま、私の読み解きは三角みづ紀さんの意図、あるいは一般的な読解とずれているかもしれませんが、ま、世間と外れてるあたしだし、とりあえず私はこう読んだということで提示してみます。

(以下、ネタバレゾーンにつき)

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『バッド・モンキーズ』

091027 『バッド・モンキーズ』(マット・ラフ:著 横山啓明:訳 文藝春秋:刊)
読了。“冒険小説”と読んでいいかどうか解りませんが…。
日本冒険小説協会ブログで紹介されていたので読んでみました。
ちょっと名伏しがたい作品でありました。

ジェイン・シャーロット。女性。30代後半くらい?ちょいとパンキッシュな暮らしもそろそろ取り返しのつかないお年頃。彼女は職を転々としている無目的な暮らし、時にはドラッグに手を出し。
彼女は殺人事件を起こし、精神科医に精神鑑定を受けています。その彼女の語る物語が本作のメインストーリー。

彼女の口から語られる物語、それは驚くべきもの。実は彼女はある“組織”に属していると。その“組織”は矯正不能な極悪人を探し出し、殺す組織、そして彼女はその“組織”の処刑チーム「バッド・モンキーズ」の一員で。その行きがかりから殺人を犯してしまったと。

(以下ネタバレゾーンにつき)

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『遭難のしかた教えます』

『遭難のしかた教えます-安全登山のための辛口レクチャー』(丸山晴弘:著 山と渓谷社NEW YAMA BOOKS)
読了。新書です。
サブタイトルの通り、長野県で山岳遭難防止活動に携わっている著者が、著者が見聞した山岳遭難の実例と統計を引きつつ、遭難防止について辛口の解説した本であります。

本書は8月、白楽に惑星ムラリス公演を見に行った時に、白楽の古本屋さんで買いました。
並べられている書籍がほぼぜんぶハトロン紙で包まれている古本屋さんでしたが、本書はハトロン紙に包まれてなかったせいか、目にとまりました。で、刺激的なタイトル。おっと思って衝動買いしました。
店のおっちゃんはハーレーに跨ってるのが似合いそうな硬派な雰囲気の方でした。
さすが横浜と思いましたよ。白楽もちょっとおしゃれな空気が漂っていて。

山の世界、憧れます。もっと体と心の強さに自信があれば、登山を趣味としたいものです。
しかし私はデブ、ちょっと山に登れば息が上がります。高尾山で死ねます。
そして、心が弱い事も自覚しています。山道で心細くなればもう耐えられないかなと。パニックを起こして遭難するタイプじゃないかと。
そして協調性はないです。ひとりがいちばん気楽です。パーティーを組んで登山とかできないかと。
ま、どんなキャラタイプかとてっとり早く説明すれば、デズモンド・バグリィの大傑作冒険小説『高い砦』に出てくるピーボディみたいな奴でありますよ。

まぁ、そういう者がこういう本に手を出すのってどうよと思いますが。

本書の目次は、
まえがき
1章 遭難とはどういうことか
2章 人はなぜ遭難するのか
3章 助けたい遭難、助けたくない遭難
4章 遭難が周囲におよぼす迷惑
5章 年代別に見る遭難実例
6章 遭難データから分かること
7章 やっぱり山じゃ遭難したくない
8章 遭難者を救い出す
9章 遭難しないために
10章 ピンチから逃れる法

といった按配です。

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台風から転がって丸山健二のこと

台風、ですな。

押入れからむかしキャンプに行く時使っていたカグールという雨合羽を引っ張り出してきました。
膝丈ぐらいあるナイロンヤッケというか、前開きがなくて頭からかぶるレインコートというか、そんな感じの雨具です。
ほんらいはシュラフバッグと組み合わせてビバークにも使えるという、ハードな登山用の雨具らしいのですが。私はレインパンツがなくてもある程度は使える雨具として愛用してました。

ま、あたしは筋金入りの雨男で、キャンプに出かけるとたいてい雨が降りました。
ひどい時は渇水で給水制限中というのに、キャンプに出かけたとたん豪雨になって、給水制限が解除されたってこともあります。

しかし、カグールもだいぶ防水がヘタってきてます。もう処分時かしら?
米軍のゴアテックスパーカ(民生品でも可)が欲しいと思っているのですが、なかなか買えません。

いや、閑話休題。

しかし、私は普通の雨のときは憂鬱になるのですが、台風のときは気分が高揚します。
で、台風との時に思い出すのが丸山健二の短編小説『台風見物』なのですが。

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『B29撃墜記』

『B29撃墜記 夜戦「屠龍」撃墜王、樫出勇空戦記録』(樫出 勇:著 光人社NF文庫)
読了。
太平洋戦争中、双発戦闘機「屠龍」を駆り、米軍の「超空の要塞」B29を26機撃墜するという戦果を上げたB29撃墜王、柏出勇氏の手記であります。
氏の守備空域が故郷の方、という事で興味を持って読んでみました。後書きを入れても180ページない薄い本ということもありましたが、あっという間に読了しました。

屠龍という戦闘機。元・ミリオタのわたくしですから、ネットとかで情報を見たことがあります。Wikipediaによる屠龍(二式複座戦闘機)の紹介記事はこちら
37ミリ砲装備とか。しかし連続して弾が出る機関砲じゃなくて単発砲。そのスペックを見たとき、「単発砲で空中戦とかできるのかな?戦果上がるのかな」って思いました。

本書を読んでひっくり返りました。ほんとに単発砲で空中戦やってます。
B29を撃ち落してます。

戦法としては、100メートル以下の距離までB29に接近し(もちろんB29の対空機銃の嵐の中)、急所を狙って撃ち込む、というやり方だったようです。37ミリ砲でさえ、急所に命中させないと撃墜できなかったとか。
もうそれだけでそのガッツ、想像すらできません。しかも、そこまで近づくのですから、敵機との衝突回避もギリギリだったとか。
Wikipediaによると37ミリ砲の発射速度は30秒に一発、本書によると20秒に一発だそうです。近づきながら数発撃ち込むというやり方も取れません。しかも、携行弾数もわずか15発。

あと、双発戦闘機で有名な「斜銃」(陸軍では「上向き砲」と呼んでいたとか)、つまり、斜め上に向けて取り付けられた機関銃は取り付けられていたようですが、ほとんど使われなかったようです。13ミリとB29相手には威力不足だったのかもしれません。(後の型では20ミリ機関砲に変更されているようですが)
あと、後の型では37ミリ砲も機関砲化されるようですが、樫出氏はそういう新型に乗り換えることもなかったようです。本書で樫出氏は、単発式37ミリ砲のみでB29に向かっていったようです。

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C・ハイアセン『迷惑なんだけど?』

『迷惑なんだけど』(カール・ハイアセン:著 田村義進:訳 文春文庫)
読了。

たまたま入った本屋さんでお気に入りの作家の新作を見つけるのは嬉しいものです。
いや、まぁ、またここんとこ本を読まない状態が続いていたのですが、やっぱりそういう時はお気に入りの楽しい作風の作家の本でありますよ。

カール・ハイアセン、ユーモア冒険小説の作家です。ほんとここんとこそういう作風の作家が減っているような気がします。笑えてあとからじーんとさせられる冒険小説や探偵小説が少なくなってきたなぁと。ま、私のアンテナが錆びついてきているせいもあるのかもしれませんが。

私はそういうの好きです。ユーモアたっぷり、少々おちゃらけていて、でも、守るべきものは守る、そのためには闘う、血の熱い物語。
アニメでいえば『ルパンⅢ世』なんかそうだったし。数年前大好きだった『瀬戸の花嫁』もそうだったし。

さて、お話は。
(今回はネタバレに注意しつつ)

舞台はカール・ハイアセン作品のいつものごとくフロリダ。

ハニー・サンタナ。旦那とは離婚してシングルマザー。ひとり息子のフライとトレーラーハウスに暮らしています。鮮魚店で働いていたけど、そこの店主のルイス・パイジャックにセクハラされたのに反撃してクビになってしまったばかり。

ある夕食時、ハニーの家にセールス電話がかかってきます。そこで汚い言葉を吐かれたハニー。それが許せないハニーは、電話をかけてきた男、ボイド・シュリーブを突き止め、彼を不動産のプロモーションの無料の観光旅行に招待すると騙してフロリダに呼び寄せ、懲らしめようとします。

まんまとそれに引っかかったボイド・シュリーブ。彼は関係が冷えつつある不倫相手、ユージェニー・フォンダを連れてフロリダにやって来ます。
そして、ハニーはふたりを島巡りのカヤック旅行に連れ出します。どこかの島でお説教をしようと思って。

しかし…。

ボイドを追うボイドの妻が雇った私立探偵、ディーリー、事件を起こし島に身を潜めているインディアンと白人の混血青年、サミー・タイガーティール。ひょんなことから彼と出会い、同行する女子大生、ジリアン。
そして、ハニーの事を諦めきれずストーカーと化して彼女を追うルイス・パイジャック。
さらにはハニーの身を案じてハニーを追う、ハニーの元夫でフライの父親のペリー・スキナーと、彼と同行するフライ。

そういった面々も絡んできて。さて、いかがあいなりまするかというおはなしでした。

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『臨死!!江古田ちゃん』第4巻と『さよなら絶望先生』第十八集限定版

AMAZONから『臨死!!江古田ちゃん』(滝波ユカリ:著 講談社:刊)4巻と『さよなら絶望先生』(久米田康治:著 講談社:刊第十八週限定版が先日届きました。という訳で雑記など。
「絶望した!未読者には意味不明、既読者には意味無しな雑記に絶望した!!」となるでしょうけど。
ところで、『臨死!!江古田ちゃん』が好きな人は『さよなら絶望先生』も好きになると思うし、その逆もアリだと思うのだけど、どうかしら?両方とも自虐入りツッコミ漫画だし。

(以降、ちょっとネタバレゾーンにつき)

『臨死!!江古田ちゃん』第4巻。
月刊連載なのでだいたい年1巻弱ペースの刊行なんですが。その年に一度のお楽しみです。
江古田ちゃんは黒髪吊り目の梶芽衣子似なんだけど、今回の表紙はモロ梶芽衣子っぽい和服姿。ポン刀で切りまくってるのが大根というトホホ感が江古田ちゃんっぽいです。

カバーを外すと表紙にも漫画。赤ちゃんが出てきます。江古田ちゃんも第4巻、そろそろマンネリが気になる巻数、そうか、おねぃちゃんに赤ちゃんができる新展開かと思って読んだんですが、そういう話は出てきませんでした。あれれとちょっと思いました。

内容はいつも通りの江古田ちゃんの生活と意見といった感じでした。面白かったです。
特に新展開といったこともないですが。新要素といえば、犬を触らせてくれるカップル。じつは新興宗教の信者、江古田ちゃんは勧誘される怖れを抱きつつも、ペットを触らせてくれる魅力には抗えずたまにそのカップルの所に遊びに行くようです。

女性には猫派が多いみたいですが、江古田ちゃんは犬派というのがいいです。私も犬派だし。

今回も江古田ちゃんの「猛禽ちゃん」や世の中や、そして自分に対するツッコミ視点は健在、それがいいです。

今回も江古田ちゃんのちょうクールな名台詞を少し引用したいです。

(ネットで出会った男性にオフで会ってけど、つまんなくて。江古田ちゃんだからもちろんセックスはして、ひとこと)
「早く帰ってブレイド(相手のハンドルネーム)くんからのメール読みたい」
そういうのってよくあります。つうか私、オフで会うと「痩せ型の神経質そうな人だと思った」と言われるんですけど…

「しかし副産物すら得ていない…マッサラな御仁へ」
「意味深にほくそ笑むくらいの狼藉はお許し下さい!!」
そういえば江古田ちゃんはまだ24歳なんだよなぁ。いろんな男と行きずりのHをして、ショーパブでトップレスのショーをやって、ヌードモデルもやって。すでに凄い因業な人生。
つうか、私くらいのトシになって1年がどんどん短くなってると、24年間でそんなめまぐるしい人生が送れるものかと感心しますわ。
例えば、1週間で人生がすっかり変わってしまうようなお話を読むと、1週間でそんなこと出来るの?とか思ってしまいますもん。

(後輩にバーベキューに誘われた江古田ちゃん。友人Mと参加するも浮いてしまい、友人Mとふたりで浮いていると、同じく浮いてるキモメン男性がやってきて)
男性「いや~ だれともうまく話せなくて…」
江古田ちゃん「別に話せる人がえらいわけじゃないんじゃないですか」
男性「でもボクいつも/人になじめなくて悩んでばっかです…/いつか悩まなくなる日が来るのかな…」
友人M「そーゆーのって一生悩むと思いますよ/一生」
江古田ちゃん(だれにも気休めを言わない友達が私には一人だけいる)

そう。一生悩むよ、たぶん。私もそう思います。だいたい私もそうだし。そーゆーのって変に気休め言われるより、スパッと言われた方が気が楽です。友人M、惚れます。
三上寛さんの歌う「片輪を片輪と言わずして、仏もあるものか」の境地ですな。

「草食系男子」それは-選ばれない理由を全て男のせいにしたい女たちにやさしい言葉です(はぁと)
ここらへんの世の中に対する身も蓋もないツッコミっぷりが江古田ちゃんの魅力です(はぁと)

…しかし、江古田ちゃんに付箋を貼りながら読んでる奴って超少ないだろうナァ。

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J・クロウリー『エンジン・サマー』

『エンジン・サマー』(ジョン・クロウリー:著 大森 望:訳 扶桑社ミステリー文庫)
読了。
とても面白かった『ハローサマー、グッドバイ』の感想をネット巡りで見ていて、同じテイストの作品として本書が紹介されていたので手を出してみました。

作者はジョン・クロウリー。クロウリーって名前でまず思い出すのが有名なオカルティストのアレイスター・クロウリーですな。トート・タロットを作った人。そして『カードキャプターさくら』のクロウ・カードの元ネタになった人。
アレイスター・クロウリーの『法の書』を見せてくれた知人がいました。本の一部が封印されていて、その封印に「この封印を破った事によって天変地異が起こっても責任を持ちません」てな事が書いてあったと記憶しています。
だから、憶えていたのだけど。
アレイスター・クロウリーと本書の作者、ジョン・クロウリーと関係あるのかなぁ。それは解らないけど。

いや、閑話休題。『エンジン・サマー』に話を戻して。
(以下、ストーリーに触れつつ書いていきますので)

舞台は遠い未来のようです。現代科学文明が滅び去ってはるかのち。かつての文明の遺物もまだ残っていて、それをある程度は利用したりありがたがっている時代。
そして、かつての科学文明に暮らす人たちも細々と残っているようです。かつての科学文明に暮らしていた人たち、そして、まだ生き残っているそういう人たちは「天使」と呼ばれているみたいです。いや、本書に登場する一般的な人間たちは現代人そのままか、あるいは変化しているかどうかも解らないのですが。

本書は“天使”じゃない、普通の人間の少年、“しゃべる灯心草”("Rush that Speaks")という少年が自分の来し方を“天使”に語る(それを天使は録音しているようです)、という筋立てになってます。
“しゃべる灯心草”、不思議な感じの名前ですけど、そのころはそういう名前が普通みたい。
なんかインディアンの名前みたいですね。“シッティング・ブル”とか”ダンス・ウィズ・ウルブズ”とか“ダンシング・ベア”とか。

かつての文明や言葉、それはその時代も残っていて。しかし、かなり変容して伝えられているようです。本書のタイトルの「エンジン・サマー」も「インディアン・サマー」(小春日和)が訛って伝えられたものみたい。
更に文明の遺物のガジェットたちもまた、当時の“扱われ方”とは違った形で伝えられているようです。

また、そのころの人たちは“系”(コード)に別れているようです。人種とか文化的バックボーンによる民族性とか、そういうのとはちょっと違った感じ。その人間の本質的な部分によるものなのかなぁ。
ちなみに“しゃべる灯心草”は「手のひら系」に属しているようです。

その、“しゃべる灯心草”の成長物語です。
リトルベレアという街に生まれた彼。どうやら道路があって家があるという構造の町じゃなくて、蜂の巣みたいに家がくっついて建っていて、家々の連なりを抜ける“径”(パス)があるような構造の街みたいです。

“金棒曳き”(ゴシップ)の語るかつての“物語”。
“ワンス・ア・ディ”(一日一度)という少女との出会い、幼い恋。しかし、彼女は街を出ることを決心し、“ドクター・ブーツのリスト”という行商人?集団についてリトルベレアを出て行ってしまい。彼もまた“聖人”になることを目指して、リトルベレアから出て行きます。

聖人との出会い、共に暮らし。聖人の許を去った彼は、ワンス・ア・ディがついていった“ドクター・ブーツのリスト”の街へ向かいます。そこはかつての文明の遺跡、遺物が残り。そこに暮らす人々は、かつての文明の産物を細々とこしらえ、それを行商の商材としているようですが。

彼はそこで、ワンス・ア・ディと再会しますが、しかし、彼女はふたたび街から出て行きます。しゃべる灯心草がいる限り“ドクター・ブーツのリスト”には戻らないと言って。
傷心の彼は“ドクター・ブーツのリスト”も後にし、放浪の末、故郷を目指します。
故郷にたどり着く寸前、彼は“天使”に出会い、物語を語る物となります。

そういったおはなしでした。

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『ユダヤ警官同盟』

『ユダヤ警官同盟(上・下)』(マイケル・シェイボン:著 黒原敏行:訳 新潮文庫)
読了。
なんかかここんとこ日記、某会長に見られると「お前は本を読まずアニメばっかり見てるのか?」と“教育的指導”を受けそうですけど。実はそうでありますが…。
いや、ま、久しぶりに本の話題を。

本書は辺境ライター・高野秀行さんのブログ、『ムベンベ』に紹介されていて興味を持って。調べてみるとSFの私でも知ってる大きな賞、ヒューゴー賞やネビュラ賞なんかも受賞した作品で、“ハードボイルド”系警官小説の要素もあるそうで、面白そうなので読んでみました。

ヒューゴー賞やネビュラ賞を取っていることからもわかるように、本書はSFであるようです。

時代設定はほぼ現代あたり。ただ、歴史が違っていて。作中はっきりとした説明はありませんが、ざっくりといえば第二次世界大戦で枢軸国側が勝利したような感じ。作中、満州国が存在しているような事も語られますし。ただ、アメリカ合衆国は存在しています。
第2次世界大戦でドイツはソ連に手を出さずにヨーロッパを確保して、アジアでは日本が大陸を確保したまま太平洋戦争には突入せず、そして米国がアジアやヨーロッパに反枢軸国として積極的な関与や参戦をしなかった、というような流れでしょうか?そうだったらそんな風になってたんだろうなって思うような世界情勢みたいです。ほんと、はっきりとは語られはしないのですが。
ナチスドイツがヨーロッパに居座っているせいか、ユダヤ人はヨーロッパで迫害されているようで、ヨーロッパのユダヤ人たちは難民化しているようです。そして、イスラエル建国運動はあったようですが、頓挫してしまったようです。

舞台はアラスカにあるシトカ特別区。そこはヨーロッパから迫害を逃れてきたユダヤ難民に与えられた場所みたいなんだけど。時代的には現代っぽいですから、もう60年くらいも続いた街なんですが。どうやらその特別措置がもうすぐ失効し、特別区が米国に返還され、それに伴いユダヤ人が追い出されそうな動きになっています。難民に与えられた街といっても難民キャンプみたいな場所ではなく、ちゃんとした街並みです。

主人公はマイヤー・ランツマン。もちろん彼もユダヤ人。警官。ホテル住まい。酒浸りのどこか投げやりな毎日は“ハードボイルド”のクリシェでしょうか。
警察権もユダヤ人たちから返還されることになっていて、もうすぐ失職かそれとも新しい警察で職を続けられるか解らないってところ。しかし、ランツマンはそれに対しても投げやりで。

いとこで同僚のベルコ。かれはアメリカ先住民族とユダヤ人のハーフ。彼もまた重要な登場人物です。

ある日、ランツマンの住まうホテルで男の射殺死体が見つかります。
その折も折、ランツマンの新しいボスとして警察署に赴任してきたのは離婚した元妻であるビーナ。ランツマンとビーナは幼馴染みで、仲のいい夫婦だったんだけど。でも、ビーナが妊娠したふたりの子供に障害がある事を懼れたランツマンは、ビーナに中絶手術を受けさせて。それから夫婦仲は冷え切ってしまい、ふたりは別れてしまったようです。
どこか投げやりなランツマンと違って、ビーナはうまく立ち回って、シトカ特別区返還後も警察の仕事を続けられるように動いているみたい。

殺された男の素性は?そして、誰が彼を殺したのか?そして、なぜ殺されたのか?
事件の背後には大きな陰謀が関わっていて。
それはランツマンの過去の悲しい事件にも関係しています。

(以下少々ネタバレしつつ語っていきますので)

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『ヴァージン・ブルー』

『ヴァージン・ブルー』(桐生祐狩:著 角川ホラー文庫)
読了。
桐生祐狩さんの新作です。
わぉ、ちょっと気恥ずかしくて書きにくいぞ。

という方向でちょっと書いてみますけど。

桐生祐狩さんのひとつ前の出版された作品、『川を覆う闇』を「汚穢ホラー」と呼ぶならば、『ヴァージン・ブルー』は「張形ホラー」になります。ある“ちから”を持った張形を巡ってのホラー。幽霊や怪物系のホラーじゃなくて、「やっぱりいちばん怖いのは人間ダヨ!」的な方向のホラーになります。
張形。男性器のかたちを模した、女性の秘所に突っ込んで使う自慰の道具、ですな。

(以下ネタバレゾーンにつき)

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