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2020/12/15

青葉市子『アダンの風』

青葉市子さんの新譜『アダンの風』が届きました。まだ少し聴いただけですが、簡単な感想など書いてみます。
(といっても私は音楽論なんかは語れるスキルは無いので、ショボい内容になると思いますが、ご容赦)

私が初めて青葉市子さんのライブを拝見したのは2009年の今ごろ、ご贔屓の日比谷カタンさんの企画ライブの対バンとしてでした。
そのとき、もうすぐファーストアルバムが出ますというMCがありました。
そして翌年、また日比谷さんの対バンとして拝見し、それがよかったのでそのファーストアルバム『剃刀乙女』を購入しました。

それから新譜が出るたびに楽しみに買っています。
ただ、共演作とかDL専売のミニアルバムはちょっと追いきれてないのですが。
メインのアルバムだけでもと思って買っています。
そして何曲かは通勤のお供のプレイリストに入っているので、平日は毎日青葉市子さんのお歌を聴いています。

201215
青葉市子さんのアルバムはガワが紙で、CDをはめ込むところがプラスチックのケースだったのですが。今回のアルバムはいつもとは違い、完全な紙ジャケットでした。どうも青葉市子さんが立ち上げた新レーベルからのリリースみたいです。
そしてさらにいつもとは違うのは、ジャケットが写真な事でした。
青葉市子さんのアルバムはたいていが淡色のベタ一色、必要最低限の文字が少しだけ入っているくらいでした。
そうでないアルバムは『マホロボシヤ』くらいでしたが、それもほぼ黒一色にかすかに人物の顔が浮かぶくらいなのでした。
今回は水中を泳ぐ人物の写真がジャケットです。色鮮やかです。

実は雑誌『ユリイカ』2020年3月号の青葉市子特集での青葉市子さんのインタビュー記事ではこうあったので、「今度は紫色かな?」と思っていたのですが。何か心境の変化でもあったのかなぁと。
「実は三枚目の『うたびこ』を出したくらいから、それ以降のCDジャケットの色は自分の中でもうざっくりと決まっていました。四枚目が桃色で、五枚目は灰色、六枚目が水色で、七枚目は紫だっていう、何か共感覚みたいなもの。七枚目はまだ出していないけれど。」(Kindleの位置No.955-958)
このユリイカの青葉市子特集号も面白そうなんですが、まだちょっと拾い読みしたぐらいです。

さて、聴いてみて。

今回の『アダンの風』というのは、Amazonの紹介文によると「南の島を題材にした“架空の映画のためのサウンドトラック” をテーマ」にしたものだそうです。「アダン」ってなんだろうと思ったのですが。南方の植物だそうです。アダンの生い茂る、南の島を舞台にした映画。どんな映画かしら?

「架空の映画のためのサウンドトラック」という事で、アンビエントというか、劇伴というか、そういう感じの曲が多いです。空間を感じさせる曲、「場所」を感じさせる曲。
琉球音階をアレンジした曲もあって、沖縄(に限定してはいないとは思いますが)というか、南方の風が吹いてきます。つかニライカナイっていう奴かな、よく分かってないけど。

それでふと、気がついたのですが。

青葉市子さんの歌に惹かれた最初は、その歌にどこか「所在なげ」「居場所のなさ」を感じたのがきっかけでした。もちろんそれは「私がそう感じた」に過ぎなくて、青葉市子さんにはその意図は無かった可能性も大きいです。ただ、私の、勝手な思い入れだけど。
このアルバムを聴いて、アダンの風の吹く南の島、それはたぶん、居場所のない私の、行くあてのない私の、「行ってみたい場所」「帰りたい場所」になったのかなと思います。
肉体はそこに行くことは無理だろうけど、心は行きたい、そしてできたら魂もそこに行きたい、帰りたい、そう思いました。
そして、この世界にはそういう場所がある、そう思うだけでちょっと気持ちが楽になる心地がします。

そういう場所があること、この世のどこかにそういう場所があると感じられること、それはひとつの救いなのかなって思いました。
青葉市子さんのお歌は「癒し系」って呼ばれることもあるけど(私自身は単純に「癒し系」と呼びたくはないですが)、『アダンの風』の音楽たちは、「癒し系」の先をいく「救い系」なのかもしれないとちょっと思ったり。

『アダンの風』、とても心地よいです。
この曲たちも通勤のお供になるでしょう。

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