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2020/02/29

『少女終末旅行』

『少女終末旅行』(原作&アニメ)の感想をちょっと書いてみます。
先にお断りしておきますが、謎解きみたいなのはありません。私はそこまで深く本作を読み込めてないですし、本作に関する謎解きや解説はとてもレベルの高いのがたくさんありますし。私はそういうのに伍して何か書けません。むしろそういうレベルの高いサイトの解説や謎解きを面白く拝見し、「そうか、そうか」って思いながら見ました。

ま、ほんと、個人的な感想という事で。

私は『少女終末旅行』をアニメから見ました。去年の9月の下旬ぐらいだったかな?アマゾンプライムに本作があるのに気がついて見始めました。地上波放送の時も、私の好きな感じのお話みたいだったから見ようかと思っていたのですが、録画に失敗したりしてヘソ曲げて見るのやめました。
近年はこういう配信で作品に触れる機会が多くてうれしいものです。
で、やっぱりはまって、原作も揃えました。あとアニメの設定資料集があるみたいですが、それはまだ買ってないのですが。

面白い世界観です。ジャンル的にはポストアポカリプス物になるのかな?人類のほとんどが滅亡したあとの世界の物語。
そういうの、私は好きです。

「私は好きよココ。
すべてはもう終わったもので
なんにも
わたしを
傷つけないもの」
(鈴木志保『ヘブン…』)

ただ、単純にポストアポカリプスじゃないんですよね。今の我々からしたら超高度なハイテク文明の廃墟と第2次世界大戦からちょっと昔くらいまでの兵器が混在する世界。解説によると超ハイテク文明がいったん滅び、生き残った人々がなんとか使えるテクノロジーとしてそういう古いテクノロジーを再利用したそうですが。それならそういうレトロなガジェットというより、ハイテクの劣化版みたいなガジェットになるとも思うのですが。
ここら辺はこれもちょっと変わったポストアポカリプス物の『ヨコハマ買い出し紀行』と共通するかな。『ヨコハマ~』も人間そっくりなロボットが作れるハイテク文明のなれの果てだけど、その劣化版じゃなくてレトロなガジェットがいろいろ出てきますし。
(そう、『ヨコハマ買い出し紀行』も私の好きな作品です)

なんていうのかな、私はこの世界観を「夢の中みたい」と感じました。その、超ハイテクと第2次大戦あたりの古い兵器が混在してる不思議な世界を。脈絡はないけどなにか通じているような感覚。だから、夢の中みたいだなと。

そのハイテク文明は多層構造の人工地殻に暮らす人々だったらしく。その文明の廃墟を旅するふたりの少女、チトとユーリのおはなし。

ハイテク世界の廃墟で旅するふたり。ふたりが乗るのはケッテンクラートという第2次大戦中にドイツ軍が使っていた車両。「ハーフトラック」の一種になるのかな。
「ハーフトラック」ってのは第2次大戦のちょっと後まで使われていた車両のスタイルなんですが。トラックの後輪をキャタピラに置き換えた車両。で、ケッテンクラートはその最小クラスの品物。オートバイの後輪をキャタピラに置き換えたような車両です。ふたりと少々の荷物を積んでとことこと旅するにはいい感じのガジェットかと。

ふたりは孤児で、「おじいさん」に引き取られ、おじいさんの元に暮らしていたのだけど。でもある日、兵隊たちがおじいさんの住まいを襲います。おじいさんが時間を稼いでる間にふたりはケッテンクラートに乗って脱出します。そしてふたりはおじいさんの言っていた「上へ登りなさい」の言いつけ通り上層階を目指して旅を続けると。そして、遺跡を旅している間に、いろいろなものに出会うと。
基本、ふたりだけのお話です。たまにほかの人やロボットや不思議な生き物に出会う話はありますが。

世界が終わった後のお話ですが、そう悲惨さは感じないかな。キャラの描き方もむしろ丸くてやわらかい印象ですし。

ふと気がついたのですが、本作には「死体」が出てきません。このハイテク文明社会は戦争で滅んだようなのですが。核戦争後のポストアポカリプス世界を舞台にしたゲーム、『Fallout3』や『Fallout4』が私は好きなのですが、両作とも白骨死体がごろごろしてます。だから『少女終末旅行』も本来ならあちこち白骨死体が転がってると思うのですが、それはありません。墓地みたいな場所も出てきますが、そこにも死体がありません。白骨死体が描かれるのは最終巻のラスト、イメージシーン的なカットひとつだけでした。こういう部分もこの『少女~』を「夢の中みたい」と感じた理由のひとつです。

アニメは原作の途中で終わりますが、原作は最後まで描かれます。「彼女たちの旅はまだまだ続きます」みたいなぼかした終わらせ方はしていません。そして、けっこう絶望的な終わり方ではあるのですが。

ふたりが乗ったケッテンクラート、物語の終盤には壊れて動かなくなります。持てる荷物も限られてしまい、チトが大切に持っていた本も、つけていた日記も、暖をとるために燃やしてしまいます。
そして着いた最上層、そこは雪の覆われた場所、そして何もありませんでした。いったんは絶望に沈みそうになるチト。しかしユーリの言葉もあって、今までの自分の人生は最高だったと思い、肯定し、最後の食料をふたりで分け合い、眠りにつくと。

それは絶望であるような、無いような、なんか不思議な心地がしました。それをいろいろ考えて、感想にまとめようとしたのですが、なんかうまく言葉にできなくて、だから今、それはうまくできないまま感想を書いているのですが。

人はいつかは死ぬ。なんとなく私もそれは分かってきた気がします。ふとこの先に死がある、死の気配がする、感触がたまにあります。いつかは私も最上階に着くのかな。そして死にいくことに絶望するのかな。それともそれまでを振り返って、私も「生きるのは最高だったよね」と言えるのかしら。ほんと、人はいつかは、必ず、死ぬものなのだけど。もちろん彼女たちはまだまだ死ぬべき年齢ではないのだけど。
いつかは死んでいく自分とのつきあい方、それはほんとまだ全然分からないんだけど。

ただ、解説サイトを巡っていて、彼女たちは実は死んでないって説も見かけました。「こういう解釈もできるのか!」と感心しましたし、私もそうであればいいなと思っています。ラスト、麦畑みたいな場所にコート姿のふたりがたたずんでいるイメージのようなカットもありましたが。イメージに過ぎないのか、本編のあとのふたりの姿なのか。またいっそのこと、実は『少女終末旅行』そのものが夢であったような気もするのだけど。

なんかほんと、不思議な作品でした。
もっといろいろ分かればいいのだけど。
(なら設定資料集も買えというツッコミはおいといて)

『少女終末旅行』、原作もアニメもおススメです。

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