« ? meytél さんの個展 | トップページ | 久しぶりにデリシャさん »

2019/11/26

月蝕歌劇団公演『新撰組 in 1944』

ザムザ阿佐ヶ谷さんで月蝕歌劇団の公演『新撰組 in 1944-ナチス少年合唱団-』を拝見してきました。

月蝕歌劇団さん。高取英さんが設立した劇団。高取英さんは去年の11月26日に急逝されてしまったのですが。去年の秋はサルバトール・タリさんの訃報があって驚いていたら、高取英さんの訃報があって、衝撃を受けました。まだそんなお歳でもないのにと。

高取英さんは寺山修司の側近でいらした方だそうです。ただ近年まで勘違いしてたんですが、寺山修司の劇団、演劇実験室◎天井棧敷には在籍していらっしゃらなかったそうです。改めて高取さんの寺山修司についての本を読み直すと、たしかに天井棧敷には在籍してなかった、スタッフとしてデータマンのような仕事をしていたと書かれていました。忘れていたんですな。情けない。
そして、高取さんは日本でもトップクラスに寺山修司についてお詳しい方だったと思っています。高取さんの寺山修司に関する本も面白かったですし、トークショーでとてもお詳しいご様子を拝見したこともありました。

高取英さんがお亡くなりになって、「やっぱりもっと観とくんだった」って思って、6月にあった『聖ミカエラ学園漂流記』を観ました。やはり高取さんの死去を受けてなのでしょうか、なにか凄味さえ感じる公演だったと思います。そして今回、高取さん一周忌の公演という事で、観に行こうかなと思いました。

月蝕歌劇団さんは本公演の時に「詩劇ライブ」というのもあるようです。「暗黒の宝塚」らしい、歌劇団のレビューのような歌のショーです。せっかくだからそれも観ることにしています。今回は「少年の断末魔」というサブタイトルとか。これに関しては本公演の内容を反映したサブタイトルかと思います。

歌われた楽曲、「シーザー節」を感じさせるのも多くて。てかほとんどシーザー節を感じさせて。J・A・シーザーさんの作曲なのかなぁと思います。しかしどこで私は「シーザー節」を感じるのかな?例えば他の人がシーザーさんぽく作曲したらどうなるのかな?それも私はシーザーさんぽいと聴くのでしょうか。

昭和精吾さんを思い出させる出演者もいらっしゃいました。トレンチコート?姿ですっくと立ち、寺山修司の一節を朗々と吟じる姿。昭和精吾さんは天井棧敷に在籍していらした方。あの伝説の「力石徹の葬儀」で弔辞を読んだ方です。私が昭和さんの公演に行くようになったころは、寺山修司の作品の朗読、お芝居の一節を演じたり、天井棧敷時代の思い出話をなさったり、とても楽しかったです。昭和精吾さんの公演を最後に拝見したのは4年前の2015年8月15日。場所はここ阿佐ヶ谷ザムザでした。それから2週間ほどで昭和精吾さんは急逝されてしまいました。

このコート姿で思い出したのですが、どうも天井棧敷の『邪宗門』公演で鞍馬天狗を演じた昭和さんの衣装がトレントコート?だったようです。鞍馬天狗というからにはあの黒頭巾姿だと思い込んでいましたが。(ここらへん自分でもあまりよく分かってないので勘違いだったらごめんなさい)

「詩劇ライブ」、楽しみました。物販でも色々買えたらよかったのですが。
そして晩ご飯を食べてからいよいよ『新撰組in1944』です。

舞台装置は正面奥にちょっと高い、階段のついた観音開きの扉。この舞台奥中央に扉って大道具は演劇実験室◎万有引力さんでもよくある大道具ですし、寺山系劇団に多いものなのかしら?上手と下手に人の背丈よりちょっと高いぐらいの台があって、湾曲した階段で上がっていけるようになってます。あと舞台の裏から直接にも行けるみたい。この台もそう広いものでもないし、月蝕さんも完全暗転やるし、その暗転でこの台に乗ったり降りたりしてるようだし、落っこちたりしないかちょっと心配になりました。
MCがあって、物販の案内があって、詩劇ライヴと同じくおみくじの販売とかあって、いよいよ開演。

いやもうその発想にたまげるお芝居かと。新撰組とナチスドイツを合体させるなんて発想そのものが考えられません。ナチスと新撰組は昔で言うところの「お耽美」な女の子たちの大きなジャンルをなしているとは思いますが、それを合体させるという発想は思いつきもしません。高取英さんすごいなと。
この6月に拝見した『聖ミカエラ学園漂流記』も現代、太平洋戦争末期、天草四郎、そして少年十字軍と時間と空間を合体させる作品でしたから、これは高取英さんの作風だったのかなとも思います。そしてそれは寺山修司の「作り変えることのできない過去なんてない」って思想の反映ではないかと思うのですが。

ドイツにタイムスリップする新撰組の人たち。『新撰組 in 1944』というので、新撰組のタイムスリップ先は1944年の敗色濃いドイツかと思いましたが、新撰組のスリップ先は1934年のドイツ。ナチスドイツの勃興期。新撰組の面々はナチスドイツの突撃隊に対する内ゲバ事件、「長いナイフの夜」への加勢を求められます。
そしてサブタイトルの「ナチス少年合唱団」のエピソード。少年合唱団の人たちは女優さんが演じていました。あとから衣装は変わりますが半ズボンのセーラー服姿。ナチスに親しい少年合唱団員、ユダヤ系の少年合唱団員。その対立。

タイトルの「1944」はこのお話の発端となったエピソードのあった年。日本軍に襲われる中国人一家のお話。
そしてそこにやはりミカエラ学園のようにかつて日本が犯した過ち、反戦のメッセージがこめられていて。

で、こちらには新撰組がらみで「鞍馬天狗」が出てきます。こちらはほんとの鞍馬天狗の黒頭巾姿ですが。「詩劇ライブ」の方の、天井棧敷の『邪宗門』で鞍馬天狗を演じられた当時の昭和精吾さんっぽい方が出てきたのは、こちらの鞍馬天狗とのリンクじゃないかと思うのですが。どうかしら?考えすぎかな?

ナチス系の衣装、よくできていました。そりゃあ詳しい方が考証的に見れば色々あるのかもしれませんが、製作資金も潤沢ではないと思いますが、よくできていたと思います。本作は親衛隊と突撃隊の対立が大事な要素ですから、そこらへんの考証は本作のキモであると思います。

新撰組要素、ナチス要素、男装の少女たち要素、そして男色要素までてんこ盛りにお話は進んでいきます。
お話が進むとかなりしっちゃかめっちゃか感が出ますけど、それでも反戦のメッセージをこめてお芝居は大団円します。

ほんと、高取英さんの世界、楽しみました。
高取英さんが亡くなられて、かえすがえすも残念です。
そして、高取英さんの世界が受け継がれていっていることはとても嬉しい事です。僭越ながら。
そしてその先にあるものも見せてくれると思います。
月蝕歌劇団さんは。

なかなか手が回らないのですが、また機会がありましたら月蝕さんのお芝居も観たいなと。

|

« ? meytél さんの個展 | トップページ | 久しぶりにデリシャさん »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ? meytél さんの個展 | トップページ | 久しぶりにデリシャさん »