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2019/07/29

横山 宏のマシーネンクリーガー展

この週末は八王子市夢美術館で『横山 宏のマシーネンクリーガー展~立体造形でみせる空想世界』を見てきました。造形作家&イラストレーターの横山宏氏の造形物とイラストの展覧会です。『マシーネンクリーガー」、私は「SF3Dオリジナル」と言ったほうがおなじみなのですが。当時読んでいた模型雑誌・ホビージャパンに連載されていた、架空のSF兵器の模型をモチーフにしたシリーズです。

この企画が連載されていた模型雑誌・ホビージャパン。当時のホビージャパンは模型の世界にいくつかのエポックを残したと思います。

ひとつは架空の物を取り上げること。昔は模型雑誌が取り上げる模型は実在したものの模型が主流で、アニメとかに出るメカや模型メーカーオリジナルの架空の品物を取り上げることはまずなかったです。不文律だったかと。しかしホビージャパン誌はそれを取り上げるようになったと。例えば『松本零士の世界』の特集で、実存する機体に松本零士の「戦場まんがシリーズ」に出てきた架空のマーキングを施したもの。そしてその戦場まんがシリーズに出てきた松本零士オリジナルの架空の機体を制作したもの。そういう取り上げ方。あるいはキャラクター物の模型をリアルに制作したもの。後述のギャラリートークではこのマシーネンクリーガーシリーズの源流でもあったようですが、そういう架空物を徐々に取り上げていって。
そしてガンダムのプラモデル、ガンプラも取り上げるようになって。折からのガンプラブームに乗っかってホビージャパンは大ブレイクしたと。

もうひとつは新素材の紹介。「原型」をシリコンなどで型を取って、その型にレジン等を流し込んで複製する手法。ここらへんは私もよくは分かってないのですが。
最初は例えば戦車の転輪のように同じ形の物が複数いるような場合に便利なテクニックというような紹介のされ方だったと記憶していますが。
それがガレージキット、個人レベルで趣味の延長のように作られる模型にも応用されるようになって。

それ以前は個人がガレージキットを作る場合、手法はバキュームフォームと呼ばれるものが主流でした。プラ板を加熱して柔らかくして、型に押し付けて成型する手法。そういう手法は例えば飛行機の外形とかには使える手法でしたが、細かいパーツ等を作るのには不向きな手法でした。

プラモデルというのは、金型という金属製の鋳型に熱を加えて柔らかくしたプラスチックを注入して作ります。この「金型」がとても高価だそうで、個人が趣味で模型を少量作りたいという用途には向いていませんでした。
そこにこの新素材を使う技法、原型を型取りして時間で硬化する樹脂を流し込んで成型するという技法が現れ、個人レベルで小ロットでも模型が作れるという手法ができて、「ガレージキット」のブームが起きました。

マンガやアニメ、ゲーム、あるいはキットの作者さんオリジナルの「架空の存在」を新素材という手法で「キット化する」というガレージキットの世界というのがこのふたつの流れで出現し、大ブームとなったと。もちろん「実在の存在」のガレージキットもありますが。

当時の模型のひとつのエポックをホビージャパン誌を通して眺められて面白かったです。

あのころは、モデラーとしてはもうほとんど引退してた私ですが。受験もあったし、大学時代はシンナーや接着剤の匂いをぷんぷんさせて置き場所も取るプラモデル作りなんて夢のまた夢の安下宿暮らしでしたし。
それでも大学を出て就職して、実家に戻ってまたプラモデル三昧の暮らしになるんだろうなとぼんやりと考えていましたが。どうもそうもいかずに、けっきょくプラモデル作りも再開しないまま、今日まできちゃいましたけど。

まぁ、その流れの中で、もう模型は作らなくなってもホビージャパンを読んでいた時期があって。SF3Dオリジナルの連載も楽しみに読んでいました。そのうちホビージャパンも買わなくなってしまったのですが。SF3Dオリジナルの連載もまだ続いていたと記憶していますが。

そういう方向で横山宏氏とSF3Dオリジナルの世界は興味深かったのですが。もうキットとか買わないし、書籍類も持っていなかったですが。
今回、その「SF3Dオリジナル」の現物が拝見できるというので、とても懐かしい思いがして、見に行ってみることにしました。

美術館とは縁遠い私ですが、八王子市夢美術館はなんかよく行く場所です。最初に行ったのは3年前の「ますむらひろしと北斎展」。これは漫画家のますむらひろしさんが北斎をモチーフに描いた世界の展覧会でした。それから去年は「『王立宇宙軍 オネアミスの翼』展 SFアニメができるまで」を観に行きました。これはガイナックスが最初に世に送り出したアニメーション映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の構想や設定資料を中心にまとめた文字通り「できるまで」の展覧会でした。両方とも面白かったです。今回が3回目の夢美術館。

今回は横山宏氏ご本人によるギャラリートークがありました。

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まず最初に横山氏が子供時代に描いたという未来の皿倉山の絵(写っているのは横山氏ご本人です)。これが大阪万博にも展示され、氏の原点になったとか。
皿倉「山」なのに水没してるって設定が面白かったです。あのころはまだ地球温暖化による海面上昇なんて話はなかったと思いますが、海中都市物がなにかあった頃かしら。スティングレーとかシービュー号とか海洋冒険物のSFドラマがあったころとは思うのですが。
ちなみに皿倉山のてっぺんには遠くからでも見える電波塔とかあって、よく考えたらSFぽいです。

その隣に2歳のころの三輪車に乗る横山氏の写真と、それを人形作家の横山氏の奥様が人形にこしらえたのが展示されていました。三輪車は横山氏かしら。

それからマシーネンクリーガーの模型たち。ほんと三十数年の時を越えて、紙面の向こう側の存在だった物を自分の目で見られる興奮といったら!しかしなんとなく小さく感じた物もあります。雑誌の中でのあの存在感、でっかく感じていたのかなぁと。

ちなみに館内は撮影自由でした。横山氏もどんどん撮ってと仰っていました。氏のご指摘ですが、アクリルケースの映り込みが少ないように館内の照明を落としているそうです。あと、シャツ等は黒いほうが映り込みが少なくてお勧めだそうです。ストロボ等で塗装を痛めないように工夫はして撮影すべきだとは思いますが。

氏のお話。予算が限られてるほうが、いろいろ工夫して面白いものができるのではないかというお話。制作期間も長いよりも短いほうが出来が良くなるのではというお話。そういえば、ホビージャパンの編集後記で、他の方とは思いますが、締め切りギリギリにできかけの作例を編集部に持ち込んで作ったなんて話も載ってたなと思いました。

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氏のアトリエの写真と愛用の工具たち、作りかけの?模型も展示されていました。めちゃくちゃ憧れます。

氏のお話によると、作業中の手袋はちょうお勧めだそうです。手荒れを防いでくれて。手荒れはだいぶ体力を取られるそうです。そう、模型作りの素材って、あまり体によくないものも多いですし、そういうのも大事なのかなと。細かい作業が多いですから、無茶して素手でやっちゃう事も多いですが。私もモデラー時代はそうで、塗料とか接着剤とか着いた手で過ごしていたのですが。あと、模型制作中のカッター傷の傷跡もいくつか。

それから模型作りは孤独な作業だけど、新しい情報を入れるようにしたらいいというアドバイスも。例えば新しい工具の情報とか。横山氏が超音波カッターはとても便利だと仰っていました。もう現役モデラーじゃないわたしはそんなのあるんだって目を白黒でしたわ。
ほんと、ある程度モデラー暦が長くなると、いや、なんでもそうなんでしょうが、自分のやり方に固執して、もっと便利で良い物を作れる手法があるのにそれを見逃してしまうって事はよくあると思います。

横山氏はお話も面白くて、とても楽しいギャラリートークでした。

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そんなこんなでちょっと濃ゆくて大変でしたが、思い入れのある横山氏とSF3Dをはじめとした氏の創造された世界、楽しみました。
いやほんと、何度か通いたいレベルのボリュームでしたよ。おススメです。

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