横山 宏のマシーネンクリーガー展
この週末は八王子市夢美術館で『横山 宏のマシーネンクリーガー展~立体造形でみせる空想世界』を見てきました。造形作家&イラストレーターの横山宏氏の造形物とイラストの展覧会です。『マシーネンクリーガー」、私は「SF3Dオリジナル」と言ったほうがおなじみなのですが。当時読んでいた模型雑誌・ホビージャパンに連載されていた、架空のSF兵器の模型をモチーフにしたシリーズです。
この企画が連載されていた模型雑誌・ホビージャパン。当時のホビージャパンは模型の世界にいくつかのエポックを残したと思います。
ひとつは架空の物を取り上げること。昔は模型雑誌が取り上げる模型は実在したものの模型が主流で、アニメとかに出るメカや模型メーカーオリジナルの架空の品物を取り上げることはまずなかったです。不文律だったかと。しかしホビージャパン誌はそれを取り上げるようになったと。例えば『松本零士の世界』の特集で、実存する機体に松本零士の「戦場まんがシリーズ」に出てきた架空のマーキングを施したもの。そしてその戦場まんがシリーズに出てきた松本零士オリジナルの架空の機体を制作したもの。そういう取り上げ方。あるいはキャラクター物の模型をリアルに制作したもの。後述のギャラリートークではこのマシーネンクリーガーシリーズの源流でもあったようですが、そういう架空物を徐々に取り上げていって。
そしてガンダムのプラモデル、ガンプラも取り上げるようになって。折からのガンプラブームに乗っかってホビージャパンは大ブレイクしたと。
もうひとつは新素材の紹介。「原型」をシリコンなどで型を取って、その型にレジン等を流し込んで複製する手法。ここらへんは私もよくは分かってないのですが。
最初は例えば戦車の転輪のように同じ形の物が複数いるような場合に便利なテクニックというような紹介のされ方だったと記憶していますが。
それがガレージキット、個人レベルで趣味の延長のように作られる模型にも応用されるようになって。
それ以前は個人がガレージキットを作る場合、手法はバキュームフォームと呼ばれるものが主流でした。プラ板を加熱して柔らかくして、型に押し付けて成型する手法。そういう手法は例えば飛行機の外形とかには使える手法でしたが、細かいパーツ等を作るのには不向きな手法でした。
プラモデルというのは、金型という金属製の鋳型に熱を加えて柔らかくしたプラスチックを注入して作ります。この「金型」がとても高価だそうで、個人が趣味で模型を少量作りたいという用途には向いていませんでした。
そこにこの新素材を使う技法、原型を型取りして時間で硬化する樹脂を流し込んで成型するという技法が現れ、個人レベルで小ロットでも模型が作れるという手法ができて、「ガレージキット」のブームが起きました。
マンガやアニメ、ゲーム、あるいはキットの作者さんオリジナルの「架空の存在」を新素材という手法で「キット化する」というガレージキットの世界というのがこのふたつの流れで出現し、大ブームとなったと。もちろん「実在の存在」のガレージキットもありますが。
当時の模型のひとつのエポックをホビージャパン誌を通して眺められて面白かったです。
あのころは、モデラーとしてはもうほとんど引退してた私ですが。受験もあったし、大学時代はシンナーや接着剤の匂いをぷんぷんさせて置き場所も取るプラモデル作りなんて夢のまた夢の安下宿暮らしでしたし。
それでも大学を出て就職して、実家に戻ってまたプラモデル三昧の暮らしになるんだろうなとぼんやりと考えていましたが。どうもそうもいかずに、けっきょくプラモデル作りも再開しないまま、今日まできちゃいましたけど。
まぁ、その流れの中で、もう模型は作らなくなってもホビージャパンを読んでいた時期があって。SF3Dオリジナルの連載も楽しみに読んでいました。そのうちホビージャパンも買わなくなってしまったのですが。SF3Dオリジナルの連載もまだ続いていたと記憶していますが。
そういう方向で横山宏氏とSF3Dオリジナルの世界は興味深かったのですが。もうキットとか買わないし、書籍類も持っていなかったですが。
今回、その「SF3Dオリジナル」の現物が拝見できるというので、とても懐かしい思いがして、見に行ってみることにしました。
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