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2019/05/07

萬画家・石ノ森章太郎展

ほぼ引きこもりで過ごした連休最終日。最終日は出かけて外に体を慣らさなきゃと思い、外出はしたのだけど。出かけても特に行くあてもなく、しばらく立ち止まって考えて、これを思い出して世田谷文学館に向かいました。

世田谷文学館さんはおなじみの場所、何度か行ってます。好きな寺山修司関連の展示がちょくちょくあるので。寺山修司が演劇実験室◎天井棧敷を立ち上げたのが世田谷区下馬という事で、世田谷ゆかりの作家になるそうです。当時としては超豪華なマンションで、セントラルヒーティングまでついていたとか。ただセントラルーヒーティングは燃料ドカ食いだったそうですが。


という方向で世田谷文学館で開催中の「萬画家・石ノ森章太郎展 ボクは、ダ・ビンチになりたかった」へ。
入り口脇の鯉のいるお堀に菖蒲かアヤメかカキツバタか分からないけど花が咲いていて、きれいでした。

ただ、私は石ノ森章太郎の熱心なファンというわけではありません。小さい頃、お小遣いがあればプラモデルに集中投下してたので、あまりマンガを読んで他方でもないと思います。仮面ライダーやテレビマンガの009は毎週楽しみ見てましたが、ま、その程度です。マンガのほうは知らないし。その程度の人間が見た感想という方向でお許しください。

入場して。最初の展示が仮面ライダーの最初の「クモ男」の原稿でした。もうグイグイと引き込まれます。

そしてその奥のコーナーでスタジオ・ゼロの紹介。トキワ荘メンバーが作ったアニメーションスタジオだそうですが。手塚プロの『鉄腕アトム』の「ミドロヶ沼の巻
」をスタジオ・ゼロがグロス請けした時のエピソードの回想を描いた短編マンガをスライドショー形式で紹介するという形になってます。スタジオ・ゼロがどんな『場』であったか、分かりやすく描かれていました。トキワ荘メンバーが集まった、それぞれが一家を成している漫画家さんの集まりだったせいで、グロス請けしても絵柄にそれぞれの個性が出てしまい、大変だったそうです。

それから『サイボーグ009』の紹介。原稿とパネルで「009が教えてくれること」の紹介でした。それはとてもいいと思いましたが、ただひとつ、「自己犠牲」はちょっとなんだかなと思ってしまいましたが。特攻賛美もそうですし、今現在問題となっている「ブラック労働」問題も「自己犠牲」にこの国の上のほうの人々が乗っかってる「悪しき習慣」だと思ってます。それは何とかしないとと。

パネルや原稿、書籍等を展示しながら、実験的な手法の紹介、その作中に流れる人生観・価値観といったものの紹介、といった趣向の展示でした。

石ノ森章太郎にとって姉が大きな存在だったという話。ファンにとっては常識レベルの話なんでしょうが、初めて知りました。
トキワ荘時代のイメージアニメーションにちらと描かれていますが、トキワ荘にもやってきて、トキワ荘に集う人たちの面倒を見てたとか。しかし石ノ森章太郎の姉は東京で急逝したそうです。

姉の没後、石ノ森章太郎は世界旅行に出かけ。そこで『サイボーグ009』の構想を得たそうです。


トキワ荘時代の仕事机の再現がありました。ここはだけは撮影可で、「石ノ森先生なりきりセット」も置かれ、記念写真が撮影できるようになってました。
このコーナーの対面が石ノ森章太郎のセクシーイラストのコーナーで、覗き穴から見るようになっていました。セクシーといっても水着程度ですが。でも石ノ森章太郎のセクシーイラストも美人さんでヨイです。これもまた姉の面影があるのかなぁと。

晩年の石ノ森章太郎は体調も優れず、漫画が描けない状態だったそうですが。009の構想は書き溜められていて、それを元に他の方の手によって完結編が描かれたとか。その構想ノートの展示もありました。

石巻にある石ノ森萬画館の紹介もありました。石ノ森萬画館は東日本大震災で津波の被害を受けたそうですが。再開を応援するベニア板への寄せ書き(たぶん、閉館中に応急資材として取り付けられていたものかと)の展示や、再開に向けてのあゆみとか。津波の瓦礫に埋もれたロボコンなどの石ノ森ヒーローの等身大フィギュアの写真もありました。瓦礫とともに写ってるのだけど、なんかほとんど傷なんかついてないように見えるので驚きました。いや、その瓦礫も、瓦礫になる前は、誰かの生活とともにあった、思い入れのある品物かもしれないのだけど……

あと、関連のタウン誌の展示とかも。こういう展示まであるのが今回の石ノ森章太郎展の特徴かなぁと。
いや、私はついて詳しくはないのですが、先に書いたように。
これからになっちゃうけど、石ノ森章太郎も読んでいきたいなぁと思いました。

それからコレクション展の「仁木悦子の肖像」展も見てみました。仁木悦子はまったく読んだことのない作家さんですが。「コレクション展」という事で、世田谷文学館さんの収蔵品の展示だそうです。

仁木悦子さんは胸椎カリエスにより寝たきり(後年、手術により車椅子が使えるようになったそうですが)の方だったそうですが、推理小説家としてデビューを飾り、人気作家だったそうです。推理小説関係の展示、そして、それ以前の児童文学をお書きになってたころの展示もありました。推理作家らしく、登場人物の行動を表にまとめた構想メモもありました。

仁木悦子さんも読んでみたいと思いました。

面白かったのは、私も好きな寺山修司からの書簡もまた展示されていたこと。先日、寺山修司の演劇実験室◎天井棧敷の衣鉢を継ぐ、演劇実験室◎万有引力さんの公演で拝見した『狂人教育』のパンフレットが同封された手紙もありました。もともとの人形劇版です。文通の最初のきっかけは寺山修司からのコンタクトだったそうです。寺山修司はそういう事もこまめだったのかなと思いました。他のどんな作家さんに手紙を書いていたのかなぁと。

手紙である以上、仁木悦子コレクションに残ってるのは寺山修司からの手紙だけですが、寺山修司の手元にあった書簡も多く残っているようですから、そちらを調べれば仁木悦子からの手紙も残ってるかもしれません。まとめて書簡集ができるかもなぁと思いました。他の作家さん相手のも含めて出たらいいなぁとか思ったりして。

世田谷文学館にはムットーニさんと仰る方のからくりコレクションがあります。ムットーニさんは日本人のようですが。小説の一節をイメージにからくり細工にこしらえたの。今回もそのからくりの実演があったので、それも拝見してきました。

夏目漱石の『夢十夜』の「第七夜」をモチーフにしたからくり細工がありました。終わることのない退屈な航海に倦んで船から身を投げる男の話。男は身を投げた瞬間、身を投げたことを後悔する。でも戻れない。船が行くのを見送るばかり。「あ、私も身を投げたらこうなるだろうな」とはっとさせられました。

という方向で連休最終日を楽しみました。

世田谷文学館の「萬画家・石ノ森章太郎展」は2019年6月30日まで。おススメです。

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