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2019/04/15

万有公演『チェンチ一族』

昨日は下北沢のザ・スズナリで演劇実験室◎万有引力公演『幻想寓意劇 チェンチ一族』を観てきました。楽日になります。

『チェンチ一族』、A・アルトーによる「残酷劇」だそうです。「残酷劇」、よく分からないのですが。ざっとググッたぐらいの知識しかありません。「残酷」と言ってもスプラッタや暴力を主眼にした物ではなく、「世の中」の「残酷さ」を描く劇のようですが。それと似た言葉を私は知ってます。それは「ハードボイルド」という言葉だけど。「ハードボイルドだど!」なお芝居なのかな?

ザ・スズナリは万有の前々回の公演『狂人教育』から2度目になると思います。『狂人教育』は座席番号順にお客さんを並べて、いくつかの入り口を使っての客入れでしたが、今回は普通に到着順に並んでの客入れです。席も指定制でした。座り心地もよかったです。

舞台は客席側に凸字型です。舞台手前に大きな箱が左右にあり、左右に昇っていく段差そして階段。奥の壁は左右互い違いになっていて、上手側がちょっと引っ込んでて、演者の出入りするスペースになってます。右側の壁前方に出入り口があるのですが、そこも演者さんの出入り口になってました。

もちろん客入れ時点で演者さんが舞台をうごめいています。

ややあって開演。

前回の万有公演『リヴォルヴィング・ランターン』はストーリーが判然としない「抽象劇」といった感じのものでしたが、『チェンチ一族』はストーリーがあるという意味において具象的な劇でした。もともとがある事件をモデルにして作られたお芝居だそうです。

チェンチ家の当主・フランシスコ・チェンチ。彼は傲慢な性格でチェンチ家を支配し、娘のベアトリーチェも慰み物にしていた。ただひとつの希望だった教皇への直訴も握りつぶされ、父親の暴虐に耐えられなくなったベアトリーチェをはじめとするチェンチ家の人々は一計を案じ、フランシスコを殺害する。しかしその殺人はたちまち露呈し、厳しい裁判の末、ベアトリーチェも父親殺しの罪で処刑される、と。そういうあらすじでした。
暴虐な父親。あまつさえの慰み者にされ、耐えかねて父親を殺したけど、尊属殺の罪で処刑されたベアトリーチェ。この世界の残酷さ。

お芝居が進行すると、天井からロープが下がってきて、床板に取り付けられます。ロープで床板を持ち上げて立たせるギミックになりました。あと、片面が鑑になった什器。車輪が取り付けられててするすると動いて、舞台に変化をもたらします。この片面が鏡になってるというのは、「リヴォルヴィング・ランターン」の舞台億の(たぶん劇場作りつけの)鏡を使った演出の流れかなぁと思ったり。

救いのないストーリーだったと思います。つい最近、ある父娘の近親相姦事件で無罪判決が出たと報じられましたが。法律的にはそう判断せざるを得ない、しかし人々はそれに納得はできない。法律は必ずしも民意ではない以上、そういうことも時に起きるのでしょうが。逆に法律が民意の暴走を止める事もできなければとも思うのだけど。でもなんかもにょっとする結末でした。

今回、舞台装置も衣装もほとんどが黒ベースでした。ひとつ、金色の衣装が出てきますが、それは……。

あと、舞台の前にテーブルが出され、大きなキャベツが乗せられます。父親殺しのシーンまでキャベツは鎮座しています。
あれはどういう意味だったのかしら。シュールではありました。他の万有公演でもキャベツが出てきたような記憶もあります。そしてどうもこれは寺山修司のアイディアだったとか。

本作は天井棧敷時代、J・A・シーザーさんが初めて演出したお芝居だったそうです。82年のことなのですが、82年といえば寺山修司が亡くなる前年で、J・A・シーザーさんならもっと早くに初演出作があるのではと思ったのですが。この82年は寺山修司もだいぶ体調が悪くなっていたころで、それで寺山修司の代わりにシーザーさんが演出という事情もあったようです。
そして今年がシーザーさんが天井棧敷に入団し、寺山没後万有引力を立ち上げ、主宰するようになって50周年という記念の年だそうです。夫婦だったら金婚式ですな。

しかしやっぱり不思議に思ったのは。ほんとセックスというものは、愛し合う恋人同士なら至上の行為、それなのにこういう場合には最低に下劣な唾棄すべき行為になる。やってる事は同じなのに、よく考えたら不思議だなぁって思いました。

万有引力さんの公演は7月に奴婢訓。ただこれは一般のお客さんは入れない公演だそうです。そして10月にはヨーロッパで『奴婢訓』公演。という事で年内に一般向けの公演はないようです。ちょっとさみしいですが。首を長くして待ちましょう。

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