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2019/02/26

『海軍ダメージ・コントロールの戦い』

『海軍ダメージ・コントロールの戦い 知られざる応急防御のすべて』(雨倉孝之:著 光人社NF文庫)読了。文字通り帝国海軍のダメージコントロールの歴史とその戦いを解説した本です。

戦記なんか読んでると、やっぱり戦いの描き方はドンパチがメインになってると思います。もちろんそれは悪くはないのですが、受けたダメージをいかに軽減するか、艦が沈まないように守り、戦闘を継続するかという戦いもまたちょっと知りたいと思っていました。

軍艦には応急修理用の材木を積んでいるなんて話を昔読んだ事があって、横須賀基地だったかな、公開日に米軍の護衛艦を見たとき、通路の脇に角材や板材が置かれているのを見て、これがその応急修理用の資材かなぁと思って眺めたことがあります。現代なら材木なんかよりもっとハイテクっぽい部材を使うんじゃないかと思ってたのですが。

戦艦大和の本を読んでいて、「応急注排水装置」というものが設置されていると紹介されてるのを読んだことがあります。実際どういう品物だったかはよく分からなかったんですが。もちっとよく知りたいと思っていました。

今回本書を書店で見かけて、そういうずっとどうなってるのかなと興味を持っていた軍艦のダメージ・コントロールシステムについて解説された本という事で、ちょっと興味を惹かれて読んでみました。

本書は日清日露戦争から太平洋戦争終結までの日本海軍のダメージ・コントロールについて概説した本になってます。

その応急作業を行う軍艦内の組織、教育、そして機材等が紹介され、そして彼らの艦を守るための戦いが紹介されています。

かなりの尺を艦内の応急体制の編成の変遷に割いています。ミリタリーマニアってまず華々しい兵器のこととかに惹かれがちですが、まず組織論が軍艦にとって大事なんだなぁと。大勢の乗組員が効率よく一丸となって動けないといけないでしょうし。各員の階級、どういう権限を与えるかという、そういう編成上の問題。あと『組織』としての上下のしがらみとかも関わってくるみたいで、大変そうです。

応急のための機材や資材。しかし、それが充実してても激戦で損害を受けて動かなくなってしまう。被弾してそこに詰めていた要員も全員戦死してしまう。そういうことも多かったようです。

もちっとイラストとか図版があったらいいなと思いました。実際どんな機材を使っていたのか、艦の応急修理用にどんな資材を使って、どういう風に穴とか塞いでいたのか、実技的なものももっとよく知りたかったなと。

「応急注排水装置」の解説もありました。最初日本海軍では導入に消極的だったそうですが。
軍艦というのは浸水よりも傾斜の方が深刻なダメージになるそうです。だから、その傾斜を回復させる手法として応急注排水装置が導入されたとか。

可燃物の処理。かつて艦内の塗装に使われてたペンキは可燃性だったそうで、それを剥がした艦もあったそうです。また、不燃性のペンキものちには開発されたそうですが、なんかとてもいやな色だったとか。

そのころの日本海軍の艦内ってどんな感じだったのかな。ペンキが剥がされて鉄の地肌がむき出しになってた艦内。あちこち錆も浮いてたりして。あるいはその気色悪い不燃性の塗料で塗られた艦内、どんな様子だったんでしょうか。

可燃物を下ろすという話はよそで知りましたが。だから什器や寝具もだいぶ下ろされたそうです。海軍の寝具といえばハンモックで、大和型はベッド(ただし金属枠に布を張ったものを天井から鎖でぶら下げただけの物のようですが)だそうですが。ハンモックもそう寝心地がよい物ではなかったそうですが、それさえも使えなくて、床に毛布を敷いてごろ寝だったとか。床板も剥がされて鉄がむき出しの床に毛布でごろ寝。疲労も溜まるんじゃないかと思いますが。
テーブルも下ろされたので、床に座り込んで食事を取る写真も収められていました。座布団ぐらいはあったのかなぁ……。

本書の後半はその息が詰まるような太平洋戦争における各艦の応急戦の物語が描かれています。応急班員の奮闘で助かった話もありますが、やっぱり最後は沈んでいく話。そして死んでゆく水兵さんたち。「やっつけた」ではなく「やられた」話ですから息が詰まる思いがします。

でも、この「息が詰まるような」戦いもまた、いや、戦いこそが日本海軍の水兵さんたちの戦いであったのかなと思います。被弾し、あちこち破壊され、死傷者が無残に転がっている艦内。そういう光景がそれぞれの沈んでいった、あるいは辛くも生き延びた、軍艦の艦内で繰り広げられてたのでしょう。

本書はとても興味深く読みました。
おススメ本であります。

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