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2019/01/18

万有公演『リヴォルヴィング・ランターン』

荻窪のオメガ東京さんで演劇実験室◎万有引力公演『リヴォルヴィング・ランターン~劇場を運ぶ100人の俳優たち2019年版~』を観てきました。「リヴォルヴィング・ランターン」ってのは「回り灯籠」の事だそうです。

オメガ東京さんは初めて行く場所。荻窪駅からてくてく歩いて環八を越えてちょっと行ったとこ。基本的に住宅地になると思うのですが。小体なビルの地下でした。
1階がカフェで、地下に劇場があって。なんかに似てるなと思ったら、渋谷時代の天井棧敷館と同じといえば同じつくりですな。ビルの脇の小道から回りこんだところが劇場の入り口です。赤と黒を基調にしたゴシックな色使い。

規模的には中くらいの場所かなぁ。客席は階段状になっていてそこそこ視界はよかったです。席もみっちりでしたが、それでも座り心地はいいように工夫はされていて、デブ的にもそう苦しくはなかったです。

今回も指定席制。やっぱりそれが楽でいいです。

万有引力さんの公演は、開演時にすでに俳優さんたちがあちこちうごめいている事が多いのですが。
こんかいは舞台におひとり横たわった方、それから客席にも俳優さんがいました。なにやらわけの分からない言葉で会話しているよう。俳優さんたちの座っている席ももちろん客席なので、お客さんが入ってきだすと移動してました。

今回は黒を基調にした舞台装置。舞台奥はオメガ東京さんの作りつけの什器なのでしょうが、鏡になってます。それをそれを左右から覆うついたて。ついたてには窓が開いていて、鏡の一部分が見えるようになってます。棚もついてます。舞台奥中央に格子で囲めるスペース。そして「無人島」と呼ぶのでしたっけ、いろいろに使える木の台も。

公演のリーフレットを拝見すると、
『どいつもこいつも「代理人」の世の中だ…
私もきっと誰かの「代理人」なのではないだろうか?
我々は「代理人」にかくれる、のではなく
「あらわれるということに生きなければならない」のである。
「誰にでも化けられる二十面相」から
「自分自身しか記憶できない肉碑」へ!』
というアジテーションが記されています。

この『虚構』(フェイク)まみれの現代。仮面としての『代理人』に人々は隠れている現代。
『虚構』として、「誰にでも化けられる二十面相」として人々が生きていると見受けられる現代。それを私は「ヤな感じで寺山修司的な時代になったな」と思っていたのですが。

しかし、その寺山修司直系の万有引力さんの公演で、たぶん、『虚構』ではないだろう「自分自身しか記憶できない肉碑へ!」とアジテーションされてる。ううん、やっぱり私の寺山修司の理解は違っていたのかしらとちょっと思いました。あるいは時代がヤな感じで寺山修司的になりつつある現代、寺山修司の思想をもって、そのヤな感じで寺山修司化しつつある現代を乗り越えようという事なのかな?そんな事を思いました。いや、それもやっぱり『虚構』なのかな?

今回の内容はさらにいつもより抽象的に感じました。『詩劇』を超えた『論劇』とでも呼べばいいのかしら。演技と俳優さんたちのとうとうとした台詞回しで哲学的な演劇論が語られていきます。
この内容を把握したかったのですが、やっぱり二度三度と観ないとよく分からないかなと。
いや、今回はほんと、「解りたかった」内容でした。なにか大事なことが語られてるとは思ったのですが、もし私もそれが解れば更なる高みにいけそうな気がしたのですが、なんかそこまではたどり着けなくて、歯がゆかったです。

そして、小規模な劇場なせいもあるでしょうが、密度が凄かったです。

個人的に印象に残ったシーンのひとつが、スローモーションで走っていくシーン。なんか普通の演技のスローモーションと動きが違う感じがとてもしたのですが。どうしてかな?
万有引力さんお得意の完全暗転が今回も。完全暗転からかすかに明かりの「感じられる」シーン。それからメタ的に明かりがついてるのに暗転しようとするシーン。
ふたりの亡命希望者の少女のシーン。

サブタイトルが「劇場を運ぶ100人の俳優たち」。俳優さんたちは100人はいないでしょうから、観客も『俳優』になるのかな?って思ったのですが。
ラスト、その、舞台奥の鏡に観客の姿が映って、『俳優』でした。

いや、じっさい少々消化不良気味で、何度も何度も観たかったです。
二度三度と見てもっといろいろなことに気づいたり解ったりしたかったです。。

でもほんと、示唆に富んだ、面白い公演でした。私の中にもなにかこの公演で受けたものが残っていて、それが少しは自分の中で動いてくれるとよいのですが。そうなってくれないかなと熱望します。

次の万有引力さんの公演は4月にふたたび下北沢のザ・スズナリで『チェンチー族』という演目。万有引力主宰のJ・A・シーザーさんが天井棧敷時代に初めて演出された公演だそうですが。「残酷劇」と銘うってます。どんなお芝居なのかな?

あと、10月に『奴婢訓』のポーランド公演が控えていて、そのプレ公演として7月に武蔵野美術大学で『奴婢訓』だそうですが、関係者のみの公演になるのかな?ちょっと残念です。

次回の万有引力公演も楽しみにしています。

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