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2018/12/17

昭和精吾事務所公演『氾濫原』

12月14日の金曜日は新宿・シアターPOOで昭和精吾事務所公演『氾濫原』を観てきました。夜の部の方になります。

昭和精吾さんは寺山修司の率いる演劇実験室◎天井棧敷の団員でいらした方。あの伝説の「力石徹の葬儀」で弔辞を読まれた方です。
そして寺山没後はその語り部として、寺山の詩や短歌の朗読、お芝居の一節、当時の思い出話等の「語り部」として公演活動を続けられてきたそうです。

残念ながら昭和さんは3年前の夏の終わりに急逝されてしまったのだけど。今はこもだまりさん、イッキさんのおふたりが中心となって、昭和精吾事務所名義で公演活動を続けていらっしゃいます。

今回はイッキさんはスケジュールが被ってるのでご出演はなしという話でしたが、そのスケジュールがキャンセルになったという事で、イッキさんもご出演でした。

という方向でご出演は昭和精吾事務所の皆さんとゲストに(夜の部は)演劇実験室◎万有引力の小林桂太さん、梶原航さん、死神紫郎さんでした。演劇実験室◎万有引力は寺山修司没後、天井棧敷団員だったJ・A・シーザーさんがその衣鉢を継いで立ち上げた劇団になります。

物販で小さなシロの生首のマスコットが売られてたので買ってみました。オリジナルは寺山修司の『犬神』ってお芝居を昭和精吾事務所がかけた時に使われた品物だそうですが。
それは拝見してないのですが、
ただ、昭和さんがその『犬神』の一節をなさった事があって。『犬神』で使われたという仮面をかぶると昭和さんがそのまとっている空気までがらりと変わったのは凄かったです。

席は満席状態、ややあって開演。

なんか、開演までちょっと不思議な心地がして、それが何か気がつきました。
昭和さんの声やお姿がありません。
昭和さんが亡くなったあとの昭和精吾事務所公演、開演前に昭和さんの声や映像を流すことも多かったと記憶しています(間違ってたらごめんなさい)。
今回はそれなしで開演しました。

こもだまりさんとイッキさんの前説から自然な流れで短歌掛け合い。寺山修司の短歌をかけあいます。これはもうほんとうにおなじみのもの。

ゲストの死神紫郎さんのコーナー。エレアコでした。もともとは舞踏と弾き語りの融合と私は思っているのですが、まるで体重がないかのようにふわふわと舞台を漂いながらの死神紫郎さんのお唄、素敵でした。

『長編叙事詩・李庚順』もありました。これもド迫力のナンバー。寺山修司が唱えた「母殺し」をモチーフにしたもの。寺山修司とその母・はつの関係がモデルになってるかと。
これはこもだまりさんがメインで、昭和さんの映像を流しつつというスタイルにする予定だったそうですが、機材トラブルとかで急遽こもだまりさんとイッキさんのおふたりでというスタイルになったそうです。

その力石徹への弔辞もありました。イッキさんの「アメリカよ」もありました。あの、昭和さんから受け継がれたボロボロの星条旗を振りながらのアジテーション。

ゲストの梶原航さんの演目は『短歌零年』。これは寺山修司の短歌をモチーフにした作品です。「さみしい時の口の運動」みたく、バラバラにした寺山の短歌をランダムにつなげていくという趣向。

そしてこもだまりさんの演劇ユニット・麻人楽さんの『血系譜』。これは岸田理生さんの作品をモチーフにしています。岸田理生さんも天井棧敷出身の方。
いつもの麻人楽さんのスタイルで、スクリーンに映像を映しながらのお芝居。朗読コーナーにも少し参加された小林桂太さんも加わっての吸血鬼のおはなし。

今回の公演も楽しみました。

そして、ふと気がついたのですが、今回は昭和さんの声も映像もありませんでした。アクシデントの結果でもあるのですが。
ほんと、昭和さんが亡くなってからの公演でも、私が拝見した範囲ですが、毎回昭和さんの声や映像が流れたと思うのですが。

昭和さんの声や映像が流れない昭和精吾事務所公演。何か、ひとつの新しいフェーズに入ったのかなぁと思います。
もちろんそれは昭和精吾事務所公演で、昭和さんが遺されたものが脈々と息づいているのですが、しかしそこに昭和さんの直接のお姿はない。そういうフェーズに入ったのかなぁと。うまく説明できないけど、そうだったと思います。

次の昭和精吾事務所公演は来年の6月とか。
平成最後の昭和精吾事務所公演でした。

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