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2017/09/08

みなもと太郎『マンガの歴史1』

『岩崎調べる学習新書 マンガの歴史1』(みなもと太郎:著 岩崎書店:刊 Kindle版)
読了。文字通り漫画の歴史について書かれた本です。第1巻ということでシリーズ化されるようで、本書は終戦~60年代の話となっています。
みなもと太郎は漫画家ですが、これは字の本。

みなもと太郎はその代表作であろう『風雲児たち』を恥ずかしながら未読です。単行本もあまり買った記憶はありません。子供時代の学年雑誌に掲載されていたギャグマンガを楽しく読んでいたのがメインだったかと。あのしゅっしゅとした線づかい、口のフチをぐるぐるぐると線で描いた特徴的な絵。面白く読んでました。

私は休刊前の1年半ほど『マンガ少年』誌を読んでいたのですが。『みなもと太郎のなんだなんだなんだ』を毎号楽しみにしていました。これはマンガ論エッセイだったかなぁ、メインは。「マンガ描きは版下作業」「一生懸命それを目指してデビューして、その先に広がるのは一面の荒野」なんて痛烈な指摘は記憶に残ってますし、身に染み付いてます。ま、あたしは何者かになろうと努力した経験はないのですが。
この『なんだなんだなんだ』は単行本になってくれないかなぁっていつも思うのですが。

そういうことで、氏がお書きになったマンガの歴史解説書という事で、面白そうと思って購入しました。

この「岩崎調べる学習新書」シリーズですが、「調べる学習」というのは、「子供たちが自分が興味を抱いた分野について自主的に調べ、学んでいくという学習方法」(巻末の「『岩崎調べる学習新書』について」より)だそうです。私はKindle版を買いましたが、紙本版は開きやすい「コデックス装」という装丁を使ってるそうです。
そして漢字には一部ルビが振られています。そのおかげで私はずっと「水野英子」を「みずの・えいこ」と読んでたんですが、ほんとうは「みずの・ひでこ」って読むのだと知りました。大人向けのルビのない物しか読んでないとなかなかに気づかないことかなと。

さて、以下に『マンガの歴史』の私的感想を。

本書の目次はこのようになってます。

はじめに
第一章 終戦まで
第二章 手塚治虫と『新宝島』
第三章 貸本マンガと『漫画少年』
第四章 トキワ荘
第五章 劇画の誕生
第六章 少女漫画と水野英子
第七章 週刊少年マンガ誌の登場
第八章 『W3事件』と『巨人の星』
『岩崎調べる学習新書』について

前述のように第1巻として、終戦直後からをメインに、60年代くらいまでの話かな。
やはり手塚治虫の登場をエポックとして書かれていますが、その登場にも前史としての流れはあったんだよという話もあります。そこらへんの「流れ」を大切にする姿勢が『風雲児たち』にも通じるみなもと太郎のスタンスのようです。その前史が第一章になってます。

第一章で、日本マンガのルーツとして円山応挙が描く犬の絵を紹介しています。私は円山応挙っていうと幽霊画の人くらいの認識しかなかったのですが。そして、マンガのルーツというと鳥獣戯画あたりを思い浮かべるのですが。
そういわれて確かにネット検索してみるとかわいい犬の絵です。そしてその「かわいさ」ってのは諸外国にはない日本独特のものと紹介されてします。

あ、そうそう。本書にはいっさい図版は入ってません。だから円山応挙がどんな犬を描いてたかなんてのは改めてネット検索しないと分かりません(これはKindle版の話で、紙の本の方には入ってるかもしれませんが)。ま、現代は、そういうのってネット検索すればすぐ見つかるから、そこらへんはこのシリーズの「自主的に調べる」というスタンスなのかなぁと。

また、絵巻物とかいった日本独特の絵物語の世界。そして開国してから入ってきた西欧の風刺画の世界とか、そういうものが日本のマンガ文化のルーツとなったようです。

そして手塚治虫の登場と。ただこれもまた。手塚史観、トキワ荘史観、それは十分取り上げていますが、それだけではない、その他のいろいろな流れについてもまんべんなく言及されています(と私は思いました)。

私みたいなあまり詳しくない者が日本におけるマンガの歴史を知りたい、そういうのにとてもよかったです。

さて、前述のように本書第1巻ははだいたい60年代半ばまでのお話でした。そして、2巻以降も楽しみです。
初期手塚治虫とかトキワ荘とか、ある程度は本で読んだりしてましたが、時代が下るにつれて、私のマンガに対する知識はだいぶ減りますし、あの時代をどういう語り口で教えてもらえるか、楽しみです。
どのくらいの時期まで「歴史」としてお書きになるのかなぁって思いますが、できればできるだけ近年まで取り上げてくれたらなぁと2000年以降とかも。

第2巻以降も楽しみに待ちたいと思います。わたくし的には吾妻ひでおについて書かれたくだりが読みたいなぁと思うのですが。あのころ、吾妻ひでおの登場は衝撃でしたから。2巻の範囲に入るかしら。

ほんと、次のも楽しみにしています。

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