『Bへのオマージュ』展
昨日は日本橋大伝馬町のみうらじろうギャラリーさんで、「Bへのオマージュ」という展覧会を見てきました。出展者の中にファンな綺朔ちいこさんと横山宏さんというびっくりする組み合わせを見つけたので。
綺朔ちいこさんと出会ったのはもう十何年か前。寺山修司関連のイベントだったと思います。幻想の少女解剖図といった風情の作品で、解剖図好きとしてはいっぱつて好きになりました。
ちなみに好きな人形作家さん、清水真理さんも近年、幻想の少女人体模型というような作品を作っていらっしゃいます。感性が通底しているのかしら?
横山宏さん、思い出深い方です、モデラーとして。もう三十年ちょっと前の話ですが。ホビージャパンという模型雑誌で「SF3Dオリジナル」という連載をなさっていました。
その数年前まで、模型雑誌は架空の存在の模型は扱わないというのが不文律でした。「架空の存在」って、アニメとかのキャラクター物ですね。
しかしホビージャパン誌は大きく舵を切り、キャラクター物の徐々に模型を扱うようになり。そして、折からのガンプラブームに乗り。ホビージャパン誌は大いに部数を伸ばしました。
もう一方、ホビージャパン誌はガレージキットに不可欠な技術、原型をシリコンで型を取ってレジン等で複製というテクニックの紹介特集もありました。最初は戦車の転輪とか、同じのが複数いるパーツのため、っていう文脈だったと記憶していますが、そこから個人レベルで頒布できる模型キット、ガレージキットが生まれて(それ以前にもバキュームフォームとかありましたけど)。
そういうことで、あのころのホビージャパン誌は、今日まで続く、キャラクターキットブーム、ガレージキットブームの礎を築いたと思います。いや、閑話休題。
そうした流れの中、ホビージャパン誌で横山宏さんが始められたのが「SF3Dオリジナル」の連載でした。アニメとかのキャラクター物を越え、自身のオリジナルでSFメカの模型を作るって連載でした。横山さんと、あともうお一方いらしたと思うのですが、隔月で交互にって思います。
めちゃくちゃかっこよかったです。ホバー戦車、ホバー攻撃機、パワードスーツ、反重力機、機関車とかもあったと思います。毎月楽しみにしてました。
そのうちのいくつかはのちにキット化されたようですが。そこまでは追いかけてないのですが。そのころはもうほぼモデラー廃業してましたので…。
だから、横山宏さんは思い入れ深い方です。
しかし、綺朔ちいこさんと横山宏さんの作品が並ぶ展覧会があるなんて一ミリも想像してませんでした。たまげました。
いやもう閑話休題。つかずーと閑話でしたか…。
「Bへのオマージュ」展、会場のみうらじろうギャラリーさんは雑居ビルの一室にある小体なギャラリーさんでした。
「Bへのオマージュ」の“B”とは画家のバルテュスのようです。少女をモチーフに絵を描いていた人、ぐらいの認識しかありませんが。先日展覧会が来たのかな、それでちょっと興味を持ちましたが、人ごみが大の苦手ですので、展覧会は結局行かずじまいでした。
「Bへのオマージュ」として、バルテュスオマージュの作品、数人の方が1~数点づつ出展されていました。
綺朔ちいこさんは短冊サイズの数点とちょっと大きめの小品が1点でした。もう幻想の少女解剖図という作品はありませんでしたが、綺朔ちいこさんの描く女の子の風情、好きです。
ほかの方にも裸像もいくつか、膨らみ始めた胸に小梅のように小さく色づいた、小梅のように硬そうな乳首…。
横山宏さんの作品は。なんかパワードスーツでも着た戦場の少女とか、メカ少女みたいのかなぁと思っていましたが。ベンチに横たわる少女と、「孤独のグルメ」の井之頭五郎ぽい、ちょっと渋めの男性の立像と、男性の足にスリスリする猫のフィギュアを使ったボックスディオラマでした。少女は足を上げていて、スカートの中が覗けます。白いの…
ベンチに横たわった少女は、スカートのすそに紐をつけて、それを上から引っ張ってるのですが。「接着剤が糸引いちゃったのかな」と思わず思ってしまった元・モデラー根性。
ほかの作品にも少女が自分の着ているスカートにつけた紐を引っ張ってる作品があったので、バルテュス作品的にはおなじみのモチーフなのかもしれません。
ボックスディオラマというディオラマ(情景模型)の作り方を知ったのも、ホビージャパン誌の別冊のディオラマの作り方の解説本で初めて知りました。視線をある程度限定できるから、それを念頭に置いた作り込みができるとか、薄暗くして照明を点けて演出効果を出せるとか、そういう解説もあったと思います。
どうやら横山宏さんともうお一方のトークショーもあったそうで、横山氏はかなりのバルテュス通でもいらっしゃるようです。
実は最初、この案内に横山宏さんのお名前をお見かけして、「同姓同名の別人だよなぁ」と思ったのですが、肩書きに「モデラー」とあって、同一人物だと驚いたのですが。
ほんと、自分の中では別々なものだと思っていたものが、実は通底してたのかなぁと思わされた、面白い展覧会でした。
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