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2016/04/13

『世界一やさしい精神科の本』

『世界一やさしい精神科の本』(斉藤環&山登敬之:著 河出文庫)読了。
タイトル通り、精神病や精神科についての初歩的な入門書です。

斉藤環さんのお名前は以前から存じ上げていましたが。最近の「引きこもり」に関するツィッターでのご発言に、引きこもりに片足突っ込んでいた私は(今でもお金の問題がなければ引きこもりしたいです)興味を持ち。「なんか御著書を拝読したいなぁ」と思って近所の本屋さんで見つけたのが本書です。

本書は総花的な精神医学入門となっています。これって逆に珍しいんじゃないかな。精神病の本って、ご当人や家族や親しい方が患ってる(かもしれない)精神病についての解説とか治療法の本が多いんじゃないかな。たとえばうつ病の本とか、発達障害の本とか、人格障害の本、とかを手にと取ると思いますし。
本書は単行本のときは「14歳の世渡り術」シリーズの一冊だったそうで。だから、総花的な書きようになってるようです。そして、巻末に「もしも精神科にかかるときには」と「精神科の仕事に関心を持ったら」と最初に対象として書かれた子供たちの将来を考えた項が入れられています。

もくじは、

第1章 みんなのように上手にできない-「発達障害」について 山登敬之
第2章 人とつながってさえいれば-「ひきこもり」について 斉藤環
第3章 人づきあいが苦手なんです-「対人恐怖/社交不安障害」について 斉藤環
第4章 やめられない止まらない-「摂食障害」について 山登敬之
第5章 自分がバラバラになっていく-「乖離」について 斉藤環
第6章 トラウマは心のどこにある?-「PTSD」について 斉藤環
第7章 「困った人」とどうつきあう-「人格障害」について 斉藤環
第8章 なぜか体が動かない-「うつ病」について 山登敬之
第9章 意外に身近な心の病-「統合失調症」について 山登敬之
おまけ1 もしも精神科にかかるときには 山登敬之
おまけ2 精神科の仕事に関心を持ったら 山登敬之
文庫版あとがき 斉藤環

となってます。私が知ってる精神病はだいたい網羅されてるかなぁ。「認知症」がないけれど。あれは精神病というより内科系の病気かな。

メンタルヘルスに興味がある者として、自分はやや精神を病んでいるのではないかと思っている者として、本書はとても面白く読めましたし、いろいろな発見がありました。

ずっとそういう訴えをしている人にとっては、もう「他人から嫌われている」って考えること自体が、自分の「存在理由」みたいになっちゃってるんだね。(64p「対人恐怖/社交不安障害」について)

ぐさっ…

自分がマイナス感情に支配されているときは相手がそういう感情を持っているというふうに思いこみやすいというということ。(142p「人格障害」について)

これはThe Doorsの"People are Strange"って歌がそれを教えてくれて、気づかされて、気をつけていることであるのですが。

「うつ病っていうのは、動けなくなる病気なんですよ」(152p「うつ病」について)

憂鬱だから動けなくなるんじゃなくて、動けなくなるから憂鬱かも、それは目から鱗の解釈でした。
私事ですが、ほんと、休みの日とか、ピクリとも動くのが億劫になるときがあります。たとえば、トイレに行きたいのに、動くのが億劫でどうしてもトイレに立つことができず、漏らしかけるとか。そうか、逆に考えるとわかりやすいな。
いや、メンタルヘルスを考える場合、機序を逆に解釈したほうがいいってのは今までの経験からもあります。

数年前まで、夜中に目がさめて、強大な不安感、死とか、自己の消滅に対する不安感に襲われて、いてもたってもいられなくなる発作が起きるときがありました。もうどうしようもなくて、じっとしてられなくて、夜中に部屋から飛び出してうろついたり。

でも、あるとき、「これって死の予感を感じたから不安感を感じるのではなく、強力な不安感を感じることが先にあって、それを、『それだけ強大だから死の不安じゃないか?』って脳が解釈してるんじゃないかしら?」って考えることで、少しそれが楽になりました。そしてそれは今はめったにありません。(タバコをやめたのも良かったのかしら?)

だから、精神状態を考えるとき、その機序を逆にして解釈してみるってのは、最近良くやってます。何かを目にして怒りの感情が湧いたのではなくて、怒りの感情が先にあって、逆にそれをぶつけるために対象を探して見つけるのでは?とかね。

そそ、本書中でいちばん面白かった指摘を以下に書きます。

ところで、世界でもっとも有名なボーダーライン文学がなにか、みんな知ってるかな。そう、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』だね。
あれはボーダーラインの標本みたいな小説だから、共感しすぎるのはほどほどにしたほうがいい。あれは深いようで浅いようで深いというヘンな小説でね。少なくとも共感だけで読むとアメリカ版の「あるあるネタ」みたいにも読める。(143-144p「人格障害」について)

あたし、『ライ麦畑~』を大感動して読んで、大傑作と思ってるんですけど…。バッサリだー(苦笑)
そして日本におけるボーダーライン文学作家の代表として、誰もが思い浮かべるアノ作家の名前を挙げてます。っていうか、日本の純文学ってだいたいボーダーラインじゃないかしら?

斉藤環さんのツイッター発言ですが。引きこもりの「矯正」のため、引きこもりをしてる人をドアを壊してでも部屋から引きずり出して、矯正施設に収容するっていう業者のやり口について、それがおかしいというご指摘でした。

私はそれに頷くと同時に、自分の根っ子に染み付いた「マチズモ」というか、「しばき主義」が、「引きこもりは甘え」「欝は甘え」「引きずり出して矯正しろ」と囁くのも、また同時に感じました。ほんと、自分の根っ子に染み付いて、自分をさいなんできたもの。近年やっとその存在に気づけたもの。なのですが。その「しばき主義」的な思いも、本書を読んでうずくように浮かんではきました。

斉藤環さんのご著作はこれから折に触れて時々読んでみようかと思ってます。
もうちょっと楽に生きて行けるようになれるかもしれませんし。
そうできたらいいな。

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