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2016/02/12

万有公演『奴婢訓』(2016)

高円寺の座・高円寺でやってる演劇実験室◎万有引力の第61回本公演『奴婢訓』を観てきました。万有引力さんは昨年秋にブラジル公演があったそうで、その凱旋公演になります。

万有引力の演目の中で、『奴婢訓』はいちばん多く拝見しています。新国立劇場、それからシアター1010(センジュ)、2012年のシアタートラム。そして今回の座・高円寺。4度目になります。

『奴婢訓』は万有の(というか、寺山演劇の、かしら)演目としてはある意味、「わかりやすい」演目になるかなぁと思います。ま、4度も見てるせいって言えるっちゃ言えるとも思うのだけど。

「主人」不在のお屋敷、そのお屋敷で働く奴婢たちは、めいめいが替わりばんこに「主人」を演じて屋敷を切り盛りしている、と。そしてある日やってくる。「主人」の相続人と称する男。
もちろん万有の(そして寺山の)お芝居ですから、たとえば、主人不在のミステリーが解き明かされて事件解決、とかそういう「リアルな」展開ではありません。
そのシチュエーションから幻想的な、イメージ的なシーンが積み重なっていくというかたち。普通のストーリー性の高いお芝居を「物語」とするなら、こちらは「詩」というか「論」といった感じです。

万有の客入れは整理番号順にお客さんを並べていっせいに入場する、そして席自体は自由席ってのが多かったのですが、今回は指定席制でした。そしてもちろん入場するともうすでに役者さんが舞台上をうごめいています。

今回の奴婢訓は、舞台奥に一部三階建ての台が組まれていました。いつもの万有の舞台のように、ほんらい舞台に設置される幕のたぐいはほぼ取り払われていて、舞台天井近くにあるキャットウォークも舞台として使われていました。

万有引力の『奴婢訓』の魅力のひとつは小竹信節教授による(?)奇妙なオブジェたちです。2013年にワタリウム美術館であった「寺山修司展『ノック』」でも一部が展示されていましたが。
冒頭に登場する、椅子に座った全裸の男にヴァイオリンでできたかつらと義歯を装着する機械とか、自動折檻機とか、ふたりの男を水平に吊るす機械とか、椅子に座るふたりの上下が入れ替わる機械とか。動くものはほんとにきちんと動きます。すごいです。よくできてるってのもあるし、使うのにかなり体力が要りそうな物もあって、役者さんもすごいと思います。

今回改めて気がついたけど、小コーナーの積み重ねのようなスタイルですから、そのコーナーを「パーツ」として他のお芝居でも使ったりするようですね。
骨を投げられて犬になっちゃう演目とか、もだえるテープレコーダーとか、万有の他のお芝居、そして他の劇団さんのお芝居でも見かけたような。それぞれの小演目に何か名前がついてるのかな。

視線を固定させない、気がついたらほかの場所でほかの事やってるスタイルも好きです。

「マッチ擦る」シーンもありました。炎ももちろんいいですけど、かすかに漂ってくる硫黄の匂いもよいものです。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ネタもちらりと。『~デス・ロード』を観た時、「ウォー・ボーイズは万有のぱくりだぁ!」と思わず思ってしまいましたわ(笑)

奴婢たちが「不在の主人」の代役としてかわりばんこに主人を演じる。それは現代において何のアレゴリーであるかなと。そして主人だけで、奴婢が不在の社会は。
どうなんだろ?

そして宮沢賢治をちりばめた作品の世界観もふしぎ。ここらへんはどういう理由があるのでしょうか。

エンディング、ぴちぴちと跳ね回り(『滅亡』と呼ぶのでしたか?)、倒れ伏し、そして昇天していく役者さんたち。

上演時間は2時間ぐらいだったかな。
たっぷりと楽しみました。

次の万有公演は6月で『犬神』だそうです。
そして5月はJ・A・シーザーさんのコンサート。
あと、アトリエ公演もあるのかな。

楽しみです。

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