トークショー「新高けい子 劇的ことば」
土曜日は幡ヶ谷のATAMATOTE2-3-3さんで第11回ことばラボ「新高けい子 劇的ことば」を拝見してきました。寺山修司の映画『田園に死す』の上映と、『田園に死す』にもご出演された演劇実験室◎天井棧敷の名花でいらした新高けい子さんと蘭妖子さんのトークショーでした。
京王線の幡ヶ谷駅を降りてテクテクとしばらく歩いてATAMATOTE2-3-3さんへ。ATAMATOTE2-3-3さんは榎本了壱さんのデザインスタジオみたい。
榎本了壱さんは先日下北沢の本屋さんで萩原朔美さんとのトークショーも拝見しています。寺山の句集『花粉航海』の分析図が素晴らしかったです。また、世田谷文学館やワタリウム美術館の寺山修司展で展示されていた寺山修司の人物事物との関係が細かく書き込まれた相関図も素敵でした。
そう、ちょっと訂正。その下北沢の榎本了壱さんと萩原朔美さんのトークショーの感想をこのブログに書いたのですが。そこで私が小さいころ、NHKの子供向け教養番組で榎本さんを見ていた、と書きました。でも、改めてネット上でざっくりと調べると、榎本さんご自身はNHKの子供向け番組の司会をなさっていましたが、年代的には私の記憶のころとずれていました。記憶違いだったのかなぁ。どこかで混ざってしまったのかもしれません。謹んでお詫びし、訂正いたします。
いや、閑話休題。
最初が『田園に死す』の上映。ビデオソフトは持っていませんが、上映会で何度か拝見してきた作品です。
しかし今回また見てみると憶えていたのと違うところがあったり、こんなシーンもあったのかと思う部分もあったり。
ほんと、すべてのショットがアングラや前衛、シュールレアリズムのお手本になりそうな美術センスであったなと、改めて。
ご出演の新高けい子さん、蘭妖子さんがいらしてたのだから、おふたりのトークも交えての上映でも面白かったかもしれないなと少し思いました。
そして榎本了壱さんがご司会で新高けい子さん、蘭妖子さんのトークショーでした。
四方山話、面白く。そして新高けい子さんのお声の素晴らしいこと。とてもよく通るお声で、朗々と響いて。元気の出るお声でした。そのお声の通り方がほんと、さすが舞台で鍛えられてきた方であると。
高校時代、演劇部の先輩から、役者というのは肉声で声を通さないといけない、といつも言われていました。ま、でも、その後、音響機器の発達で、舞台でも役者さんがマイクを使うのが当たり前になったのだけど。でも、新高さんのあのお声なら、大きな劇場でも声が通るのではないかと。
興味深い指摘もありました。
寺山の有名な短歌(そして私も大好きなのですが)、「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」の『海』は陸奥湾がモデルではないかということ。(地元だから当たり前かもしれませんが)
それから『田園に死す』でもそうだったけど、なぜ襦袢姿なのかという話。襦袢は和服でいえば下に着るものだから、よく考えたらおかしいですね。もうなんかそれが当然みたいに受け入れてますが。寺山は着物の帯の「かぱっとした」感じが嫌いで、竹久夢二みたいな体のラインが好きで、それを出そうとして、襦袢だったようです。
終演後、お酒やお料理も頂いて。
私が寺山修司と出会ったのは高校時代、演劇部室に転がっていた角川文庫版の寺山修司戯曲集だったのですが。その中の『大山デブコの犯罪』もあって。その中の「人生はお祭りだ!いつもどこかでお囃子が鳴っている」という台詞が印象的でした。
それから幾星霜、まさかその公演でその台詞をお喋りになった新高さんのトークショーで、そのオリジナルの節回しで、その台詞を聞ける日が来るなんて。なんかとっても不思議な心地がしました。
ほんと、良くして頂いた皆様、我が身に余る光栄でありました。
とてもありがとうございました。
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