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2015/04/24

船戸与一さん逝く

冒険小説作家の船戸与一さんの訃報を知りました。
たぶん、作家としてはいっとう好きで、いちばん読んでた方ではないかと。

私は日本冒険小説協会というところに入ってました。ま、その資格があったかどうか今でも疑問なのですが。
船戸与一さんは日本冒険小説協会大賞を何度もおとりになり。年1回、春に開かれる日本冒険小説協会全国大会にも何度もご参加いただきました。少しお話したこともありますが。

船戸与一の冒険小説は、…なんといってもまず分厚い!今はワープロ書きが普及し、分厚い小説も多く見かけられるようになりましたが。手書き原稿時代にあの分厚さはすごかったです。日本冒険小説協会公認酒場・深夜+1でも「船戸与一の新作は2千枚書いてン百枚書き直したらしい」なんて話を聞いていました。

私がネット日記をつけ始めて、数年して書き溜めた文章の分量を見て、「船戸与一1冊分ぐらい書いたぞ!」と気がついたときの達成感は大きかったです。もちろん内容は月とスッポンですが…。なんか文章を一杯書くことが船戸与一基準になってたというか。

そしてその分厚さを気にさせずにグイグイ読ませてくれるそのパワー。
ページを繰るのももどかしく。凄かったです。

ただ、近年はわたし自身が小説をあまり読まなくなってしまい。メンタルコンディションの問題でしょうが。
この10年使ったブログを検索しても船戸与一作品の記事はありませんでした。読んだけど書かなかったという可能性もあるけれど。それに気がついてしょんぼりとしました。そんなに読んでないのかって。

情けないです。

もうひとつの船戸作品の特徴は、いいキャラを惜しげもなく殺すことでしょうか。
また妙に「希望」を遺すような作り方も拒否すると。主人公は死んじゃったけど、主人公の子を宿した女性は生き残る。しかし女性はその子を流産してしまう。そういう打ちのめしに来るような小説もありました。

ちょう面白本で、しかもそういう風に来られるから、すっかり打ちのめされてしばらく欝になった事もありますよ。
でもそれもまた「冒険小説」だと思います。ビターエンドはダメ、読者サービスてんこ盛りでご機嫌取りに来るような作品ばかりでは…、と思います。もちろん苛烈な展開、ビターエンドな作品は甘々でハッピーエンドな作品より書くのも読者を満足させるのははるかに難しいと思います。

闇から迸るような血を熱くさせる暴力。「血しぶきの祭り」

そいや4年前、『魔法少女まどか☆マギカ』という深夜アニメがあって。お話の序盤にメインキャラの少女がひとりあっけなく死んでしまう展開があって。アニメファンは阿鼻叫喚となりましたが。その騒動を腋で見ていて「それは船戸与一ファンが30年前に通った道だ」と思ったりもしました(笑)。

うん、ほんと、近年は読まなくなってしまっていて。こういう追悼文を書く資格があるのかどうかもわからないけど。

でもしかし。

大好きな作家さんが亡くなった時、もしなにかできることがあるとすれば。
それはその作家さんの本が素晴らしいゾ、良いゾとオススメすることぐらいでしょう。
そう思います。

『非合法員』
『群狼の島』
『夜のオデッセイア』
『血と夢』
『山猫の夏』
『神話の果て』
『カルナヴァル戦記』
『猛き箱舟』
『伝説の地』
『緑の底の底』
『砂のクロニクル』
『蝦夷地別件』
『かくも短き眠り』
『蟹食い猿フーガ』
『午後の行商人』
『龍神町龍神一三番地』
『虹の谷の九月』
『新宿・夏の死』
『河畔に標なく』
『叛アメリカ史』(豊浦史朗名義 ルポルタージュ)
『諸士乱想 トーク・セッション』(対談集)
近所の書店に行こう。無ければAMAZONだBK1だセブンアンドワイだ。それでもなければ古本屋さんだ。さらに古書をスーパー源氏で探す手もあるぞ。
全部まとめてオススメだぁ!

さみしいの…。

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