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2015/04/12

五島一浩展『「これは映画ではないらしい」「SHADOWLAND」その他の作品』

京橋のギャラリー、ASK?さんで映像作家の五島一浩展『「これは映画ではないらしい」「SHADOWLAND」その他の作品』の展覧会をちょっと覗いてみました。最終日だったのですが。

五島一浩さんの映像作品を初めて観たのはイメージフォーラムフェスティバル(シネマティークの方かも?)でした。「FADE into WHITE」だったと思います。モノクロームなのですが、中間のグレーがない、白か黒の3DCGI作品。この「FADE into WHITE」はシリーズ化されて、何作か拝見しています。このシリーズの静謐なたたずまい、好きです。

そのあともイメージフォーラムフェスティバルでちょくちょく作品を拝見していました。実写系も近年あるようなのですが。
ただもうイメージフォーラムフェスティバルもほとんど足を運ばなくなってしまい、作品を拝見する機会もめっきり減ったのですが。

久しぶりに拝見したいなと思って行ってみました。

ギャラリー入ったところに『これは映画ではないらしい』という作品の展示。

「映画」というのは静止画をパッパッパと次々すばやく切り替えて見せることにより、視覚の残像現象を利用して、絵が動くように見せるシステムでありますね。これは映画以前の残像現象を利用して「動く絵」を見せる各種の工夫から現代の最新式のデジタルムービーシステムまで同じ原理なのだろうけど。これはその「静止画パッパッパ切り替え」方式ではない「動画」を見せるこころみ。

カメラのフィルム部分に細かく格子状にグラスファイバーを並べて、フィルム部分に結ぶ映像を画素に分解します。このグラスファイバーを縦に並べて、それを横に移動していくフィルムに焼き付けます。縦に画素が並び、横にそれぞれの画素の時間的変化が記録されるというわけ。上映時にはフィルムに光を当て、その縦に並んだ画素をグラスファイバーを使ってまた元通りに格子状に並べ、元の画像に戻すという仕組み。そしてフィルムを横に移動させると、その画像が元のように動いて見えると、そういう仕組みです。(うまく説明できたかな?説明は得意じゃないのだけど)
(後日追記:五島氏ご自身によるこの手法の解説動画がYoutubeにありました。https://youtu.be/E4i-3Pc6nCEにて)

この機材は確か以前にもイメージフォーラムフェスティバルの展示コーナーで見てます。ただ、そのときは何がなんやらさっぱり理解できなかったのですが。今回は解説ムービーを拝見できたおかげでわかりました。そうか、こういう原理なのかって。面白いです。

これが五島さんのアイディアか、なにか他の技術を応用したものか、よくはわからないのだけど。例えばなにか、フレームとフレームの間に大事な事が起きる可能性があって、普通の動画は使えないような現象を研究するためのデバイスとか、そういう需要はあるんじゃないかしら?

奥の上映コーナーでは『SHADOWLAND』と『東京浮絵百景』の上映がありました。3D上映です。偏光版を使った3Dメガネかなぁ。どちらも実験的な手法を使った3D映像です。「実写」です。

『SHADOWLAND』は光源が移動して、それにつれて移動する影。その影を時間差で左右の目に送り込むことにより、影を立体的に見せるというこころみ。だから、「リアル」な意味での「3D映画」ではないのだけど。でも、影が浮き上がって見えてくるのは面白い映像でした。ただ、だから、3Dに見えずにふたつの影に見えてしまうときもままあったけど。それもまた面白いです。
『東京浮絵百景』も同じく、ステレオカメラなど使わず、2Dの映像を、時間差で左右の目に送り込むことにより、擬似的な3D映像を見せるという方式でした。だから、『SHADOWLAND』と同じく自然っぽく3Dに見える部分も、不自然で違和感を感じる部分も、混ざっていて、それが面白かったです。

あと、地下では五島さんの過去作のビデオ化されたのが置かれていて、お客さんが自由に見られるようになってました。

なんていうのかな、今まで生きてきて慣れてきた視覚の世界、それを紊乱するような作品が多くて面白かったです。外光を捉える目玉、そしてその器質的特性と経験によって目玉から得た映像を解釈する脳みそ。そのシステム。その映像解釈の日常的なパターンを壊されるような快感がありました。

その手法に気がつく部分も面白かったですが。さらに、一見は日常的な風景なのだけど、どこか違和感を感じる。その違和感をなぜ感じるかは意識下ではあまりよく気がつかない、そういうのもさらに面白かったです。

展覧会、面白かったです。
しかしほんと、どうしてこういうの、思いつかれるのでしょうか。
そして、どういう風に作っていらっしゃるのでしょうか。
とても不思議に思いました。

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