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2014/08/21

日本SF展

お盆休みに世田谷文学館で開催されている『日本SF展・SFの国』に行ってきました。
世田谷文学館、寺山修司関連の展覧会に何度か行っていて、なんとなく親しみを持っている場所でありますし、そこでSFをテーマにした展覧会が行われるというので興味を持って、それで行ってみました。

私はSF者かな?その資格はないと思います。星新一が私の読書入門でありましたが。必読作とされているものですら読んでないのはいくらでもあります。
しかしまた、あのころを生きていた者として、SFの薫陶は受けていたと思います。図書館にあったSF解説本を読んで知ったかぶりをしたりね。
逆に「あのころ」を子供時代として過ごした人間で、SFの影響をまったく受けずに育った人間のほうが珍しいと思います。

「あらゆるジャンルに浸透と拡散を行い、今やジャンルではなくなった」(本展パンフレット 収録の筒井康隆『多元宇宙のように』より)“SF“、マンガ、アニメ、ゲーム等の世界に拡散し。だから逆にその存在が遍在するぶん、希薄となってしまう運命を辿りましたが。
でも、そういう意味で現代の(若者)文化で、SFの影響を受けてないものを探すほうが困難ではあるかと。そう、現代において“SF”は空気みたいな存在であると。

ま、その「SF」を紹介する展覧会。どういう形になるのかなぁという興味もありました。
何を、どういう形で紹介するか。
日本におけるSFの勃興とそれが(若者)文化に与えた影響、それを学ぶなら、それこそ学者さんがじっくり研究したり、大学で1年がかりの講座で教えたり、大部の著作で読んだりのボリュームのものにもできるかと思います。
それを時間とスペースの限られた展覧会でどのようにやるのかなぁという興味もありました。
どういう取捨選択がされているのか、どういう形でプレゼンされるのか。

(以下、メモを取りながら見学してなくて、記憶を頼りに書いていますので、間違いがあったらごめんなさい)

入り口のところで、とり・みき作のドローイングアニメ『日本SF黎明期 childhood's beginning』の上映。私は少しだけ解った程度ですが、本朝SF黎明期の作家さんやガジェットが描かれていました。会場にはこのアニメのBGMと奥のほうで上映されている『鉄腕アトム』の主題歌が低く流れていました。

入り口すぐの右側の壁に沿って小ケースひとつにひとりでSF作家や関係者の紹介展示。作家さんだけではなく、イラストレーターの真鍋博、漫画家の手塚治虫の紹介もありました。その下に日本SF作家クラブ史の紹介。
左側の壁にはSFマガジンのコレクション、中央の通路には日本SF作家クラブの会報やその他書籍(早川SFシリーズとか)資料など。左側に会場は続いています。
いちばん奥には日本SFの開祖として海野十三の紹介。そしてその手前の左側の少し引っ込んだコーナーには早川書房に並ぶ日本SF史を語るに欠かせない出版社・創元社のSFシリーズなど。私、アシモフの『銀河帝国の興亡』ってずっとハヤカワSF文庫だったと記憶していたのですが、創元のほうと知ってびっくりでした。

そして左に入って広いスペース。日本SF史関係者の展示がありました。筒井康隆、小松左京、星新一、手塚治虫、真鍋博…。写真や著作やインタビューからの抜き書きのパネルと原稿や下書き、ガジェット等の各種資料が展示されています。
手塚治虫の生原稿が沢山ありました。断片的ではなく、「続きが読みたいな」と思わせるぐらいのボリュームでした。

大伴昌司に関する展示もありました。小さいころから何度か目にしていて、大好きなサンダーバードの図解の下絵があって嬉しかったです。
星新一の下書き、とても小さな字でみっちりと書かれていて、驚きでした。そういうご性格の方であったのだなぁと。

そういう“人”関係の展示のほか、“エポック”の展示として、70年の大阪万博、そしてその年に開催された国際SFシンポジウム関連の展示がありました。
そ、あのころ子供だった人間は2種類に分かれると思います。「大阪万博に連れて行ってもらえた子供」と「連れて行ってもらえなかった子供」。あたしは「連れて行ってもらえなかった」ほうの子供ですが。
SF作家も参加した万博、そして世界からSF作家を招いて実現した国際SFシンポジウム。発展してきた“SF”のひとつの結実の時であったと。

特撮関係の展示もありました。これも“SF”が波及していった先。軍服みたいな衣装が展示されていたのでなんなんだろと思ったら、『猿の軍団』の衣装でした。小さいころ見ていたので懐かしかったです。

星新一のコーナーだったかな。抜書きのパネルに「小松左京は『SFはあらゆる分野に繋がるのがいい』と言ったけど、私(星新一)はSFはあらゆる分野にスタンスを持てるからいい」という意味の言葉があって(正確な文章は失念しましたが。間違えてたらごめんなさい。)、大いに膝を叩きました。
SFは、“SF者”というのは、あらゆる事物に好奇心を持ちつつ、あらゆる事物にスタンスを置く、そういう気風が流れているような気がします。そして、その気風は大好きです。そうありたいです。

それから、今日におけるその「SFマインド」の影響として、『20世紀少年』が挙げられていましたが。そちらは未読なので…。

いや、ま、こうやって私がへたくそな文章で感想を書き綴るより、ひとこと「見て!」と言うのが正解でありますな…。

文学館の入り口のところが物販コーナーになってました。おススメ本のコーナーもあったし、グッズ類も充実していました。パンフレットを買いました。昔風の、子供向けの空想科学読み物の体裁をとっていて、面白いです。おまけにあの大伴昌司のサンダーバードのイラスト解説記事の抜き刷りがついてきて嬉しかったです。

あのころの「SFの息吹」が感じられる、私にとってはノスタルジックな展覧会でありました。
若い衆はあのころの熱気が理解できたかなぁ。そして、それが今日に続く小説やアニメやゲームの根底にあると解ってくれたかなぁ。そうだととても嬉しいのですが。

あと、コレクション展として『人生の岐路に立つあなたへ』という展示があったので、それも見てきました。世田谷文学館の収蔵物から、岐路に立った作家がどのようにいき、作品に書いたかというテーマでピックアップしての展示(とその他)みたい。寺山修司もありましたよ。

それからムットーニさん(日本人だそうですが)とおっしゃる方のからくり展示。その「からくり」はなんていえばいいのかな、お話の「動く挿絵」とでも呼べそうなからくり人形でした。朗読と音楽をBGMにからくり仕掛けが動くの。光と影の使い方がとてもきれいでした。

それから石塚公昭さんのお人形と写真の展示。これも以前、寺山修司の人形が展示されるというので世田谷文学館に見に行った事があります。その寺山人形もまた見ることができました。

という方向で、『日本SF展』他を楽しみました。SF展は9月28日まであるそうなので、もう1回ぐらいは行きたいなぁと。

そして皆様にも大おススメであります。

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