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2014/07/17

ロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』

『チョコレート工場の秘密』(ロアルド・ダール:著 柳瀬尚紀:訳 評論社:刊)読了。
「ロアルド・ダールコレクション」というロアルド・ダールの子供向けの?作品を集めた叢書の第2巻になります。
もちろんティム・バートンの映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作ですな。

(のっけからネタバレゾーンにつき注意)

数年前、テレビでこのティム・バートンが05年に映画化した『チャーリーとチョコレート工場』と71年に最初に映画化された『チョコレート工場の秘密』がたて続けにあって、両方とも面白く観ました。

両作ともあらすじは同じ。
謎のチョコレート王、ウィリー・ウォンカ(この翻訳では「ワンカ」)の秘密の工場に招かれた、くじに当たった5人の子供たちと付き添いの大人たち。
そこはぶっ飛んだ場所。チョコの川が流れていたりして。その工場の見学の途中途中、子供たちはひとり、またひとりと、自らのわがままが招いたアクシデントで消えていきます。
そして、ひとり残った貧しい家の子供、チャーリーがウォンカから特別なプレゼントを手にする。
そんなお話しなんだけど。

ただ、チャーリーがワンカからの特別なプレゼントを貰うことになる最終的な流れがふたつの映画では違っています。
71年の『チョコレート工場の秘密』では、工場見学の前にライバル会社からのスパイを頼まれたチャーリーがそれを断ったのがきっかけ。信義を守ったのがきっかけ。
05年の『チャーリーとチョコレート工場』では、父親と仲たがいしていたウォンカが父親と和解する機会をチャーリーが作ったのがきっかけ。

71年の映画化作では「信義」がキーワードで、05年のでは「家族」がキーワードなのが面白いなと思いました。そして、そうなると、やっぱり原作をチェックして、原作的にはどういう流れなんだろと確かめてみたくなってきました。

ただそう思いつつ、原作本には手を出さず、ずっときたのですが。
たまたま入った本屋さんで本書を見かけて、そいやそだったなぁと思って読んでみることにしました。

ロアルド・ダールといえば短編集『あなたに似た人』を読んでます。もう30年以上前だけど。とても面白い「奇妙な味」の短編集でした。
そして本書でもその「奇妙な味」のセンスは存分に発揮されています。あのふたつの映画にあったようなぶっ飛んだ発想、ナンセンスというかシュールというか、それはまたこの原作本にも存分にあります。そして確かに映像化欲を刺激してくる作品だよなぁと。

そして、ふたつの映画化作の差異の部分ですが。これは原作的にはどちらでもありませんでした。ひとり残ったチャーリーが特に大きなこともなく、その「特別なプレゼント」を手に入れます。
チャーリーがライバル会社からスパイを依頼されるくだりも、チャーリーがウォンカと父親との仲を取り戻させるくだりも、原作には出てきません。

映画『チョコレート工場の秘密』に出てきたスパイの話はたぶん、この小説版にあるウォンカが従業員に紛れたスパイに製法の秘密を盗まれてしまったエピソードが元ネタなのでしょう。工場で普通の従業員を雇わず、ウンパ・ルンパ(この翻訳では「ウンパッパ・ルンパッパ人」)たちだけが住み込みで働く場所にしてしまったのはそれがきっかけです。
あと、本書には続編があるそうなので、『チャーリーとチョコレート工場』に出てきた父親がらみのエピソードはそこにあるのかもしれませんけど。

『チョコレート工場の~』は71年の映画、71年といえばまだ冷戦時代、「たとえ何があっても(敵国の)スパイになるな」ってメッセージが込められていたのでしょうか。
近年の『チャーリーと~』はやはり、家族の絆が壊れていってる現代に向けてのメッセージだったのでしょうか。

そうなのかな?

このの訳本、人名は原語の発音に即したかたちではなく、原義に即したかたちになってます。ま、登場人物が多くて人間関係の複雑な作品ではないので、映画の誰が原作の誰かはそう混乱しないでしょう。その訳名の理由は訳者あとがきで解説されています。
そして、先の通り映画の「ウンパ・ルンパ」は本書では「ウンパッパ・ルンパッパ人」となってます。どこぞの清酒のCMのもじりかしら(笑)

『チョコレート工場の秘密』面白かったです。もともとは子供向けらしいですが、オッサンの私が読んでも面白かったです。その、ぶっ飛んだチョコレート工場の見学、私も楽しみました。

本書の続編に『ガラスの大エレベーター』というのがあって、これも「ロアルド・ダールコレクション」に収められているそうです。そちらも機会があれば読みたいと思ってます。

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