イメージフォーラムフェスティバル2014(EBCプログラム)
昨日は新宿パークタワーホールで開催されているイメージフォーラムフェスティバル2014に行ってきました。イメージフォーラムフェスティバル、毎年このゴールデンウィークの時期に開催されている実験映画・映像作品の映画祭です。
昔はパークタワーホールに歩いて行ける近所に住んでいたこともあり、フリーパス券を購入して全プログラム制覇!とかやったりしたこともあるのですが。
今年は4回券を買って、昨日はEBCの3プログラムを見ました。
Eプログラムに萩原朔美さんの作品があり、Bプログラムには手塚眞さんの『惑星TEトLA』があり、そしてCプログラムはかわなかのぶひろ先生の故・内藤陳日本冒険小説協会会長をモチーフにした『痕跡imprint内藤陳がいた-(完全版)』があり、と、ちょうどいい按配に見たい3プログラムが並んでいました。
まずEプログラム。「狩猟するイメージ」というサブタイトルがついています。
『IR PLANET』(仲本拡史/デジタル/10分/2013)
通常の自然光で撮られた映像と赤外線で撮られた映像を組み合わせた作品。
赤外線カメラ、昔は特殊な撮影機材だったのでしょうが、今は赤外線撮影機能がついたビデオカメラが普通に売られているようですね。数年前、私が懸賞で頂いたビデオカメラにも赤外線撮影機能がついてました。それがとっても面白くて、それでしばらく遊んでいたのですが。
「見えない世界が見える」あるいは「自分にしか見えない世界がある」という興奮は、格別な興趣を得るものであります。
『目の中の水・3-秋丸の家出-』(萩原朔美/デジタル/15分/2014)
萩原朔美さんは寺山修司率いる演劇実験室◎天井棧敷の元団員さん。私は寺山修司ファンなので、そういう認識がまず第一にくるのですが。
おととし『目の中の水』の第1作を拝見してます。そして見逃しましたが、去年2があったようです。そして今年が3。
『目の中の水』は左目を悪くして手術を受けて左目がほとんど見えなくなった、という作品でしたが。今回はそのシリーズで3作目だそうです。
「秋丸」ってなんだろ、犬か猫の名前かなぁ、ペットの家出話なのかなぁと思っていたのですが。「秋丸」とは、萩原朔美さんが左目につけていた愛称だそうです。視力を喪った左目・秋丸、それを秋丸が家出したように感じる、というおはなしでした。寺山修司の『家出のすすめ』の朗読もありました。
すばらしい映像エッセイでありました。
『The Cat in the Window』(金東薫/デジタル/4分/2014)
横長の画面、縦にいくつかに分割され、それぞれに映像が映されるというスタイリッシュな作品でした。
『ULTRAMARINE』(太田曜/16ミリ/5分/2014)
終映後の作者のご挨拶でもありましたが、フィルム作品はイメージフォーラムフェスティバルにおいてもどんどん減っているようであります。その、減っていってる、貴重なフィルム撮り作品のひとつでありました。
『日々“hibi”AUG 6 years mix[2008-2013]』(前田真二郎/デジタル/50分/2013)
「日記映画」になるのかなぁ。サブタイトル通り、2008年から13年の各年の8月、ほぼ毎日カメラを回して撮られた映像を繋ぎ合わせたもの。終映後のお話によると、撮影する時間帯もあるルールが決められていたようです。
ただ、そういう作品ではありますが、こちらも映像作品として明確な「ストーリー」を語るものではないのですが。
こういう年月をかけた作品というのも商業映画ではなかなかできない、個人映画、映像作品ならではのものかしら。
赤ちゃんが生まれて、大きくなって、次の子が生まれて、などというのも6年をかけたものならではかなと。
お次がBプログラム。「成長する映画」として『惑星TEトLA』1本。8ミリで100分の作品とか。
『惑星TEトLA』は数年前、イメージフォーラムシネマティークの手塚眞特集のときに拝見しました。8ミリの惑星、TEトLAを断片的な映像の積み重ねで描いた作品のようです。
本作の面白い趣向は、85年の初公開以来、追加撮影と再編集を繰り返し、同じ版での上映が2度とないということ。
だから、数年前に拝見した『惑星TEトLA』と今回拝見する『惑星TEトLA』は少し違うはず。いや、前回のは憶えてないのであまりよく判らないのですが。
このシーン前に見たかなぁ、このシーン、追加撮影かなぁ、という感じは少しはしましたが。
8ミリの面白い性質として、つい先日撮られた映像も、まるで大昔に撮られたような感触がします。8ミリのぼやけ方と記憶のぼやけ方が似ているのかなぁと思うのですが。
今回は手塚眞さんのナレーションが入る形での上映でした。こういうスタイルは初めてだそうです。そして、イメージフォーラムフェスティバル東京での『惑星TEトLA』の上映は5月2日も予定されていますが、そのときはまた再編集して上映されるとか。
本作はシングル8で撮られているそうですが、もうフィルムも生産終了し、『惑星TEトLA』は続けたいけれど、今後のことはまだ考え中だそうです。続けて欲しいのですが、そしてまた見たいと思ってます。手塚眞さんの映画に出てくるおにゃのこは私のツボでもありますので…。
そしていよいよ、かわなかのぶひろ先生の新作『痕跡imprint内藤陳がいた-(完全版)』
Cプログラム「パーソナル・ドキュメンタリーの視座」として。
私が実験映画を見るようになったきっかけはかわなかのぶひろ先生から。そして、かわなか先生と出合ったのは日本冒険小説協会から。そのかわなか先生が内藤陳・日本冒険小説協会会長をモチーフにした作品、ということで感慨深いです。
(こまかないきさつは去年のこのブログ記事「映画『痕跡imprint-内藤陳がいた-』」にて。)
前回のイメージフォーラムで『痕跡imprint-内藤陳がいた-』を拝見した直後、続編を作るというお話があって、楽しみにしていました。
今回の『痕跡imprint内藤陳がいた-(完全版)』はタイトル通り、前作の続編というより、再編集版、尺も倍以上にパワーアップしての登場でした。
貴重で、思い出深い映像がてんこ盛りです。これも日ごろ何十年にもわたりカメラを回してこられたかわなか先生ならではないかと。
会長が亡くなられて2年と数ヶ月、日本冒険小説協会が解散して2年ちょっと。去年『痕跡imprint-内藤陳がいた-』を拝見したときとまた違った心の動きが自分の中にありました。なんか、こう、うまく、言葉にできませんが………。
ただ、自分には過ぎた「場」だったなと。しかし、その「場」のおかげで、自意識をこじらせながらもこの歳までやってこれたんだろうなと。
これで4回券のうち3回分を使いました。あともうひとつ何を見ようなかと思ってます。
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