« 寺山修司展『ノック』 | トップページ | J・A・シーザーコンサート『カム・ダウン・モーゼ』 »

2013/10/01

やっと『少女革命ウテナ』

アニメや動画のネット配信サービス、バンダイチャンネルの千円見放題コースで『少女革命ウテナ』テレビシリーズ版を39話ぜんぶ見ました。今になってやっと(笑)
音楽にJ・A・シーザーを起用したアニメという事で。

あたしはの寺山修司ファンです。高校時代、寺山修司と出会い、以来ン十年、本を読んだりしてきました。そして、寺山の演劇実験室◎天井棧敷の衣鉢を継ぐ、天井棧敷メンバーだったJ・A・シーザー率いる演劇実験室◎万有引力のお芝居も十数年前から観始めているという者であります。

音楽をJ・A・シーザーが担当した『少女革命ウテナ』というアニメがあるという話を聞いたのは何年前になるかしら?ずいぶん以前のことだし、それから、見たいな見なきゃなとはずっと思っていたのですが。
欲しいけど、今の懐具合ではセルソフト購入はまず無理、レンタルで探そうとしたのだけれど。いま住んでいるところ、レンタルビデオ店が近所にありません。遠征してレンタルビデオ店探すというのも億劫(ビデオって返す時が異常にメンドクサイ)。だから、まぁ、「いつかは」レベルで止まっていたのですが。

いつどこで知ったかは忘れましたが、バンダイチャンネルというアニメや特撮の配信サービスが月額千円(税抜き)でいくつかの番組を見放題にするサービスを始めると知って。で、ラインナップを見てみると、『少女革命ウテナ』も入ってました。んで、これで見ようかなと思って入会してみました。
まぁ、「いつでも見られる」と思うと「いつまでも見ない」ものであります。で、ふと気がつくと、ウテナの配信は終了していていました。がーんだな、でした。
どうもラインナップにある作品がぜんぶいつまでも千円見放題と思っていましたが、そういうシステムじゃなかったのですな。差し替えのあるシステムのようで。

まぁそういう状況で。

ただ、去年の新宿でのJ・A・シーザーコンサートでもウテナ曲がフィーチャーされていましたし。また、万有のアトリエ公演の打ち上げで、皆さんとお話をしていてると、万有のお芝居を見始めたきっかけが、寺山修司よりもウテナからという方が多くて驚いたりしてました。だから、やっぱり見とかなきゃなぁと思うことしきりでもあったのですが。

バンダイチャンネル千円見放題コースの会員は続けてました。他の作品もいろいろと楽しんでます。動画ネット配信サービスも競争激化なのか、近年かなり充実してきてますし。

んで、ふと気がつくと、『少女革命ウテナ』のTV版がまた千円見放題コースに入ったみたいで。それで、今度こそきちんと見ようと。
しかしまた見ずにダラダラしていたら、9月いっぱいで見放題コースから外れるようで、あわててここんとこの2週間ちょっとで全39話、駆け足で見ました。

ほんとにざっと見ただけの感想なんですが。
(以下他作品も含めてネタバレ気にせず書いていきます)

ウテナの幾原邦彦監督の他の作品は『輪るピングドラム』を見てます。「ウテナの監督さんの作品だから」というきっかけで見始めたのですが。毎週楽しみに、面白く拝見してました。感動する場面もありました。
ただ、ふとわれに返ると、謎的な部分はぜんぜん分かってないです。たとえば「ピングドラム」とは結局なんだったか?なんてのはよく分かってません。よく分かってなかったけど、面白く見たし、感動する場面も、あのラストを含め、いくつかありました。

『少女革命ウテナ』の感想も、せんじ詰めればそういう感じかな。「よく分からない部分がたくさんあったけど、でも感動できた」という感想です。

まぁ畢竟この世界なんて本質的には不可解なものかもしれません。何かよく分からないものに振り回されてる(とても賢い人間がそれにいくつか気がついて指摘してくれる事があるとしても)のが人生、そしてその中で笑ったり泣いたり、感動してる、そういうことかもしれない、そういう意味でそれが私たちの暮らす「世界」のありようとシンクロしているのかもしれない、なんて思ったり。(謎解きが分からなかった人間のゴマメの歯ぎしりかもしれませんがね)

物語の謎的な部分は解説サイトを見てだいぶわかったけど。
見落としてる部分もたくさんありましたが。

決闘により彼女を手に入れた者が「世界を革命する力」を与えられるという少女、姫宮アンシー、ひょんな事からアンシー争奪戦に巻き込まれた天上ウテナ、ふたりの運命やいかに、そして「世界を革命する力」とは何か?その帰結はいかに、というおはなしでしたが。

いちばん驚いたのが、「けっこうおちゃらけてるなぁ」という事、コメディ風味の部分が多いなぁという事かしら。

それからバトル物というフォーマットだったのだなと。1話に1回、バトルがほぼ必ず入ってる、それがクライマックスになってる。テレビなんかでは古典的なお話のスタイルだったのだなと。私は深夜アニメをメインに視聴しているので、毎回ノルマのように、パターンのように、バトルがあるのは深夜アニメなんかではあまり見かけないスタイルなので、ちょっと驚きました。
毎週1話づつ見る、ほんらいの視聴スタイルだと、それこそ怪獣物や勧善懲悪時代劇みたいに楽しめるスタイルなのでしょうけど、2週間ちょっとで全話一気見すると、その延々としたバトルの繰り返しが、なんか単調な感じでちょっときつかったです。

ウテナは夕方アニメだったそうですが。バトル物という伝統的なスタイルですが、しかしその時間帯にしては少々過激な描写もありますな。

主人公のウテナとメインヒロインのアンシーのベッドシーンもあります。キスなんてふつー。
(ウテナのは幻想シーンかもしれないけど、アンシーのそれはストーリーに大きく絡んできます)
その1年半前の同じくテレビ東京の夕方アニメ、『新世紀エヴァンゲリオン』では、メインヒロインじゃないけれど、葛城ミサトのベッドシーンが描かれますけど。(あのころのアニメというとエヴァしか知らないヌルオタですが)
当時の、そして現在の(深夜じゃない)一般時間帯アニメでの性の描かれ方はどうなのかよく知らないけど。そして近年、少女向け漫画の性描写の過激さは凄いそうですけど。

その、アンシーの兄との近親相姦はお話の大事なファクターでした。いわゆるふつーの昔ながらの、(つまり、兄に恋慕しても性交渉はしない)ブラコン女子も出ますけど、彼女はコミックリリーフという役回り。最初は嫌なキャラだったけど、お話が進むにつれて好きなキャラなったヒトでした。

しかしやっぱり登場人物たち、中学生とは思えないぞ。せめて高校生だろと。
いや、まぁ、現実的というよりは、幻想的を志向したお話なんだろうけど、だからこそ現実志向しているようにも思われました。

私が感じた寺山修司的なもの、ですが。

もちろんJ・A・シーザーの楽曲の起用はもちろんですが。その他に寺山的だなぁと思うのは本作のキーワード、「世界の果て」かと。寺山的には「世界の涯て」なんだけど。

昭和十年十二月十日に
ぼくは不完全な死体として生まれ
何十年かかゝって
完全な死体となるのである
そのときが来たら
ぼくは思いあたるだろう
青森市浦町字橋本の
小さな陽あたりのいゝ家の庭で
外に向かって育ちすぎた桜の木が
内部から成長をはじめるときが来たことを

子供の頃、ぼくは
汽車の口真似が上手かった
ぼくは
世界の涯てが
自分自身の夢のなかにしかないことを
知っていたのだ
(寺山修司『懐かしのわが家』)

この詩が監督の頭にあったのかなぁと愚察します。
「『世界の涯て』が自分自身の夢のなかにしかないことを知っていたのだ」
と。
そしてまた演劇実験室◎天井棧敷最後の、つまり寺山修司存命中の最後のお芝居の演目が『レミング-世界の涯てまで連れてって-』でありますね。それもあるかもと。(レミングは未見なのでよく分からないのですが)

しかしまぁほんと、『よくこんなの発想できるなぁ」というシュールなセンスがほんとたくさん。
螺旋階段を登った上にある決闘場。それが物語後半はエレベーターで上がっていくようになったり。決闘場で変身していたふたりもそのエレベーターの中で変身するようになり。
後半スポーツカーが重要な小道具になるんですが、それが「決闘場」にニョキニョキ生えたり。
モールや紐飾りのついた昔の軍服みたいな衣装も。これは少女マンガ的文脈では当たり前かもしれないけど。『ベルサイユのばら』を思い出したオッサンですけど。

そそ、全話じゃなかったけど、何話かのエンディングトにアニメーション制作会社、シャフトの名前がクレジットされていました。
シャフトといえば『さよなら絶望先生』第1期の1話だけのオープニングに寺山修司の一節を入れたり、3期の『【懺・】さよなら絶望先生』の本オープニングで天井棧敷のポスターネタをやったり、たぶん寺山修司ファンの方がいらっしゃると思うのですが。そういう繋がりが関係してるのかなぁと想像するのも楽しいものでした。あの画面に小ネタを仕込むのも後のシャフト作品に通じるなぁと思ったり。

影絵少女の小芝居もなんか万有のお芝居の1シーンみたいな感じがしました。エレベーターの中で繰り返される殻を壊さないと雛鳥は生まれることが出来ないって一節もそんな感じが。

決闘場の挿入歌のほかに、後半ぐらいからエンディングもシーザー曲になってましたが。それは前半の曲のほうが好きです。歌詞を追いつつ聞いてると、グサッと刺さるものがあって。

と、まぁ、そういう方向で何年もずっと気になっていた『少女革命ウテナ』、やっとこさ見ました、楽しみました。そして、劇場版も見ないとなぁとは思うのですが。

ただ、重い腰がこんどはいつ上がるやら。

|

« 寺山修司展『ノック』 | トップページ | J・A・シーザーコンサート『カム・ダウン・モーゼ』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 寺山修司展『ノック』 | トップページ | J・A・シーザーコンサート『カム・ダウン・モーゼ』 »