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2013/05/28

万有公演『羅針盤式気球船』

そして昨日は演劇実験室◎万有引力の1回限りの特別公演『パノラマジオラマテアトラマ章劇 羅針盤式気球船-演劇実験室◎万有引力のイメージ・カルマな錬劇術史-』を拝見してきました。『SUNA』 公演に挟み込まれたふたつの特別公演の最初のひとつです。

終業後、会社を飛び出して笹塚ファクトリーへ。何とか間に合って…。

『羅針盤式気球船』もまた恒例の、観客を整理番号順に並ばせて、一気に客入れを行うという方式でした。そして、入場するともう俳優女優さんたちが蠢いています。

今回、舞台装置は『SUNA』のまま、舞台には大きなスクリーンが張られていました。

このの公演は、万有引力の公演の過去映像、そして、団員さんたちによる歌、それからJ・」A・シーザーさんともうおひと方(お名前は失念してしまいました、ごめんなさい)、そして団員さんたちも交えてのトークという趣向でした。

寺山修司率いる演劇実験室◎天井棧敷は、1983年5月4日の寺山修司の死去を受けてその年の7月31日に解散。そして、その衣鉢を継ぐ演劇実験室◎万有引力は8月1日の旗揚げになるそうです。そして旗揚げ公演は10月の『シナの皇帝』。ここらへんは万有引力公式サイトにも記載はありますが。

あのころ、天井棧敷館は麻布十番にあったとか。そのままそこで万有引力が産声を上げたのかなぁと思っていましたが、その旗揚げは違う場所のようでした。
その当時のその場所の映像もあって。

ほんと、過去公演の貴重な映像。そして皆さんのトーク。団員さんたちからはいつごろ入団されたというようなお話しも。おぉ!というエピソード。
こういう公演もあったのか!観たかった!!という貴重な映像。

ちょいと思い出話。

私が万有のお芝居を初めて観たのは97年の『100年気球メトロポリス』だったのですが。
そのころは京王沿線に住んでいました。んで、最寄り駅に『100年気球メトロポリス』のポスターが貼ってあって。

寺山修司ファンですけど、その書物を面白く読んでいましたけど、それまで寺山演劇についてはぜんぜん経験がありませんでした。寺山修司と出会ったのは、高校時代、演劇部の部室に転がっていた寺山修司の戯曲がきっかけなのですが。

ま、正直に告白すれば、演劇好きという人間ではなかったです。ただ、中学のとき、尊敬してた奴と同じ高校に入って、で、そいつが演劇部に入ったので、そのあとを追って演劇部に入って、んで、あまり舞台に立つ気はなかったので、幽霊部員でたまに大道具やってたぐらいって話なんですけど。
寺山には戯曲から入ったけど、そっちよりむしろそれから読み始めた角川文庫の「さかさま」シリーズとか、そっち方面を愛読していました。あのころの息が詰まるような日々の一服の清涼剤でした。

そして、寺山修司の訃報は故郷で知りました。それから、寺山芝居はその時までずっと見ずにきました。寺山芝居は、寺山はもういない、天井棧敷はもうない、永遠に失われてしまったんだ、と思っていて。それはたぶん、バイト代貯めて東京に行けば、天井棧敷のお芝居を観ることもできたろうに、そうしなかった、その自分に感じたふがいなさの裏返しだと思うのですが。

ただ、その時、その、『100年気球メトロポリス』のポスターを見たとき、ちょっと惹かれるものがあって。見てみようと思って。

そして、その『100年気球メトロポリス』の、自分の思ってた「演劇」というもののスタイルというものとまったく違うスタイルのお芝居に、一発ではまりました。

『100年気球メトロポリス』は、入場するとまずくじ引きで班分けされます。そして、それぞれの班に劇団員の引率の方がついて、パルテノン多摩一帯で同時多発的に繰り広げられているいくつもの「劇」を少しづつ観て回るという趣向の劇でした。とても、とても、面白かったです。「こういうお芝居のかたちもあるのか!」と衝撃を受けました。

それから万有公演に行くようになりました。

いや、閑話休題。話を元に戻して。

だいたい公演の3分の2ぐらいでシーザーさんや劇団員の皆さんははけて、あとは記録映像の上映だけになりました。ここらへんはだいぶ観ている公演も多いのだけど。ただ、残念ながら、「懐かしい」という気持ちより、「だいぶ忘れているなぁ…」という思いのほうが多かったです。ま、トリ頭故…。

トークショーで、シーザーさんが、若いファンも増やしたいというような事を仰っていました。それは私も大いに同意です。
以前、ある寺山修司に関する実験映画で、ご出演された偏陸さんが、「寺山の生まれ変わりを探したい」というような事を仰っていたのを憶えています。そう、それとリンクしますね。

そして、寺山を知らずとも、万有を見るようになった方々、『ウテナ』から入った人も多いそうです。去年、万有の実験公演で観客の方々からそういう話を聞いて。なんか天井棧敷の代用品みたいに万有引力のお芝居をついつい観てしまってたかもしれないなと私はちょっと恥じ入りました。そういう部分も万有にあるにせよ、それだけじゃない。
そう、そういう、新しい時代の人たちもいて。もちろんそのルーツには、根っ子には、「寺山」があるのだろうけど。でも、そこから花開く、また新しい世界もあるだろうし、私はそれにも触れて、楽しみたいと思っています。

そういう、寺山的なもの、天井棧敷的なもの、シーザー的なもの、万有引力的なもの、そういうのを必要としていて、でもまだ出会ってない人はたくさんいると思うのです。そういう人たちがこれからもどんどん出会っていってくれたら嬉しいと思っています。

もうひとつの特別公演『架空庭園の犯罪』も観る予定です。
そちらも楽しみです。

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