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2012/08/22

『都市と消費とディズニーの夢』

『都市と消費とディズニーの夢-ショッピングモーライゼーションの時代-』(速水健朗:著 角川oneテーマ21)
新書です。読了。簡単に言えば「ショッピングモール」の歴史を概説した本、になるかな?
サブタイトルについている「ショッピングモーライゼーション」は速水さんの造語で「ショッピングモール化」というような意味になるようです。

速水健朗さんの本は『自分探しが止まらない』『ラーメンと愛国』と読んでます。
他に読みたい本もありますが、まだまだ手を出してないのですが。

私が新書に手を出すのはたいてい、「世の中になんとなく感じている“違和感”をなんとかしたい、自分の中のそれ、そして、それを感じさせる“世の中”を理解する手がかりが欲しい」といった動機なのですが。『自分探しが止まらない』はそういった課題のために読んでみた本です。『ラーメンと愛国』もある程度はそういう課題に対しての答をたとえば「作務衣系ラーメン店」における現代人の自意識のあり方とかから考えさせてくれました。

今回の『都市と消費とディズニーの夢』はそういったのはほぼ無かったのだけど、でも、結論から先に言えば、とても面白くずんずんと読ませてくれました。

ウォルト・ディズニーが晩年に都市計画を始めて、自分の都市を作ろうとしていたなんて「おぉ!」と驚く話から、まず手に取ることはないであろう専門書からの引用から、そしてひとつくらいは見たことあるか、せめてどんなおはなしか知ってるよなぁと思うような映画からの引用、そういったものを織り交ぜた上手な語り口で楽しませてくれて、ずんずん読んでいけて、まぁそう理解が困難な部分もなくて、新書の「頭ひとつ上の知性」を楽しませてくれたと思います。

そういう意外な方向からの切り口を見せたり、語り口の巧みさは『ラーメンと愛国』にも繋がるタッチだったかなと。面白かったです。
ただ、「ショッピングモーライゼーション」という速水さんの造語はいまいちぴんとはこなかったのですが…。

私事から言わせて頂ければ、「ショッピングモール」なる場所にほとんど行く事はありません。
自動車は持ってないし、自動車を持ってる、ショッピングモールに行くような仲間もいないので郊外型のアウトレットモールとかも行く機会がありませんし。

たぶんあたしは社会階層的には中の下か下の上かで、中の上とか富裕層じゃなくて、ブランド物の買い物を楽しんだり、っていう経済的余裕のある社会階層の人間ではないって部分もあるでしょうが。
ま、それとあたしは所帯持って子供育ててっていう、人として平均的な生き方をしてこなかったって部分もあるかも。
ブランド物の紙袋下げてニコニコしながら電車に乗ってるような人は別世界の人間の感じします。
ま、そして、あたしの欲しいものはだいたいショッピングモールに売ってるような物じゃなかろうし…。

それと、本書には直接関係のないことでありますが。私事としてずっと気になってるのですが。

地方都市のほうが顕著ですが、こういう、郊外型のショッピングセンターが発展し、徒歩圏内の市場なんかは壊滅状態って場所は多いと思います。買い物行くにも自動車があることが前提ってのは地方都市によくある事かと。で、親父が高齢ドライバーなんですわ。

いろいろ心配はしてるんだけど、でも、自動車がないと買い物ひとつ行けない状況ってのも解ってるし。ネットで威勢のいい皆さんがよく言っている、「高齢者は問答無用で免許取り上げろ」なんてのもこういう状況下では賛同できかねてね。

そしてそういう状況は本書にあるショッピングモーライゼーションの流れにも端的に示されているように、消費社会の発展においては仕方ないこととも理解してます。

いやほんと、これからの“家族”は「成員に一人は自動車運転できる人間が居る」ことが家族の維持にぜったい必要条件となって、そのおかげで家族の紐帯が辛うじて存在できるって時代になるのかもしれないなぁ。

いや、いや、この「消費社会」もその限界らしきものが見えだしたっぽいですが。
「今日より明日のほうが豊かな暮らしができる」と昔なんとなく信じられてきたことが終わろうとしているように思えますが。
ショッピングモールも大衆的なものから特定の富裕層のものになっていくのかしら?そういうかたちで生き残りを図るんですかね。だとしたらさらに関心のない、自分とは無縁の世界になって行くかもしれないな。

とまれ、本書は新書的知的エンターティンメントとしてとても楽しめる本でありました。
おススメであるかと。

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