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2012/07/15

新アニメ『人類は衰退しました』

という訳で夏クールが始まりましたな。
数年前までは新アニメの感想とかよく書いたものですが。
そのころは「ブログ毎日更新!」と燃えてましたし、新アニメとかいいネタでありましたし。
ただ最近はブログ更新頻度もがた落ち、新アニメネタもあまり書かなくなってしまって。

そんな中から今期の新アニメ『人類は衰退しました』第2話まで見た感想など。
1・2話セットで1エピソードみたいです。

舞台は未来。タイトル通り人類が衰退しつつある世界を舞台にした物語のようです。滅びつつある人類といっても、汚れきった空気や大地や水に人類は苦しめられている、という方向ではないようです。舞台となる村は緑に覆われ、いつか飲み込まれそうな感じ。いつか完全に飲み込まれきるのでしょうか。

ただ、物資不足とかはあるようです。食糧不足も。ただ、村人たちもそれでカリカリ、物資の奪い合い、とかは描かれません。諦念とともにのんびり構えている感じかなぁ。決して暗くはならずに。

その世界には「妖精さん」と呼ばれる存在があって。“妖精”というと羽根の生えたのを思い浮かべますが、本作での「妖精さん」はむしろ「小人さん」みたいな感じ。つか“小人”はNG用語で使えないのかもしれないけど。

妖精さんたちはどういうきっかけでこの世に存在するようになったかはまだ解りません。超発達した科学文明が生み出したものか、それとも何かオカルティックに発生したものか。
ただ、ちょう凄い科学力を持ち、今の目からするとオカルトの域に達した科学製品をこしらえる能力があるようです。

といっても妖精さんたちの性格はいたって呑気、面白がり、のようであります。人類征服、地球征服とかは企んではいないよう。人類にも好意を持っていて、物資不足で悩む人たちを助けるために物資合成工場とか作ってくれたりしているようです。でもそれをすぐ忘れるほど忘れっぽい。

で、人類は衰退しつつ、その妖精さん達にこの星を明け渡そうとしているようです(という書きようは人類のエゴなんでしょうが)

で、その村に暮らす女の子が本作の主人公。どうも妖精さんたちの起こす騒動の顛末ってのがおはなしの主軸みたい。
その女の子ものんびりした感じではありますけど。でも、いざとなったらナイフぐらいは出すっぽいです。

第1話と第2話は妖精さんたちが人間達の物資不足を解消しようとして作った工場を巡る騒動でした。

そして、この世界観、おはなし、好きになりました。

私は最近、「苦痛にまみれた“繁栄”より、ハッピーな“滅亡”の方がいいんじゃないか」と思うようになってきましたので。

人類が人類である由縁はなんでしょうか?それは例えば「道具の使用」とか挙げられると思いますが。私は人類が人類である由縁とはその強烈な“ダイナミズム”にあると言えるのではないかと思ったりもします。言葉を変えれば“強欲さ”とも少し呼べる部分。たぶん、「道具の使用」はそのダイナミズムを叶えるツールとして最高のものだったのでしょう。

そして人類はおおいに“発展”し。
しかしそれはまた苦痛を人々に与えるものになったと。

奪い合い。奪われた者は苦しみ、奪った者はまだ己の欲望を満たすに足りないとさらに苦しみ。戦争、熾烈な競争社会、負けた者はもちろん、勝った者も苦痛にまみれ。
そして現代、さらにその“発展”は地球環境さえ脅かしつつあり。自ら招いた環境破壊にまた人々は苦しみ。苦痛にまみれた繁栄。

もちろん我々は豊かになり、その物質文明を享受し、消費が大切な自我の支えとなっておりますが。しかし、経済はその発展の限界からか、軋みをあげ。

現在の苦痛も、将来の豊かさのため、と思っていられれば、ある程度はガマンできましたが。しかしどうも明日は今日より貧しくなりそう、そういう予感、閉塞感、思い空気が徐々にいわゆる“先進国”を覆いはじめているようです。そうなればその苦痛は耐えがたいものに、仕事の苦痛はもちろん、物欲は刺激されているのに、物欲を満たすものが手に入る見込がないという、この消費社会ならではの苦痛。そういうのが徐々に人々を侵しつつあるように思われます。

ならいっそ、そういうのはすべて捨て去って、ハッピーになって、そのかわり繁栄は諦めて滅亡ルートにすればいいじゃない?などと思うのですが。ま、もちろん、甘ちゃんの意見だとは思いますが。

まぁ最近そういう事をとおつおいつ考えます。

で、たぶん、『人類は衰退しました』はその「ハッピーな滅亡」を描いていると思うのです。
私が人類の滅亡を怖れるのは、“滅亡”、*それ*自体よりも、その、“滅亡”に関わる様々な苦痛です。
戦乱、天変地異、疫病、飢餓。そしてそれに伴うであろう物資の奪い合い、そういったものどもです。

もしそれがなく、人類がごく自然に衰退していき、心安らかにその黄昏時を過ごすのであれば、“滅亡”だっていいじゃないとも思うのですが。

本作では人類はちょうどいい感じに、まったりとその衰退の時を過ごしているようです。
もちろんその前に、滅亡が始まる苦難の時代、戦争とか疫病とか飢餓とか天変地異とかあったのかもしれませんが。それは判りませんし、ストーリーが進むと何か語られるエピソードがあるのかもしれませんが。
そしてもちろん一方ではその衰退につれて物資不足、食糧不足の様子も描かれますが。基調はコミカルですけどね。

ほんと、いい描き方。元気いっぱいのオープニング、かわいらしいキャラと色使い。エンディングは矢野顕子風の優しい歌、ハッピーに演出される「終末のひととき」。あたし好み。

どうやら原作の最初から映像化しているようではないようです。1話の始まりが承前ぽいですし。
しかし、1・2話で描かれるエピソードは、かつての人類の似姿である、世界を武力制覇しようと企む勢力が出てくるお話であり、キモ的な部分を端的に示してるのではないかと。

ほんとこのアニメ『人類は衰退しました』は最近ふと「苦痛にまみれた繁栄よりハッピーな滅亡のほうがいいじゃね?」思ったりする私のとって、とても興味深い世界観を提示してくれたおはなしでした。

もちろんリアルには「妖精さん」みたいな存在はぜったい現れないでしょうが。

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