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2012/07/27

『アメリカは今日もステロイドを打つ』

『アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲』(町山智浩:著 集英社文庫)
読了。アメリカ合衆国のスポーツ関係のニュースを題材にしたコラム集です。
あたしはスポーツに疎いのでよく解りませんが、日本であまり紹介されることのないようなスポーツネタニュースを、映画ネタ同様その博学を元に面白おかしく紹介されています。とても面白くスラスラ読めて、そしてまた「スポーツを通して見るアメリカ合衆国論」としても読めるだけの深みもまた兼ね揃えているかと。

「まえがき」で合衆国のアスリートたちがどれだけステロイド漬けになってるか紹介し、そしてその根底には合衆国の「デカく、強く」というマチズモ信仰があると。

そしてステロイドの副作用で心を病んだアスリートたちが起こした悲惨な事件、スポーツスパルタを受けつつも、きわめて狭いプロアスリートの門をくぐる夢破れ、虚無に呑み込まれた人生を送るハメになった人々の話などから本編が始まり。

命がけのスポーツに中毒している人々の話なども紹介され。そのスポーツバカっぷりを紹介し。

そういう話で読者の心を掴み、グイグイ読み進ませ、終盤はイイ話を散りばめ、不屈の人たちの話を紹介し、極上の読後感もまた与えてくれます。ほんとうにうまいなぁと。

ここんとこ本が読めなくなって「自分、どうしちゃったんだろう」って悩む時が多くなってきたのですが、本書は紛れもなく一気本でありました。

さて、自分の人生を振り返ってみると、「完璧超人コンプレックス「マチズモコンプレックス」とでも呼ぶべきものに振り回されてきたなぁと最近つくづく思うようになってきます。いや、被害にあったという、被害者意識のものではないのです。ただ、振り回されてきたと。完璧超人たれという強迫、抑圧、そうなれるのをハナから諦めたことによって、どこか自分の人生を投げやりにしてしまったのかもしれないという思い。
そしてまた「完璧超人」に寄りかかることによって、自己判断をしなくて済む気楽さもまた自分を蝕んできたような気がします。

それにこれまで気がつかず、そしてこの歳になってそれに気がつき始めたのかなぁと。
ここらへん、まだうまく言葉にできないのだけど。それができれば今までの人生をある程度は総括できるかなぁと。

そういった部分もあって、本書における「マチズモ」に振り回された人々の狂騒曲っぷりも、ある程度は他人事としては思えず、なんか心にヒリヒリ沁みました。
そして「イイ話」もまた、心に感動として沁みてきました。時には本書を閉じてつーんとくるものをこらえた事が何度かあったのも告白します。

ほんと、スポーツにはまったく興味がない(今回の五輪もほとんど見ずに終わるでしょう)自分もとても楽しませてくれた本でありました。

おススメ本であります。

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