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2012/02/13

万有公演『奴婢訓』(2012)

昨日は三軒茶屋のシアタートラムに演劇実験室◎万有引力公演『奴婢訓』を観に行ってきました。初日になります。
万有の『奴婢訓』を観に行くのは3度目になるかしら?最初は2003年の新国立劇場、2005年のシアター1010。だから今回が3度目。

シアタートラムは世田谷線三軒茶屋駅を降りてすぐのところ。世田谷線三軒茶屋駅は近年再開発されたらしく、ショッピングセンターとか劇場とかあるのだけれど。もうひとつの劇場、世田谷パブリックシアターは一度だけ行った事がありますが、シアタートラムはたぶん初めて行く場所。

どっちかというと小規模になるのかなぁ。以前『奴婢訓』公演を見た新国立劇場やシアター1010と比べると。客席はやや傾斜のきつい雛壇式。で、舞台も狭めですが、高さを感じさせる作りになると感じました。この高さがある感じってのは世田谷パブリックシアターもそうで、バルコニー式の3階席まであったかと記憶しています。

万有引力の客入れは、チケット番号順にお客さんを並ばせて、開演直前一気に客入れするという方式がほとんどなのですが。で、席は自由席。今回、座席指定制で、普通の客入れでした。
もちろん万有らしく、緞帳的なものは使わず、舞台上ではもう男優女優さんたちが蠢いています。

舞台装置もその高さを感じさせるつくり。万有公演はいつも立体的な舞台装置ではありますが、舞台奥の足場はいつもよりもっとずっと高い感じでした。そして、あとから気がついたのですが、舞台下にもスペースが設けられ、男優女優さんが移動していきます。そこはさすがにほとんど見えないのですが、照明とかが漏れてきて、そのスペースがあることを示していました。
会場が狭いぶん、ライトに照らされた男優女優さんの影が劇場の壁に映し出されるのもいい感じです。

注意ごととかがあって、ややあって開演。

『奴婢訓』は万有引力の前身、演劇実験室◎天井棧敷時代から有名な演目かと思います。
主不在のお屋敷の奴婢(召使)たち。彼らは交代に主の役を演じ、主不在の屋敷で奴婢として振舞っているのだけれど。ある日、そこにやって来た主の「相続人」を自称する男。

いや、万有のお芝居は(その前身の天井棧敷からでしょうが)、ストーリーが進むことによってお芝居が展開していく、というスタイルの作品はあまりありません。むしろイメージ的なもの、「物語」というよりは「詩」という感じのお芝居なのだけど。『奴婢訓』もそういう感じでイメージが展開していきます。(だから感想も言葉にしにくくてめっちゃ書きにくい部分もあります)

ま、この国のグデグデの政治状況をかんがみれば、この奴婢が交代で主人を演じるというシチュは、首相がその名前を憶える暇もないぐらいに次々と交替していくシチュに擬することができるやも知れず。「政治劇」として作るなら、ですが。

そして宮沢賢治テイストがたっぷり散りばめられています。作品の一節とか。なぜかはちょっと解らないのですが。奴婢的なものと宮沢賢治、どこか親和性があるのでしょうか。

今回の奴婢訓、新国立劇場やシアター1010の公演に比べ、小規模な劇場のせいでしょうか、高さを感じさせる劇場と舞台装置のせいでしょうか、「密度が高い」感じがしました。それがいい感じでした。狭めの舞台いっぱいに展開する、歌って踊ってその他万有ならではの体技を見せる大勢の男優女優さんたち。

『奴婢訓』の目玉の一つは「機械」でありますな。快楽機械。小竹教授の作になるのかしら?使うのにかなり体を鍛えなきゃいけないっぽい、天井棧敷の、そして万有引力の方じゃないと使えないような品物もあって。

なんか、独特の、甲高い声の女優さんがいらっしゃいました。「どこかで聴いた声だなぁ。もしや?」と思って終演後、改めてキャスト表をチェックすると声優もなさっている小見川千明さんでした。シャフトアニメ『夏のあらし』『荒川アンダーザブリッジ』『それでも町は廻っている』、そしてシャフト以外だと『花咲くいろは』に(私の拝見した範囲では)ご出演の方であります。

う~ん、どういう経緯だったんでしょうか。シャフトアニメ、「さよなら絶望先生」第3期『【懺・】さよなら絶望先生』のオープニングは天井棧敷のポスターネタ(私が判った範囲では『犬神』や『書を捨てよ町へ出よう』とか)があってひっくり返ったものですが。たぶん、シャフトのスタッフさんに寺山修司好きがいらっしゃるようで、そういった繋がりなのかしら?

まぁ、テラヤマ系でおにゃのこなら月蝕行くんじゃないか?ふつー。とも思いますが。(声優もなさってる森永理科さんはもともと月蝕の方のようですし)。つか月蝕はほとんど知らないのだけど…。

会場で配られたキャスト表とかのリーフレットを見ると、次回公演案内にも小見川さんの名前は大きめにクレジットされていますし、これから万有の目玉女優さんになっていくのかなと思います。万有公演を観に行く楽しみがひとつ増えましたな。
(しかし97年に初めて万有公演『100年気球メトロポリス』を拝見して以来の最大のびっくりだったような気がします…)

かま猫役の村田弘美さんもステキでありました。

そして終演後、トークショーがありました。ご出演の高田恵篤さんが司会で、同じくご出演の旺なつきさん、そしてゲストに剣幸さん。旺なつきさんと剣幸さんは宝塚ご出身で、いっけん水と油の宝塚演劇と寺山演劇の親和性について、とか。

…という方向で、演劇実験室◎万有引力公演『奴婢訓』を楽しみました。
次回公演も楽しみに。

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