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2011/07/19

椎名桜子『おいしい水』

110719

さて、椎名桜子のエッセイ『それでもわたしは白い服がほしい』に続いて、小説『おいしい水』も読んでみました。
両方とも古本屋さんの百円均一棚で買った本です。

また結論から先に言えば、最後まで読むことができるくらいには面白かったです。あのころからずっと途中で投げ出したくなるようなひどい作品だろうって先入観がありましたけど。
エッセイ『それでもわたしは白い服がほしい』同様、最後まで読める程度には面白かったです。

ただ、「薄い本」です。総ページ数109ページ、実質100ページくらいの中身。文字組みも余白が多いです。小説というより詩集という感じ。
だから、実質400字詰め原稿用紙100枚くらいかなぁ
まぁそういうわけで、普通の読書スピードの方なら1時間もあれば読めてしまうでしょう。

この程度のボリュームなら、例えば、バックに写真とかイラストを載せて、フルカラーにして、ビジュアルブックみたいなつくり方にしたら面白かったとも思うのですが。そうなるとコストアップしすぎるかしら?一枚だけカラーの挿絵が真ん中あたりに入れられていますが。

タイトルは作者の好きなボサノバからのようです。
そして、三部構成になってます。登場人物はつながってるようです。

明確にストーリーがずんずん進行する。つまり「何かが明かされる」あるいは「決着がつく」といようなうかたちじゃなく、会話や描写が「雰囲気」をかたちづくっていく、というような感じの小説です。

実はここんとこ、私はどうやら「ストーリー」に耐えられなくなってるっぽいです。ストーリー物の代表である冒険小説とか読めなくなってきてますし。劇映画をあまりみなくなり、実験映画、映像作品を見るようになってますし。
ま、そこらへんが本書を読めた理由かもしれません。

逆に明確な「ストーリー」を小説に求める人は、本書にあまりなじめないかもしれません。

(以下ネタバレゾーンにつき)

第1部「魚のいた部屋で」
設定は、私の知識の範囲だと、P.・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』つか『ブレードランナー』ぽい感じ。近未来、人類の生活圏からは生物が消えていて、愛玩用の人工生物が売られている時代みたい。
「本物の」魚を飼っていた男、人工植物を育てている女。女は男の浮気の腹いせか、魚を隠す、と。男はそういう女の人工植物を壊す。そして、女の提案で、男は女が他の男とまぐわうのを眺めるようになる、と。

第2部は「10年がたった」
男は第1部の男と同じ名前だけど、同一人物かな?彼が女を拾ってきて、という話。

第3部は「スーの部屋」
第2部の拾われた女かな?彼女の内的独白が続きます。第3部になるとさらに文字が大きくなり、1ページあたりの文字数は減ります。

まぁほんと、“小説”というより“詩”といった感じかしら?どこまで理解できたか解らないのだけど。
やっぱアートちっく志向のお嬢様の作品、という感じがしますし、私はそういうのとはかけ離れた存在だから。
どこまで解ったのか…?

とまれ。

小説を刊行する前から肩書き「作家」だった椎名桜子。宣伝先行。そういう売り方は今でも嫌悪しますが。

例えば本書が出版されるべきレベルの作品かどうかは解りません。普通に新人賞に応募したりして、それで認められてデビューできるレベルの作品かどうかは解らないのですが。
そして、そういうデビューだったら、叩かれたりすることなく、普通に読書界でポジションを得ていた方、今でも活躍されていた方かどうかは解らないのだけど。

とまれ、そこそこ読める作品だったと。
それだけは言えるかな、と。

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コメント

はじめまして。
古い記事なのですが、追記としてリンクを張らせていただいたのでご一報まで。

この本は以前読んだときに、理解の範囲を超えていました。こちらの記事を読んですこし納得がいったというか、もう一度読んでみてもよいかも、と思いました。

投稿: 大葉もみじ | 2015/06/09 16:58

◎大葉もみじ様
何かご参考になるのものをご提供できたことは光栄であります。
そうですね。椎名桜子のあのデビュー当時の騒動から一度離れて読み直してみるのも面白いかもしれません。
私もそのうち『家族輪舞曲』を古本屋さんで見つけたら読んでみようかなと。

投稿: BUFF | 2015/06/11 13:00

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