映像の地下水脈#20
11月27日土曜日のお話の続き。
荻窪でのチムニーさんたちの展覧会のあと、渋谷へ。
イメージフォーラムでの、かわなかのぶひろ実験映画上映会「映像の地下水脈#20」を拝見しに。
今回の上映作品は、ゲスト作品として
「竹岡さんへの手紙」(安田哲/DV/10分/2010年)
「九月の鼠」(球根栽培/DV/10分/2010年)
かわなか先生の旧作として
「時の繪」(DV/30分/1998年)
「旅の繪3」(DV/2006年)
でした。
本来はかわなか先生の新作としてよなご映像フェスティバルをモチーフにした作品が予定されていたそうですが、どうも仕上がりに納得できないということで急遽旧作の「旅の繪3」上映になったそうです。
「竹岡さんへの手紙」はよなご映像フェスティバルで優秀賞を受賞した作品、「九月の鼠」はグランプリを獲得した作品だそうです。
「竹岡さんへの手紙」は作者の安田さんが竹岡さんへ送るビデオレターという趣向の作品です。ちょっとトボけた、作者さんのお人柄らしい味わいが独特な作品。
野暮な質問をしてしまいましたが、「竹岡さん」というのは作者さんの知人のようです。
なんていうのかな、“レター”となると送り手の受け手への問いかけみたいなのがあるかと思うのですが。「お元気ですか?」「今なにをしてますか?」とか。本作ではそういうのはなく、「竹岡さん」という呼びかけだけなのがちょっと印象に残りました。コレスポンデントを目指したビデオレターじゃないのかなと。
ビデオレター物の映像作品というと「映像書簡」(かわなかのぶひろ&萩原朔美)、「ビデオ・レター」(寺山修司&谷川俊太郎)とかありますが。
竹岡さんからのお返事とかもあると面白いかもしれません。
「九月の鼠」は不思議な作品。4人の美少女女子高生たちが縄跳びしながら海を目指すという作品。とは言ってもストーリーっぽい感じではなく、イメージ的な作品。
作者さんはプロの映画屋さんのようです。とてもきれいでスタイリッシュな画づくり。
「縄跳び少女!そういうのもあるのか」と思わず「孤独のグルメ」の井之頭五郎と化したあたくし。ほんと、「そういうのもあるのか」と思いました。
映像美。たぶん、プロの映画屋さんならではではないかと思います。海中のシーン、突堤?のシーン。小高い山が遠くに見える、田んぼのあぜ道を縄跳びしながら少女たちが行くシーン。タイトル通り九月が背景なのでしょうか。まだ青々とした稲穂、夏の残光に輝くガラスのおはじき。
縄に引っかかり、倒れる少女のシーンがちょっと心に引っかかったり。夏が終わり、夏のつまずきが現れる?いや、うまく説明できないけど。
しかし「球根栽培」さんってあれが元ネタかしら…?
「時の繪」。これは何度も拝見しているかわなか先生の作品。ビルマの風景。その、貧しくても豊穣でイキイキとした子供たちや人々の姿。それをかわなか先生の少年時代、昭和20年代や30年代の、まだまだ貧しくてもイキイキとしていた日本人の様子と重ね合わせた作品。
市場に並ぶ色とりどりの食材。まぁ蝿がワンワンたかっていたりして、今時の人なら引いてしまう風景かもしれませんが。私はそういう風景を懐かしく感じる最後の世代かな。市場に並べられたたくさんの魚、たかる蝿、蝿よけの線香の煙、匂い、蝿がびっしりくっついた蝿とり紙。そういう風景を記憶している。
「旅の繪3」。よなご映像フェスティバルをモチーフにした作品が完成できなかったということで、函館イルミナシオン映画祭を扱った本作が替わりに上映されました。あがた森魚さんフューチャー。そして映画祭で行われたかわなか先生&あがた森魚さんを中心にした映像と音楽のパフォーマンス「つくられつつある映画」の様子。
上映後、いつもの通り交流会。お酒とおいしいお料理。なんかほんと、何も作ってない私は「雑魚のトト混じり」でありましたが。
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