« 『大槻ケンヂが語る江戸川乱歩』 | トップページ | 『じょしらく(特別版 壱)』 »

2010/05/17

『チョコレート工場の秘密』と『チャーリーとチョコレート工場』

今週末はテレビで『チョコレート工場の秘密』(71年)と『チャーリーとチョコレート工場』(05年)をやってたので、見てみました。何となく感想など。

両作とも原作はロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』だそうですが。『チョコレート工場の秘密』は未読だけど、ロアルド・ダールの作品は大学時代『あなたに似た人』を読みました。とても面白い短編集でした。ジッポのライターに凝っていたころなので、「南から来た男」あたりがいちばんツボったかな。「南から来た男」の真似をして、ジッポのライターが10回連続で点くかドキドキしながら何度も試したり。ワンショット・ライターとして有名なジッポですが、10回連続はけっこう難しかったし、ああいうバクチの最中ならさらに手が滑ったりして難しいのじゃないかと。

『チャーリーとチョコレート工場』はもちろんティム・バートン監督作ですが。ティム・バートン作品は代表作とされるものでも見てないのがあったり、そのいっぽう、セルDVDはあまり持ってない私が『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』と『コープスブライド』のDVDは持ってたり。そんなスタンスの監督さんなのですが。

ティム・バートンは「ゴシック&ロリィタ」感覚の監督さんだと思ってます。物の本によると西欧では「ゴシック」と「ロリィタ」は融合することの考えられない、別々のものらしいのですが。それが日本では融合して「ゴシック&ロリィタ」というのが誕生したという話なのですが。
しかし、ティム・バートンは西欧人として「ゴシック&ロリィタ」感覚を持っている、と。ティム・バートンのセンスから日本でゴシック&ロリィタが生まれたのか、日本のゴシック&ロリィタがティム・バートンに影響を与えたのか、それとも別々の流れなのか、は良く解らないのですが。

いや、閑話休題。

『チャーリーとチョコレート工場』は以前にも見ていて。で、あのぶっ飛んだセンス、だいぶティム・バートンの演出が入っているのかなぁと思ってたのですが。しかし、『チョコレート工場の秘密』もかなりぶっ飛んだ作品で。CGIとか特撮技術が今日並みだったら『チャーリーとチョコレート工場』くらいの作品になってたろうなと思われました。

美術的に大きく違うのは季節設定かしら?『チョコレート工場の秘密』は秋。最後の空撮シーンの赤い屋根の町がとてもきれいでした。『チャーリーとチョコレート工場』は冬のおはなし。雪の積もった街並みがティム・バートンっぽくてきれいでした。

もちろん大まかなストーリーも同じなのですが、大きな違いがちょっとあって、それが面白かったかなと。

(以下ネタバレゾーンにつき)

物語のあらすじは両方とも同じ。謎のチョコレート王、ウィリー・ウォンカ。その工場も秘密のベールの向こうにあるんだけど。ある日、ウィリー・ウォンカは製品のチョコレートにくじをつけます。そのくじに当たった5人の子供と保護者を彼の謎に包まれた工場に招待すると。

で、5人の子供たちがウィリー・ウォンカの工場に招待されるのだけど。しかしそこは普通のチョコレート工場とはぜんぜん違うぶっ飛んだ場所。チョコの川が流れてたりして。
で、子供たちが次々と自ら招いたアクシデントで消えていき、最後に残った貧しい家の子供、チャーリーがウィリー・ウォンカからの特別なプレゼントを手にします。ま、そんなおはなしだけど。

しかし、チャーリーがこの特別なプレゼントを手にした理由が大きく違います。
『チョコレート工場の秘密』では、チャーリーがライバル会社のスパイを断り、ウォンカとの信義を守ったことがきっかけで。つっけんどんな態度を示すウォンカ、信義を破られてもおかしくない状況でも。

『チャーリーとチョコレート工場』では、チャーリーがライバル会社からのスパイを依頼されるくだりそのものがありません。おはなしの流れは同様に彼だけが他の子供と違って身勝手なことをしなかったせいで、それを手に入れかけるのですが。
しかし、『チャーリーとチョコレート工場』では、そのプレゼントを受け取ることはチャーリーが家族を捨てることが条件で。家族がたいせつなチャーリーはそれをいったんは断ります。そして、家族にしこりのあるウォンカが、彼の家族との絆をふたたび取り戻させるきっかけをチャーリーが作ることにより、改めてそのプレゼントをウォンカから受け取ります。

『チョコレート工場の秘密』は“信義”がキーワードになっていて、『チャーリーとチョコレート工場』は“家族”がキーワードになっているというのが面白いなと思いました。時代なのかなぁ。家族の絆が壊れていってる現代の。
(原作的にはどうなってるかは解らないのですが)

ラストのチャーリーと家族たちのやり取りは、家族を作れずにきたあたしとしては心がチクチクしました。ま、ジョニー・ディップ演じるウィリー・ウォンカみたいな金持ちイケメンなら家族を持とうと思えば家族なんてすぐに手に入るでしょうかしら?

ところで両作ともチャーリーがその工場見学のくじに当たるのは拾ったお金でチョコを買ったのがきっかけなんですが。「拾ったお金を勝手に使うとは。チャーリーはきっとあとで酷い目に遭うに違いない」と心配しながら見ていたのですが。両作ともそれに関しては何も起きませんでした。
両親や祖父母もチャーリーが拾ったお金でチョコを買ったと言っても特にとがめたりしなかったし。それはチャーリーのはしゃぎっぷりを見て注意できなかったのだろうと思ったのですが。しっかりした、厳しい親御さんならそういう事を許すことはないだろうと思っていたのですが。

そして逆になんか変だなと思っていたのですが。落し物を自分で使ってしまってどうしてバチが当たらないんだろうって。脱落していった子供たちともあまり変わらないじゃないかと。
実は後日某所で別件でそういう遺失物を巡るやり取りをしたのですが。どうやら欧米では拾得物を貰っちゃうのは日本より悪い行為じゃないみたいです。つか普通の行為?まだ法律関係とかあまりよく調べてないので良くは解らないのですが。
そうなると置き引きとかに対する感覚も日本と欧米とは違うのかしら?
そこらへん、基本的なことなのに欧米のメンタリティについて知らないことはたくさんあるんだなと思いました。

|

« 『大槻ケンヂが語る江戸川乱歩』 | トップページ | 『じょしらく(特別版 壱)』 »

コメント

自己レスです。
原作『チョコレート工場の秘密』の感想はこちら。
http://buff.cocolog-nifty.com/buff/2014/07/post-99a1.html

投稿: BUFF | 2014/07/29 09:39

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 『大槻ケンヂが語る江戸川乱歩』 | トップページ | 『じょしらく(特別版 壱)』 »