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2009/10/08

台風から転がって丸山健二のこと

台風、ですな。

押入れからむかしキャンプに行く時使っていたカグールという雨合羽を引っ張り出してきました。
膝丈ぐらいあるナイロンヤッケというか、前開きがなくて頭からかぶるレインコートというか、そんな感じの雨具です。
ほんらいはシュラフバッグと組み合わせてビバークにも使えるという、ハードな登山用の雨具らしいのですが。私はレインパンツがなくてもある程度は使える雨具として愛用してました。

ま、あたしは筋金入りの雨男で、キャンプに出かけるとたいてい雨が降りました。
ひどい時は渇水で給水制限中というのに、キャンプに出かけたとたん豪雨になって、給水制限が解除されたってこともあります。

しかし、カグールもだいぶ防水がヘタってきてます。もう処分時かしら?
米軍のゴアテックスパーカ(民生品でも可)が欲しいと思っているのですが、なかなか買えません。

いや、閑話休題。

しかし、私は普通の雨のときは憂鬱になるのですが、台風のときは気分が高揚します。
で、台風との時に思い出すのが丸山健二の短編小説『台風見物』なのですが。

人生に敗れ、鬱屈した父親。彼は台風が来るとなると息子を連れ、海沿いの宿にやってくると。そして台風で荒れ狂う海を見るのをなぐさめにしていると。
その息子目線から描かれた父親の様子。
そういうお話だったと記憶しています『台風見物』は。

だんだんと荒れていく海に、鬱屈しきった父親もだんだんと血を滾らせていく様子、印象に残ってます。私もそのころ、そして今でも、鬱屈しきった人生だから。その気持ち、痛いほど理解できましたし、できます。

もう二十何年も前のこと、上京前ですが、丸山健二の本をよく読んでました。
確か、そのころよく買っていた男性誌に丸山健二が紹介されていたのがきっかけだったと思います。
純文学作家です。硬派タイプ。硬派といっても群れるタイプじゃなくて、孤高な方の硬派です。

確か芥川賞受賞最年少記録だったのではないかしら。最近若い女性がとるまで。
ただ逆に言えば丸山健二が受賞したころは「該当作なし」ということもなく、必ず誰かが受賞するというシステムになっていたようですが。
しかし、昔、国語の先生が「35歳過ぎないと小説は書けない」と言っていたけど。いまは人生経験よりも感性の時代なのかなぁ。いや、読んでいないのですが、その若い女性の小説は。

新宿ゴールデン街を嫌悪するタイプの作家です。エッセイで芥川賞受賞のあと、ゴールデン街のある酒場に連れて行かれた事を書いているのですが。
その酒場の扉を開けると、店主が客を叩いていて、客も喜んで叩かれていた、と。その様子を見た丸山健二はそのおぞましさに扉を閉めた、と書かれています。
そのお店はゴールデン街伝説の酒場、「まえだ」の事なのでしょう。私は上京してから、それこそゴールデン街の「深夜+1」で「まえだ」の伝説を伺いましたが。あ、あの店の事だって、膝を叩きました。

また、東京暮らしを捨て、長野に暮らす、そういう「田舎暮らし作家」のはしりでもあったと思います。そして、田舎暮らしで体を鍛え、小説を書いていたと。

昔、私がオートバイ、それもマイナーなトライアラーに乗っていたのも丸山健二の影響でした。丸山健二はトライアラー系のバイクで山を登っていたようです。

カメラマンを伴い旅をし、紀行エッセイ写真集といった本を著すというスタイルも、つまり開高健の『オーパ!』シリーズみたいな本を書くということもやっていました。楽しく読みました。というか、『オーパ!』より前のことなのですが。始めて『オーパ!』を見たとき、「丸山健二みたいだな」と思いました。

丸山健二は大型犬を飼い、ランニングパートナーとしてもいたようですが。犬のエッセイ『夜、でっかい犬が笑う』も楽しく読みました。

ま、ほんと、二十数年前によく読んでいた作家で、近年作は知らないのですが。

そして、私は、肉体派とは真逆な肥満体でもあるし、馴れ合いを求めるタイプであるし、新宿ゴールデン街酒場の雰囲気が好きな、丸山健二がはっきりと書いている、丸山健二が嫌悪するタイプの人間でありますが。
自然の中で暮らすことに憧れますが、そういう生き方はできないと痛感しているタイプでもあります。

しかし、ある作家が嫌悪すると明言しているタイプの人間が、実はその作家のけっこうな愛読者層を形成しているってことはよくあるのではないかしらと思います。
嫌悪するってことは、逆につながってるって事かもしれませんし。

もう丸山健二は読めなくなってると思います。作風の変化した最近作はもとより、昔愛読した旧作も、もう読めなくなってるかなと。

ま、台風をテーマにずいぶん転がりましたな。コロコロ…。

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