『下落合焼とりムービー』
昨日は京橋のフィルムセンターで『下落合焼とりムービー』を観てきました。
物故された映画人の追悼上映プログラム「逝ける映画人を偲んで 2007-2008」の一本です。赤塚不二夫と制作の向井寛城が対象となる逝ける映画人になるようです。
フィルムセンターによる本作の紹介はこちら。
日本映画データベースによるスタッフ&キャスト表はこちらになります。
本作は漫画家の赤塚不二夫が制作と脚本をやった映画です。
先日、銀座の松屋での赤塚不二夫展も楽しく拝見しましたし、巡り会わせというか、ちょうどタイミングを合わせるように本作の上映もありましたし。
それと、もう二十数年来お世話になっている、日本冒険小説協会・内藤陳会長ご出演の映画というのも観ようと思ったきっかけです。
本作は大昔、それこそ20年以上前にビデオで見た記憶がありますが。
もうほとんど憶えていませんでした。
まぁ、そういう理由でフィルムセンターへ。
お客さんはけっこう入っていました。
さて、おはなしは…
(以下ネタバレゾーンにつき)
主役は所ジョージみたいです。
彼が通うのは大日本下落合大学。校内で刃傷沙汰や銃殺刑が当たり前にあるような大学。どうやらその学長は日本のドンと繋がってるらしく。
所ジョージはある女生徒から、学校の地下金庫にある学長の裏金を強奪する計画を持ちかけられます。なぜだか。
ま、物語がグイグイ進むというスタイルじゃなくて、あちこち寄り道しまくって、コントシーンとか歌のシーンとか挟み込まれます。
お約束かもしれませんが、学長の娘とデキちゃう所ジョージ。
まじめに考えれば突っ込みどころ満載のストーリーですが、ギャグですし。
“下落合”の地名が冠された本作ですが、本作では下落合の街が描かれることはありません。たぶん、赤塚不二夫のフジオ・プロが下落合あたりにあったからでしょう。(フジオ・プロの現住所はフジオ・プロのサイトによると中落合のようですが、アクセス的には下落合駅になるようです)
本作のタイトルは『ケンタッキー・フライド・ムービー』のもじりのようですが。
冒頭、所ジョージがバイクで学校内に乗り込むシーンは『アニマル・ハウス』ネタかな?
『アニマル・ハウス』でそれをやったジョン・ベルーシは肥満体で、所ジョージは痩せ型ですが。
所ジョージも若いです。なんせ大学生役ができるぐらいだから。
ブレイク前のアルフィー、坂崎幸之助は弱気な新入生役で出ていますし。
タモリも出ています。終盤の方、船上パーティーでの酔いどれウェイター役。
まだあのころは司会業のタモリ、じゃなくて、とんがった、ちょっとアブない芸人・タモリのころ。
監督は山本晋也とか。「トゥナイト」の風俗レポーターで有名になった方。
時系列を勘違いしていましたが、トゥナイトは80年スタートの番組で、本作は79年の作品ですから、風俗リポーターとしてブレイクする前の時期になるのか。
赤塚不二夫は終盤、学長と繋がっている“日本のドン”役でご出演でした。
モロにモデルは競艇のドンだったあの方でありました。
内藤陳会長は学長の側近のガンマン?役でした。顔に大きな傷跡。
たくさん出ていらして、今まで見てきた会長ご出演映画の中ではいちばん会長の登場シーンが多かったのではないかと。
とても嬉しかったです。
ひとつの時代の節目に咲いたあだ花、怪作であると思います、本作は。
ほんと、様々な人たちが集まって本作をこしらえたこと、それは“赤塚不二夫”という、そのもとにたくさんの“才能”が集ってきた人物なかりせばできなかった作品かと。
とても面白い映画、誰にでもおススメできる映画、とは決して言えませんが、そういう意味で記念碑的作品だと思います。
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