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2009/08/29

『化物語』第9話「するがモンキー 其ノ参」

「するがモンキー 其ノ壹」の感想はこちらへ。
「するがモンキー 其ノ貮」の感想はこちらへ。

さて、『化物語』・するがモンキー編のラスト、「するがモンキー 其ノ参」であります。
(私は総集編の第6回放送も話数に入れて、第9話としてるんだけど、総集編は入れなくて第8話と表記したほうがいいのかしら?)

(のっけからネタバレゾーンにつき)

冒頭、神原駿河の自宅で、自分と猿の手(忍野メメの指摘によると、猿の手じゃなくてレイニー・デビルという悪魔だそうですが)のいきさつを語る神原駿河。

神原駿河の両親は、神原駿河が小学校低学年のころ、死んでしまったようです。
そして、「猿の手」は母親から貰ったもののようです。そんな危険物を渡す母親も母親だと思いますが。まぁ、処分することもできないだろうし、因果を含めて使わないようにさせるつもりが、その前に母親は死んでしまったのかもしれません。その前に母親が死んでしまったのも、レイニー・デビルのはかりごとだったのかも?

小学校4年のころ、両親の死がきっかけで?転校した神原駿河(母方か父方の祖父母にでも引き取られたのかな?)。
そして、神原駿河は猿の手に最初のお願いをします。「足が速くなりたいです」と。運動会の徒競走で負けたくないと。転校したばかり、クラスにまだなじめず、また、足が遅いのをよくからかわれていたようです。だから、徒競走で一等を取れば、同級生の自分を見る目も変わるのではないかと。

禍々しい方法でその願いを叶える猿の手。その時、いっしょに走る予定だった同級生が襲われ、休むという形で神原駿河の願いは叶えられます。
「猿の手の物語」を知り、震える神原駿河。

神原駿河は一生懸命走る練習をします。だって、新しく走る相手より自分が遅かったら、いっしょに走る相手がまた襲われる可能性がありますもの。
そして、そのまま猿の手の呪いを避けるためにスポーツ少女となり、バスケットボール部に入る神原駿河。

優秀な選手として評判が高くなった神原駿河を、ある日、戦場ヶ原ひたぎが訪ねます。
自分と百メートル走をしないかと。
戦場ヶ原ひたぎが襲われる結果になることを恐れた神原駿河はそれを断るのだけど、でも、ふたりは仲良しになります。神原駿河は戦場ヶ原ひたぎを愛するようになります。

それ以来、使おうかと思うことはあっても、「猿の手」を使わずにこれた神原駿河。
ひたぎが怪異によって体重をほとんど喪ったときも、その回復を猿の手に願うことなくこれたのだけど。
しかし、戦場ヶ原ひたぎと阿良々木暦が睦まじくしているのを見てしまった神原駿河は、再び猿の手に願いをかけます。「戦場ヶ原先輩の傍に居たい」と。

今回やっと「するがモンキー」編用のオープニングになりました。今までは「ひたぎクラブ」とほぼ同じオープニングだったけど。ひたぎに惹かれていく神原駿河の気持ちを歌ったもの。“百合”が飛びまくるオープニングであります。ラスト、神原駿河はひたぎにでっかいハサミでチョッキンされちゃいますが。それはひたぎに拒絶されたことを表しているのかな?

事情を聞いた忍野メメは語ります。この件を簡単に解決するには2つの方法があると。
ひとつは、阿良々木暦が神原駿河に殺されること。もうひとつは神原駿河の怪異がとり憑いた左腕を切り落とすこと。

そして、実は、小学校時代徒競争の相手が襲われたのも、阿良々木暦が襲われたのも、実は神原駿河が無意識にでも願ったことではないのかと。
迫害していた同級生をぶちのめしたかったのではと、阿良々木暦に嫉妬していて、殺意を抱いていたのではないかと。

まーこーゆーのってよくありますわな。悪意を秘めているのに自分の善意性を頭っから信じているようなこと。

阿良々木暦は困難な方法をとります。極めて困難な方法。それは、阿良々木暦が襲ってくる神原駿河に殺されないこと。そうすれば、レイニー・デビルと神原駿河の約束は果たせなかったことになり、レイニー・デビルは魔界に帰るしかなくなると。
かつて自分にとり憑いていた吸血鬼、忍野忍に再び血を吸わせ、パワーアップしようとする阿良々木暦。しかし、忍野メメの話によると、そうやってもほんとに吸血鬼が取り付いていたころの暦のパワーに比べて十分の一くらいの能力しかないようですが。

暦は、神原駿河の気持ちを理解して。人は人に悪意を抱くこともあると理解していて。
その、人の心の闇も理解する阿良々木暦、いいと思います。人は心に闇を抱くこともあるもの。世の中の、自分は善意の者であると頭っから信じているような奴等よりも。

神原駿河はいったんは自分の左腕を切り落とすことに同意し、ひたぎの事も諦めると言ったのですが。それを暦は許さなくて。

忍野メメの暮らす廃ビルの一室?、暦はレイニー・デビルに支配された神原駿河に対峙します。暦を襲う神原駿河。そのパワーは暦の予想をはるかに超えたもの。心の底では神原駿河はひたぎのことを諦めきれず、暦を排除する気持ちは失くしていなかったようです。
手首を砕かれ、ボロボロにされる暦。このままだと暦は殺されてしまいそうです。
(このシーンの色遣い、振り回される暦の様子、『まりあ†ほりっく』のオープニングそっくりでした)

そこに戦場ヶ原ひたぎが現れます。暦を襲おうとする神原駿河の前に立ちふさがるひたぎ。ひたぎは宣言します。暦が死んだらどんな手を使っても神原駿河を殺すと。それを聞いて苦しみだすレイニー・デビルのとり憑いた神原駿河。

そう、この問題の解決策はもうひとつありました。それは、ひたぎが暦を殺そうとする神原駿河を目にすること。暦を神原駿河が殺せば、ひたぎは決して神原駿河を許すことはない。もちろん好意を抱くこともない。そうなれば、神原駿河とレイニー・デビルの約束は果たすことができない。「するがモンキー 其ノ壹」でひたぎが暦に「あなたを殺す人がいたら、私はその相手を殺す」と言ったのが伏線になってますな。

そうか、こういう解決法もあるのか!!と思いました。どっちにしろ暦君、命がけですけど…。

暦に黙ってひたぎを呼んだのは忍野メメ。預かった暦の荷物に入っていた携帯電話を使ったようです。これは「まよいマイマイ」でひたぎの携帯から暦の携帯に電話が入った件が伏線になってますな。あのとき大仰に「戦場ヶ原ひたぎの携帯番号を入手した瞬間だった」と語られたのはこのためだったのか。うまくできてます。

神原駿河の腕を優しく撫で、手を握るひたぎ。元に戻った神原駿河は泣きじゃくりながら言います。戦場ヶ原先輩が好きだと。私はそれほど好きじゃないといいつつも、それでも傍に居てくれるかと返すひたぎ。そして、いっぱい待たせてごめんなさいと謝罪するひたぎ。
ふたりの仲も無事戻ったようです。

日曜日、暦の家に神原駿河がやってきます。戦場ヶ原先輩に言われて迎えに来たと。
神原駿河は戦場ヶ原ひたぎと阿良々木暦のかわいい後輩ってポジションにとりあえずは落ち着いたようです。
神原駿河はバスケットボールができなくなってバスケットボール部はやめたみたい。左腕の包帯はまだ取れてない様子。とり憑いていたレイニー・デビルは去っても、まだ後遺症は残っているようです。そのせいみたい。

しかし私服の神原駿河、かわいいです。んで、右腕に緑色のブレスレットをしているのですが。八九寺真宵が最初から着けていた物と似ています。何かの“しるし”になってるのかしら?暦ハーレムの一員の証?でも戦場ヶ原ひたぎは着けてないけど。

今回、慌しかったという印象でした。お話の進行としてはゆっくり目と思うのですが。でも、語り口からすると慌しいって感じがしました。もうちょっと尺があってもよかったと思いました。

しかしほんと、阿良々木君は優しい男かと。もてて当然なのかなぁ。
ただ、どこか"Death Wish"な感じがします。自己犠牲願望というか、自殺願望とは異質なものではないかとは感じるのですが。自分を犠牲にする機会、何か“善きこと”のために自分の命を差し出す機会があれば、進んで自分の命を差し出すような衝動というか。

まず最初に思い出すのは『ライ麦畑でつかまえて』の主人公の少年です。彼は時々、悪党と刺し違える自分を夢想します。空しさに囚われ、自己消滅願望、(意味のある)死を、この世から消え去ることを、無意識にしろ願っている少年。阿良々木暦もそういう人物なような気がします。

まぁ自己犠牲の物語はたくさんあるのですが。仏教説話にも自分の身を飢えた虎に食べさせるおはなしがあったと記憶しています。人が感動する物語の1パターンかと。

宮沢賢治もそういう世界を書いていたと思います。『グスコーブドリの伝記』はいちばん分かりやすい例だけど、『銀河鉄道の夜』も仲間を助けるために自らの命を落としたカムパネルラが大事な登場人物ですし。『よだかの星』も、自己犠牲というのとはちょっと違いますが、同じように根底を流れる自己消滅願望を描いたものと思います。

やはり暦には、その底に深い孤独と、それによる“現世”に対する深い絶望感といったものがあるような気がします。『ライ麦畑でつかまえて』の主人公の少年と同じように。羽川翼が指摘したように、暦は「難攻不落のセルフフィールドで篭城戦を繰り広げているタイプ」だそうですし。

戦場ヶ原ひたぎは元々はそうでなかったのに、痛々しい経験を経て「難攻不落のセルフフィールド」を構築したタイプのように見受けられますが。しかし暦によってそれは解決されつつあり、そこから“現世”に戻りつつあるのかもしれない。しかし、暦は最初からセルフフィールドで篭城戦を繰り広げているタイプ。

両方を知ってるひたぎは、暦の“現世”に対する深い絶望感を解決してあげられるのかしら?

ま、「一日一個リンゴを食べれば医者はいらない、一日一回セックスすれば悩みはなくなる」といいますし、ふたりの仲が深まれば暦のそういった部分もある程度は癒されるようになるかもしれませんね。
私もひたぎみたいな恋人、欲しいわぁ、なんてね…。

次からは「なでこスネイク」のお話が始まるのかな?
それも楽しみです。

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