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2009/07/17

『宇宙をかける少女』のこと

6月まで毎回欠かさず見ていたアニメは『宇宙をかける少女』『夏のあらし!』『けいおん!』『涼宮ハルヒの憂鬱』そして、子供向け科学番組『すイエんサー』の1コーナーアニメ『マリー&ガリー』くらいでした。『涼宮ハルヒの憂鬱』と『マリー&ガリー』以外は前期で終わったのだけど。『けいおん!』と『夏のあらし!』については書いたので、最後に『宇宙をかける少女』について書きます。いや、どう書こうか考え込んでしまっているのだけど。

『宇宙をかける少女』は2クール、全26話のアニメでした。最後の2話は先日まとめて見たのですが。お話の勢いにつられてけっこう面白くは見ました。ただ、終わってちょっと考えてみると、頭の上にはてなマークがいくつか飛び交うような感じでした。

『宇宙をかける少女』のお話は。時代設定は遠い未来、人類のほとんどがスペースコロニーに暮らす時代です。
「ブレインコロニー」と呼ばれる、知性と意思を持った、つまり、「マザーコンピューター」的な物を備えたコロニーの人類に対する反乱。それに対抗する人類。そして、その戦いのキーパーソンとなってしまった獅子堂秋葉たち少女たちのおはなしでしだったんですが。

その、自分的にはてなマークが飛び交った理由というのは。
まぁ、早い話が、様々にちりばめられた伏線や謎も多くが未回収のまま最後には忘れられたり、あっさり放棄されたり。あるいは登場人物たちを活かしきってないということなんです。疑問点は。
それが多すぎると。

話の勢いに釣られて見ている限りでは、面白く見られたんですが。でも終わってみると未消化部分がたくさんあって、シナリオやストーリー、シリーズ構成的に色々破綻した作品だったなぁと。
んでも、途中でやめずに、最後まで見ちゃったのはなぜだったんだろうかなぁと、そういう自分自身に対してちょっと不思議な疑問を感じたりして。

まず、ツカミがとても良かったです。

1話の冒頭シーン、コロニー内の高速道路からそのまま宇宙に飛び出して、学校のあるコロニーへ向かう秋葉たち。その一連のシークエンスとか、SF的な「センス・オブ・ワンダー」を感じさせましたし。
ブレインコロニーというガジェットも新鮮でした。ま、あとから考えればブレインコロニーってのは、「マザーコンピューター」+「スペースコロニー」って感じで、ありがちなネタの組み合わせなのでしょうが。
そしてその巨大なスペースコロニー同士が肉弾戦を繰り広げるというアイディアも面白かったですが。でも、考えてみればちょっと不自然かも。

SF考証的な部分もいい感じがしました。地球軌道上からコロニー軌道上へ向かうのは、登場人物たちが乗るQTアームズというロボット型宇宙戦闘機では困難で、貨物宇宙船に便乗するってところも。宇宙戦闘機で恒星間飛行までこなしちゃう某超メジャーSF映画より好感が持てました。
あと、緊急事態で宇宙船で地球に下りたのはいいけれど、大気圏を脱出して宇宙に戻るのに苦労するくだりなど(その話が出てきたあたりはだいぶ破綻が見え始めたころなのですが)

あと、個人的には恋愛要素がほとんど見られないところが安心して見られた部分かなぁ。「もてない男」としては、恋愛要素があると、しかも、メインヒロインについてそれが描かれたりすると、ウキィーってなるのですが。ほとんどがコロニーたちと女所帯の中でおはなしが進みますので、ある意味安心してみていられます。
しかし、このくらい波乱万丈なお話なら、恋愛要素もあったほうがいいのかもしれませんが…。

絵柄も好きでした。えっちな感じがいいです。それも、パンツや乳をどーんじゃなくて、体の線の描き方とかがエロくて、それはオッサン好みな部分。
そうそう、ジャジーなBGMもけっこう好きでしたよ。

まぁ、ひとことで言えば「演出はよかった」ってことなんだろうケド。

しかし、やっぱり、いや、いい部分も多いから、おはなしがかなり破綻してしまったのがかえすがえすも残念です。

冒険活劇ものだけど、人の死なない、ほんわかしたおはなしに持っていこうとしている部分は、スタンスとしては悪くはないと思いますが。でもご都合主義的に「生きてました」なんて感じがするのは困りものでした。それに、主要登場人物はそうでも、一般市民にはかなりの犠牲が出ているようですし。それを感じさせないように演出にもっと気を使えばよかったのかもしれませんが。

人類に敵対するブレインコロニーのリーダー、ネルヴァルの描きかたはいい感じでした。
なんていうのかな、「人類を支配する」というより、「人類を善導する」と思ってる人物。あくまで自分の善意により、人類を善導しようとしているという部分が。自分はあくまで「善意の人物」と信じ込んでいるけど、結果として人類を支配しようとしている部分が。
うまく説明できないけど、私が見たことのあるアニメの範囲では『ガン×ソード』のカギ爪の男に近い感じです。

そういうタイプの人間って、いちばんタチが悪く、薄気味悪いと思います。「俺は人類を支配してやる!」とうそぶき、独裁支配を目指す人間よりも。自分の善意を信じきっている部分においてそれよりタチが悪く、薄気味悪いです。

これはリアルでも同じです。カルトのリーダーとか、政治家にもいますな。二次元の児童ポルノや陵辱ゲームまで規制しようとしている奴等とか。たぶん、自己の善意性に関してはまったく揺るがない信念を持っているのでしょう。だから、人当たりもよく、印象的にはいい人。でも、根っ子のところで間違っている。そこに強烈な違和感を感じて気持ち悪いタイプです。(私は三次元の児童ポルノや、ましてや実写の陵辱物は嫌いです。それは“表現物”としてではなく、確実に“被害者”となった実在の人物がいるという意味においてですが)

私はそういう人物は苦手です。
私は内田樹の

自分の正しさを雄弁に主張することのできる知性よりも、自分の愚かしさを吟味できる知性のほうが、私は好きだ
(『ためらいの倫理学』(角川文庫版)349p「あとがき-解題とともに」より)

という言葉を全面的に支持しますし。
そういう人物を主人公たちの敵役に置いて、描ききれば面白かったと思いますが…。

とまれ、楽しみはしたけど、もうちょっとお話をうまく構築してくれたらよかったのになぁと思います。『宇宙をかける少女』は。
ツカミは良かったんですよね。謎をちりばめるやり方も。「人は第一印象で決まる」といいますし、やっぱり第一印象がいいとおはなしも最後まで付き合うものなのかもしれません。

ただやっぱりほんと、残念だったなと思います…。

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