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2009/07/31

エンドレスエイト…

深夜アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の「エンドレスエイト」が7周目で、8週突入もほぼ確定とネット上で出ていました。

『涼宮ハルヒの憂鬱』ってのは、角川のライトノベル原作のアニメです。
天上天下唯我独尊、自分は世界の中心と素で思ってる女子高生、涼宮ハルヒとその周囲の人たちの騒動をコミカルに描いたSF仕立ての作品なんですが。
3年くらい前にアニメ化されて、大ヒットだったようです。今でもフィギュアとか新作がリリースされているようです。

最初の放送は見逃してしまったのですが、4月から再放送+新作というユニークなスタイルで放送が始まりました。毎週楽しみに見ていたんだけど。

天上天下唯我独尊、自分は世界の中心、ま、そういう人物はたまに見かけますな。中小企業の社長とかお偉いさんによくいて、辟易させられることもしばしばですけど。
だからハルヒもそういう人物の仲間に感じられ、可愛い部分でまぁある程度は相殺されているけど、あまり魅力は感じません。むしろ振り回される周りの人物の方が魅力的って面白い感覚があります。

そして、リアルでは、そういう自己中心思想ってのはもちろん本人の虚妄に過ぎないんだけど。でも、面白いのはほんとにハルヒは世界の中心っぽい、この宇宙の生殺与奪まで握っているっぽい人物で、彼女の周りに集まってきた人間も、語り手役のキョンを除いて彼女を監視するためにやってきた宇宙人や未来人や超能力者ってのが面白いアイディアだなと思いました。ライトノベルの読者層に多そうな中二病っぽい感覚に寄り添いつつうまくイジってあるなと。あたしも中二病っぽい部分があったので、そういう部分を痛痒く刺激されます。

ま、そういう風に面白く見ていたんですが。

原作未読ですが、「エンドレスエイト」というエピソードがあるそうです。時間ループネタみたい。夏休みの最後の2週間くらいかな、それが延々と繰り返すお話みたいですが。
これをアニメ化に際し、超前衛的というか、無茶な手法をとりやがりました。
つまり、原作の時間ループのように、同じ話を何度も何度も繰り返しています。
同じ番組を何度も放送するのではなく、ちょっと細部を変更しながら、一回一回きちんと作っています。(原作はさすがにそういうつくりにはないってないようですが)

私は3周目でリタイアしました。あとはエンドレスエイトが繰り返すたびにネット上で起こる騒動を眺めるという、メタな楽しみ方をしておりますが…。
(「エンドレスエイト」は長いので、以下「EE」と略します)

しかしほんと、「これなんて実験映画?」という感じです。
私は普通の人より実験映画は見ているほうだと思いますが。

見ている人間と根競べをするような実験映画というのもいくつか見たことがあります。
例えばトニー・コンラッドの「フリッカー」。30分近く、モノクロームのスクリーンが明滅するだけの作品。あと、作品名とかは忘れましたが、オペラ座の開演前、舞台側から客席をフィクストのカメラで写した映像を90分流す奴とか(映像作家の先生のお話によると、90分間リールを交換しないで撮影できるフィルムのムービーカメラは存在しないそうで、特注の機材を使ったのだろうというお話でした)。30~40分くらいかな、部屋のこちら側からあちら側へカメラがゆっくり移動していくだけの作品とか(カメラが窓に近づいて、外の風景が見えたときはオアシスにたどり着いたキャラバンのような気持ちになりました)。デレク・ジャーマンの『ブルー』は未見だけど。

そういった根競べを楽しめた作品もありましたけど。
しかし、EEは3周目で挫折しました…。

ほんと、なんでこういう作品にしてしまったのかしら?それが激しく疑問です。顰蹙を買うことになるのは容易に予想がついたと思いますが。ハルヒは超ドル箱のアニメシリーズだと思いますが。それを自らぶち壊しにするような事をなぜしているのかと。
あと、作品を“実験映画”にしてしまった商業アニメーションというと最初のテレビ版の『新世紀エヴァンゲリオン』の終盤を思い浮かべますが。でもあれは手詰まりの苦し紛れという部分も感じさせましたが、「ハルヒ」にはそういう印象を受けないのですが。
あ、あと、実験映画的というか、前衛的な手法を使う新房昭之監督作品は好きです。そいういうのを好む私ってやっぱり中二病が続いているのかもしれませんがね。

う~ん、話題づくりのためでしょうか?普通の時間帯の普通の番組なら、ある程度はそれで理解できます。「普通の時間帯の普通の番組」というのは、せんじ詰めれば「CMを見せるためのもの」であります。中身がどんなに無茶な作品でも、話題づくりになって、見てみようという人が、チャンネルを合わせる人がいて、視聴率が取れれば、つまり、CMを見る人が増えれば、スポンサー的には万々歳でしょう。ま、そのおかげで、テレビ番組がつまらなくなっていってるのですが。

しかし、深夜アニメはまったく方向性が違うと思うんです。深夜アニメはその番組自体、つまりセルソフト版や、主題曲なんかのCDを売るため作品です。それで制作資金を回収するというビジネスモデルになってます。だから、どれだけ話題になってチャンネルを合わせる人が増えても、セルソフトを買う人がいなけりゃ儲けは出ません。そして、アニメのセルソフトは決して安いものではありません。
はたしてEEのセルソフトを買おうという人はどれだけいるのかしら?

「けいおん!」ブームみたいに、アニソンがヒットチャートをにぎわす事が多いみたいですが。たぶん、深夜アニメファンはセルソフトを買うという“行為”がその作品を、ひいては深夜アニメそのものを支えている、応援しているという自覚があるのではと思います。だから、自腹を切ってソフトを買っていると。だからこの不景気、CDが売れないといわれている時代でも、アニソンCDは売れているのではと思います。

ここらへん、オノレの利権侵害をぎゃあぎゃあわめく著作権ゴロの某団体とか某団体にも見習って欲しい部分ですけどね。利権侵害をわめくより、「皆さんがお金を出してソフトを買ってくれるおかげで私たちは生活できるのです、そして、もっといい物を皆さんに提供しようとがんばれるのです」となぜ言えないのかなぁ。
「被害者ヅラが気にくわねぇつってんだよ」(『化物語』より忍野メメの台詞)

いや、閑話休題。

しかし、ほんと、どうしてこういう風にしちゃったんでしょうね。誰か止める人がいなかったのかなぁ…。んで、ふと気がついたのですが。

“ハルヒ”って名前、角川書店の昔の社長と一字違いですよね。たぶん、原作者も意識していたのではないかと。天上天下唯我独尊という性格は似ているような。
そして、“角川映画”というスタイル。宣伝をガンガンかけて、原作ともどもメディアミックスで売るという、当時斜陽産業だった映画の賦活剤になり、角川の社業も大いに伸ばしたスタイル。そういう手法を生み出したアイディアマンでもありながら、いや、それ故にか、奇行癖もあり、麻薬事件を起こし、角川グループから退いた人物(そして後に自分の会社を興す訳ですが)であるのですが。

ひょっとしたら「ハルヒ」には、その奇行のDNAが潜り込んでいるのかもしれませんなぁ。ケレンを志向してしまう部分が。
もちろんEEの件は、角川と京都アニメーション、どちらが先導権を持ってやらかしたのか解りませんが。
しかしほんと、EEの件をひっくり返すような秘策が『涼宮ハルヒ』あるとも想像しています。
お手並み拝見、と思ってます。

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コメント

今週も結局終わりませんでしたw
ここまで反応があるってだけで京アニの勝ちなのかもしれません

投稿: animenews | 2009/07/31 20:03

animenews様
う~ん、話題になったことは話題になってますが、じゃあ、どういううメリットが作り手側に発生しつつあるのかということが問題かと思います。

まず、エンドレスエイトのDVDはあまり売れないんじゃないかな。むちゃくちゃいい特典でもつかない限り。そういう意味では失敗作になってしまうのではと。

それがハルヒシリーズ人気に水を差すことになれば、ハルヒシリーズとしても失敗ですね。そこまで行くかどうかは解りませんが。
逆にハルヒシリーズが注目され、セールスが上がるということは考えられるかしら。

しかしまた角川アニメや京アニの知名度が上がって、他作品が注目され、売れるというメリットも発生するかもしれません。
また逆に角川や京アニに対する風当たりが強まり、凋落の第一歩かもしれません。

ただ話題性を得た後のことは色々可能性が考えられます。

また、ビジネス抜きの話をすれば、ハルヒというドル箱シリーズを素材に、視聴者があっけにとられるような「あーと」をやらかした作り手の自我はブクブクに膨らんで、それは快感だろうなと、それは容易に想像つくんだけど。(それが本文で「ケレン」と書いたことです)

私としてはこういう幼稚なアート行為はあまりいい感じがしないのですけれど。

投稿: BUFF | 2009/08/01 11:53

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