『夏のあらし!』を観終わって
今期楽しんだアニメのツートップは『けいおん!』と『夏のあらし!』でした。
『けいおん!』に続き、夏のあらしもこの日曜深夜の回で最終回でした。さみしいです。
『けいおん!』と同じく、『夏のあらし!』も最終回は番外編という感じで、お遊び回でした。
(『夏のあらし!』は途中にもお遊び回が挟まれていましたが)
なんかもうむちゃくちゃはっちゃけたお遊び回でした。パロネタあまり解らなかったけど…。
『夏のあらし!』という物語は。昭和20年5月29日の横浜大空襲で死んだ少女たちの幽霊たち-あらし、カヤ、加奈子、やよゐ、そして、現代を生きる人たち-中一の少年・一(はじめ)、訳あって男の子として一たちの前に現れる少女・潤、方舟という昭和レトロ喫茶の店主、実は凄腕女詐欺師のマスター、そして、マッチョな私立探偵のグラサン、たちのコメディあり、シリアスありというお話でした。
舞台は「方舟」という戦災にも生き残ったレトロな昭和喫茶。少女たちの幽霊は夏の間しか現れないらしく、ひと夏の物語。
そして、面白いアイディアだなと思ったのは「通じる」という設定。幽霊の少女たちは、現代に生きる人々の中で、「通じる」相手というのがいるようです。そして、少女たちは「通じる」相手ができると、過去に飛ぶことができます。また、彼女たちが存在するためにも「通じる」相手からエネルギーを貰う必要があるみたい。そこらへん、ほんと面白いアイディアです。
彼女たちは過去へ飛び、戦災で死ぬはずだった人々を助けたりします。
「過去への干渉」となると「親殺しのパラドックス」が問題になるわけですが。そこらへん、時間旅行物だと必ず出てくる問題ですね。私もそういうのを考え出すと頭がややこしくなるものですから時間旅行物は実は苦手なんですが。
でも『夏のあらし!』の時間旅行観は面白いです。あらし達が過去への干渉を行う前に、既にあらし達が助けた人たちが存在しています。時間移動しての過去への干渉も織り込み済みで時間は流れているみたい。そこらへん時間の流れの上にさらにメタな時間の流れがあるような感じです。うまく説明できないけど。
戦災で死んだ少女たちの幽霊、彼女たちの想い、というヘビーな部分。それに思いっきり遊びまくる演出。そして、オッサンキラーな昭和40~50年代あたりの昭和歌謡という組み合わせ。どうやったらまとまるか思いもつかないファクターをうまく纏め上げてとても面白い作品に仕上がってます。
画的な演出も良いです。光の効果が多角形になってたり、夏の、まぶしすぎて逆に暗く感じるような色使い。背景のいろいろな方向へ動く引き。過去の世界の少し色調を落とした様子。ひと夏のお話という感触を強めてくれます。
その、昭和歌謡な部分ですが。なんかあたし的ツボ直撃と思ったら、新房監督と私はだいたい同年代みたい。たぶん、監督的に懐かしい昭和歌謡が私にも直撃だったのでしょう。
あのころ、まだ「国民歌謡」というのが存在できた時代。老若男女が同じ歌に親しんでいた時代。そういう時代の最後のころ。
シリアスな部分にじーんと来て、お遊び部分を笑ったり感心したり。そして、昭和歌謡の懐かしさも心に沁みる、ほんと、いいアニメでした。
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