« コードチェンジは難しい | トップページ | 静香さんと割礼さんのライブ »

2009/05/15

『アジア新聞屋台村』

『アジア新聞屋台村』(高野秀行:著 集英社文庫:刊)
読了。

「辺境ライター」、高野秀行さんの本は時々読みます。面白いです。ほんと、世界の辺境のありよう、それは現代日本の常識に染まったことも気づかずに染まっているであろう私にとって、新鮮な刺激を与えてくれます。自分にこびりついた「固定概念」を軽やかにひっくり返される快感を与えてくれます。
本書は東京を舞台にしたお話ですが。でも、高野さんの「ワセダ三畳青春期」「異国トーキョー漂流記」などを拝読すると、日本でさえその“辺境”の貌を見せてくれます。

ある日、原稿依頼を受けた高野さん。その依頼の仕方がちょっと変で。その打ち合わせに発注もとの出版社に向かった高野さん。そこは「エイジアン」という、台湾出身の女性が経営する、台湾やタイやミャンマーやインドネシアやマレーシアのアジア各国の現地語と日本語の月刊新聞を出版する会社であったと。その、日本の出版社とはぜんぜん違うシステム。「編集会議」すらやらずに新聞を発行するシステム。

その、エイジアンの発行するタイ語と日本語の月刊新聞のライターとして寄稿しつつ、エイジアンの編集顧問として奮闘する高野さんのお話でありました。

むちゃくちゃ面白く読みました。

その、「屋台村」みたいな編集体制。アジア的混沌といえばいいのかなぁ。「辺境愛」に満ちた高野さんも、編集顧問としてエイジアンに持ち込もうとしたのは 「日本的な」きっちりとした編集体制。しかし、日本の出版社出身のスタッフが入り、さらに「日本的に」きっちりとした体制を敷こうとされると反発を感じて しまう高野さん。そのスタンスがなんか解るというか、いい感じでした。

編集部の面々の描き方も面白かったです。日本人の目から見ればひと癖もふた癖もある人たち。でもそれは彼らにとっては当たり前のありようかも知れず。
そして、彼らの持つ価値観は現代日本で窒息しかかってる人々にとって目のウロコが飛びまくる部分もあるのではと。

エイジアンと出会い、深く関わり、しかし、やがて、エイジアンを“卒業”していく高野さんの姿。ある種の「青春紀」の香りがします。

しかし、あたしも頭が固くなる年頃なのか、それともネット右翼に染まりつつあるのか、本書で描かれるアジアのほかの国の人々のメンタリティの違いについてイラッとする部分も出てきました。いや、違和感を感じるのは当たり前で、自分の中のそういう反応を無視するのも、逆に言えばまた差別的なものの見方かもしれませんが…。

いや、ほんと、ひとつの価値観に凝り固まって自分で自分を追い詰めるような生き方だけはしたくないものですが、その陥穽に落ちつつある自分も感じます。

ほんと本書も高野さんの他の本と同じく楽しく読めて楽しいひとときを過ごさせてくれました。
おススメ本であります。

|

« コードチェンジは難しい | トップページ | 静香さんと割礼さんのライブ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« コードチェンジは難しい | トップページ | 静香さんと割礼さんのライブ »