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2009/03/02

「星の王子さま」

土曜日のダブルヘッダー第2試合は、ザムザ阿佐ヶ谷でのProject Nyxさん公演、寺山修司の「星の王子さま」でした。

「星の王子さま」公演の事を知ったのは1月3日、ポスターハリスカンパニーのアングラ演劇ポスターコレクション展、「ジャパン・アヴァンギャルド」展での宇野亞喜良さんとポスターハリスの笹目さんとのトークショーででした。トークショーで宇野さんが美術と構成を担当されたこの公演があると伺い、また、チラシも頂きました。

チラシを拝見するとあらびっくり、元・天井棧敷の蘭妖子さん、演劇実験室◎万有引力の村田弘美さん、コマ劇場での会長との共演を拝見した渚ようこさん、そしてなんとなんと、何度かライブを拝見してちょっとファンな黒色すみれさんもご出演とか。ちょっと迷いましたが、「これは見に行かなくちゃ」と思って数日後、チケットを購入しました。

高円寺でのかわなかのぶひろ先生の実験映画上映会が終わって、ガード下伝いに歩いて阿佐ヶ谷へ。高円寺~阿佐ヶ谷ルートは時折たどりますので、ここらへん、もうちっと歩いて楽しいルートを開拓したいですな。
晩ご飯を食べておこうかと思いましたが、あまり食指の動くお店も見当たらず。そのままなんとなく早めにザムザ阿佐ヶ谷に到着。携帯で音楽を聴きながら客入れ待ちをしました。

ややあって客入れ。客入れのご案内の方は数年前、日本冒険小説協会全国大会にお見えになっていて、著書も日本冒険小説協会公認酒場・深夜+1に置いてあった、女優さんでエロ短歌歌人の川上史津子さんでした。男装していらっしゃいます。職人さん風の衣装、髪も職人さん風に短く切って気合が入っています。

あ、今回は女性ばかりのキャスティングなのかしらと思いました。

「星の王子さま」。もちろん原作はサン・テグジュペリの童話。そしてそれをモチーフに寺山修司が演劇実験室◎天井棧敷のお芝居にしたのが今回の「星の王子さま」のオリジナル。

私の記憶が間違っていたら申し訳ありませんが、天井棧敷の「毛皮のマリー」はおかまバーのママさんから出演者をスカウトしたそうですが、その対として本作はレズバーのママさんから出演者をスカウトしたそうです。そのスカウトに九條今日子さんがレズバー巡りをしたとトークショーでお話を伺った記憶があります。

今回の「星の王子さま」でも、男性の出演者おふたり。おひとりは後述しますがお人形の操演の方、もうおひとりはおかまさんでレズビアン嗜好というちょっとややこしいセクシャリティの方みたいでした。

私の後もお客さんがたくさん入ってきて、満席状態でした。川上さんもお客さんを誘導していくのに大変そうでした。

んで、ややあって開演。

万有のお芝居でもたいていそうですが、今回の「星の王子さま」は緞帳を使わない方式。
舞台装置は宇野さんが美術を担当されているせいか、いい感じです。

ピンクを基調にした、古びた、元娼館の?ホテル。両脇が2階建てになっていて、セット中央に扉。ここらへんはAPB-Tokyoさんの寺山芝居の舞台装置と似たつくりになってます。真ん中に扉を設けるのも廻天百眼さんの舞台装置のよく見かけるパターンと似ています。また、2階建てとかで立体的に舞台装置を拵えるのは万有引力さんでもよく見かけます。
もともとの天井棧敷がこういう風だったのでしょうか。それとも、狭い舞台を広く見せる必然的な工夫なのでしょうか。
その扉とか、宇野亞喜良さんの?イラストレーションがあしらわれていて素敵でした。

あと、下手に奈落に降りていく階段が拵えられていました。
ザムザで何回かお芝居を拝見していますが、こういう使い方は初めてです。

まず、舞台に登場したのが蘭妖子さん。メイドさんです。羊のように白くてふわっとした髪に羊の角。ケモノ耳属性ってのもありますが、ツノもいいかもしれませんな。年齢を感じさせないのはさすがヴェテランの蘭妖子さんと思いました。
蘭妖子さんは寺山修司の「星の王子さま」について書かれた文章の一節を読み上げます。

そのホテルにやってくる、男装の女性と少女のふたり。なにやら訳ありの様子。それがお芝居の発端。天井なんかに星のちりばめられたホテル、老処女の(そして、老娼婦の?)ホテルの謎の女主人。それがお話の縦糸かと。

寺山芝居ですから、そのお話にフォーカスしてストーリーをぐいっと進めるのではなく。レビューのようにいろいろなイメージの積み重ね。つまり、「劇映画」に対する「実験映画」のように、ストーリードリブンではなく、イメージドリブンのお芝居です。

お芝居のところどころにオリジナルの「星の王子さま」のお話が挟みこまれます。男装の女性が演じる飛行士の「ぼく」。そして、「星の王子さま」はお人形です。この「星の王子さま」の声を舞台上で黒子としてあてるのが村田弘美さんでした。

このお人形、頭の後ろに棒がついていて、あと、手足とかは人形遣いの人がじかに手で持って繰演します。この繰演がうなるほどうまくて。ほんのちょっとした仕草に表情が感じられて、とても良かったです。お人形はあと、バラの花とヘビが出てきます。

黒色すみれさん。たくさん出てきて嬉しかったです。お芝居の合間合間に登場して歌を歌います。黒色すみれさんの楽曲はあまり詳しくないのですが、ライブで聴いた事のある歌もあったし、お芝居のための歌じゃなくて、いつもの持ち歌の演奏がメインのようでした。
大好きな「永久(とわ)に麗しくすみれの花よ」が何度か演奏されたので嬉しかったです。女工さんか少女歌劇団の労働争議の歌みたいな、かわいらしくて、勢いの素敵な歌なのですが。

劇中、ミニライブみたいなのがありました。渚ようこさんはそこでお歌いでした。渚ようこさんのほか、中山ラビさん、フラワー・メグさんといった「伝説の方々」のライブコーナーでした。中山ラビさんのギターを構える様子、むちゃくちゃかっこよかったです。フラワー・メグさん、70年代にモデルさんでデビューされた方のようですが、今でもとても素敵な方でした。数年前に拝見した新高恵子さんも素敵でしたし、やっぱり一流の方は年齢を超えますな。

ストーリーで展開していくのではなく、イメージの連なりで展開していく寺山芝居ですから、こういう風にライブとか挟み込まれてもいい感じだったのではと思います。ストーリーをぐぐっと展開していく普通のお芝居に唐突にこういうのを挟み込むと違和感が出るかもしれないと思いますし。
また、客席と舞台の融合、現実と虚構の融合という寺山芝居の趣向にもこういう方向性は合ってるのかもしれません。

美術も気が使われていて。さすが宇野亞喜良さんだなと思いました。ホテルに象頭のお客さんがやってくるのですが、手渡された部屋の鍵の頭が象の形をしてたりして。
あと、「毛皮のマリー」と対になる作品のせいか、毛皮のマリーと息子(こちらでは両方とも女性が演じています)が登場します。ふたりに手渡された鍵は、あまり良く見えなかったのですが、頭が蝶の形をしていたように見えたのですが…

劇中出てくる「星の王子さま」が着ていた上着、あの裾のふわっとした広がりも絶妙で原作のあの挿絵そのまんまな感じです。あれは着てみたい衣装です(似合わないって)。
黒色すみれさんの金色のドレスも素敵でした。

ほんと、こんなに楽しいお芝居はここ数年ぶりでした。
人形パートの「星の王子さま」のお話にもちょっとほろりときて。ほんと、ちょっとしたお人形の仕草が絶品であります。

いい気持ちでザムザ阿佐ヶ谷を後にしました。

んで、阿佐ヶ谷からアパートまで歩いて帰宅。
歩き回って腹ペコになって、帰りがけマクドナルドで大量購入。
だめじゃん。

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