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2009/03/08

ゴトウイズミ「昭和喫茶にて。」

090308 という方向で、先日独唱パンクで買ったCD、ゴトウイズミ+アコーディオンさんの「昭和喫茶にて。」のおはなし。プレーヤー機能つきの携帯電話に取り込んで、ここ数日勤務先の行き帰りに繰り返し聞いてます。

「昭和喫茶にて。」は同時リリースされた「ヲルガン座にて。」と対になる作品のようです。「昭和喫茶にて。」はゴトウイズミさんのアコーディオンソロ。「ヲルガン座にて。」は他のミュージシャンさんたちによるバンド編成のCD。「ヲルガン座にて。」は聴いてないのですが、ゴトウイズミさんのサイトのディスコグラフィによると、「昭和喫茶にて。」の最後の曲「よわいたましいのうた」以外、同じ曲名が同じ曲順で「ヲルガン座にて。」にも収められているようです。同じ曲のソロバージョンとバンドバージョンという事になるのかしら。

「昭和喫茶にて。」の収録曲は
1「君との喫茶店」
2「サーカス」
3「大人のインスト」
4「快楽パレード」
5「ハッピー」
6「妄想倶楽部」
7「マーチ」
8「よわいたましいのうた」
の全8曲。
「大人のインスト」と「マーチ」がインストゥルメンタルです。
アコーディオンのバルブか何かでしょうか、ペコペコいう音がちょっと混じってます。

私はこの歌の世界、“ゴシック&ロリィタ”と思ってます。異論のあるムキもございましょうが。
まるで夕日のように美しくて、かわいらしくて、いたいけで、やさしくて、そして、ほの昏くて、ちょっと後ろ向きで、さみしくて、死の香りがして。
キラキラとしたいたみを感じるという感じ。
聴きながら静かに目を瞑りたくなる歌たち。

「現実」に対する深い絶望と嫌悪。ノスタルジィはそれ故か…。

アコーディオンのどこか懐かしくて優しい、そして、失われゆくもののいたみ(痛み・悼み)を感じさせる音色と、ゴトウイズミさんの、少女のような懐かしくて優しくていたいけでいたみを感じさせる歌声、ぴったりマッチしています。

歌詞もまた、優しくて痛々しい世界。ここまで優しくて痛々しい世界を描けるのかと思うくらい深くて。(収録曲の歌詞は上掲のゴトウイズミさんのサイトのlylicsのコーナーに一部紹介されています)

「君との喫茶店」。“僕”が偶然迷い込んだ昭和のカヲリの喫茶店。“君”への淡い恋心。せつなさ。お店の外は現代、世知辛い世が待っておりますよ。「行こか!戻ろか?」

「サーカス」。ジンタのような懐かしさを感じさせる旋律もまたアコーディオンにぴったり。サーカスのテント小屋もまた夕焼け空が似合うような。歌の中では夜ですが。
「スローモーションのように叫ぶ「虚無」の観客タチに容赦ない犬タチが「現実」という牙を立てる」

「快楽パレード」。ひとり取り残された場所。そこから“現実”を捨ててパレードに出発。
そのパレード、なんとなく鈴木志保さんの漫画、「船を建てる」のラストのパレードみたいな感じ。
歌詞にでてくる「人生もう一度やり直せるとしても 同じ人生を繰り返すだけ」という思いは、今の私にも深くあります。
「「神様!私強くいきていきますっ!」なーんて、朝から軽い冗談とばす」なんて深い絶望のフレーズは、どこから出てくるのでしょう?ほんと、深いです。
「君は自虐的且快楽主義だ!」

「ハッピー」。恋人の死を受け入れられず、妄想の世界に入りつつある情景。
「君の大事なトケイは君の右手にあるはずで 僕が持ってるということ自体僕はまだ認めていないんだ」「今度喧嘩をしたら例え君が間違っていても、僕から先に謝るんだ、これはさっき決めたことなんだ。」ここまでいたみを深く深く描ききっていくなんて…。

「妄想クラブ」。好きな女の子との生活を妄想していて。しかしその子には恋人がいて。その妄想のほうに寄り添った歌です。妄想を責めるんじゃなくて。その妄想を抱く様、私にもありがちなので、痛いです。そう、いつもあの子がそばにいることを考えてたさ、一緒になってくれたら、そうなったらいいなって思ってたさ。いつもいつも…。

「よわいたましいのうた」。これもまたいたみにみちあふれていて。
「日当りの良さしかしらない人たちが束になって 日陰のことを悪く言う 善をもって」
「消しゴムで消えない傷は傷の上書きすればよい」
あうあうあう…。もう言葉にならないほど、深く私の心に沁みわたってきます。

日々隠し続けている生きる“いたみ”を、押し隠しているからこそ心を裏側からさいなんでいるその“いたみ”を、そっと優しく、共鳴する“いたみ”で触れてくれて、そしてその“いたみ”にそっと寄り添ってきて、優しく撫ぜてくれるような感触の歌たちでした。

こういう楽曲たち。決してメジャーにはなれないでしょうけど、でも、こういう世界が必要とする人たちは少ないながらもいて、その人たちにとっては切実に必要なものだと思います。

ここでこういう文章をグダグダ並べるより、ゴトウイズミさんのサイトで視聴できたりしますから、どうかそちらをご覧になってください、そして、心に触れたなら、CDをお買い上げくださいとBUFFメ平伏いたします。

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コメント

通りがかりですいません。
僕も聞きました。
自信に溢れた「所在なさげ」が素晴らしいと思います。
バンドバージョンもなかなかにカラフルです。
でもソロの方が夜中っぽいです。

投稿: サニー | 2009/04/21 15:39

◎サニー様
初めまして!であります。
>自信に溢れた「所在なさげ」が素晴らしいと思います。
私がウンウン唸って言葉を連ねて表せなかった事、ほんとひとことで言い表していらっしゃいます。凄いです。

このあと『私は哀しいアコルデオン弾きなの』も買いました。
『ヲルガン座にて。』も購入予定です。
(東京だと高円寺の円盤ってお店で扱ってるみたいです)

またゴトウイズミ+アコーディオンさんのライブが東京でないかなと楽しみにしています。

投稿: BUFF | 2009/04/21 18:16

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