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2008/11/25

市街劇『人力飛行機ソロモン 松山篇』

さて、休み中の行状録、まずはやっぱりこの話からです。
松山で行われた市街劇、『人力飛行機ソロモン 松山篇』。

「市街劇」というのは、寺山修司の劇団、演劇実験室◎天井棧敷が行ったのが初めて。と、したり顔で書いていますが、ほんとのところはあまりよく知りません。例えば街頭ハプニングみたいなのはかつてのアンダーグラウンドであったわけですし、もっと言えば、大道芸の世界もあるわけですから。そもそも「市街劇とは何ぞや」という設問には私はうまく答えられないのですが。文字通り“劇場”ではなく、“市街”で展開される劇、という程度の認識であります。

市街劇というのは初めてです。私が初めて行った演劇実験室◎万有引力の公演『百年気球メトロポリス』はパルテノン多摩一帯を使い、あちこちで同時多発的に発生する“劇”を俳優さんに引率されて観て回る、準・市街劇と呼ぶべき趣向の公演でしたが。とても面白くて、万有にはまるきっかけとなった公演でした。

“劇場”という隔離施設を飛び出し、“現実”に解き放たれた“演劇”。本田透式に言えば、“三次元”に絶望し、“二次元”に安息を感じている私にとって、“二次元”による”三次元”の侵食行為はワクワクするものであります。

で、今回の市街劇公演に、行こうかどうしようかずいぶん迷ったのですが、何とか見に行けるめどがついて、見に行った次第。

今回の公演は、演劇実験室◎天井棧敷と月蝕歌劇団、それからまことクラヴさん、などなどの合同公演のようです。公募された松山市民も参加されているとか。
演劇実験室◎万有引力。寺山修司没後、演劇実験室◎天井棧敷のJ・A・シーザー(高橋咲さんが『十五歳 天井棧敷物語』で確か、「寺山修司を天井棧敷の頭脳とするなら、J・A・シーザーは天井棧敷の顔である」というような事をお書きになっていたと記憶しています)が設立した劇団。月蝕歌劇団。寺山修司のスタッフを勤めた高取英の劇団。暗黒の宝塚。
月蝕歌劇団はあまりよく知らないのですが、寺山系二大劇団のタッグというのも興味深いところです。wktkですな。

という方向で故郷から夜行バスで松山へ。着いたのは7時半。お天気はあいにくの雨。公演は12時スタートですから、ちょっと市内観光しようかとも思ったのですが。気もそぞろでその気になれず。モーニングサービスのはしごをちょっとして、どんな感じの場所かちょっとあたりを歩いて、あとは地図配布場所の松山市役所前の地下のベンチとかある小コーナーで地図配布開始の11時までドキドキしながら座ってました。

11時に地図配布開始。1975年に天井棧敷が行った『市街劇ノック』公演の地図を拝見したことがあるのですが。イラストマップみたいなあいまいな地図でした。今回の公演で配布される地図がそのタイプだったら、観光地図も入手してつき合わせて計画を立てなきゃと思ったのですが。駅近くに紀伊国屋書店のビルも見つけてましたし、要るならそこで買おうと。

しかし、今回の地図はきちんとしたものでした。えと、どーせなら、公衆便所とかの場所も載っけておいて欲しかったぞと。
あと、正岡子規のお面も配布されました。入場を限っている場所にはパス代わりということにもなります。

それから昼食を適当に済ませて、やがて12時。

まず、プロローグ「百年鐘=歴史の蹉跌」が開かれているとおぼしき場所へ。
商店街の入り口みたいなところでした。赤い、滑走路のような帯。帯の端は自動車運搬トレーラーのスローブを利用して、ジャンプ台のようになってます。
左右、高い足場の上で、手旗信号を送る白いセーラー服(学生服じゃなくて水兵服のほう)の少女。
うごめく黒服、白塗りの人たち。丸刈りに頭を丸められていく男。自転車を盗まれる郵便配達夫。スタートする長距離走者。

それから市役所裏の校庭で行われている「1メートル四方1時間国家」。これは12時からフィナーレの開始時間まで長時間行われている演目です。これをちょっと拝見して。
それからデリシャスウィートスさんもご参加なのを地図で知って、デリシャさんの公演場所へ。

松山市内は市内電車が走ってます。電車賃は150円なのですが、1日有効のフリーパス券が300円です。ある方のアドバイスでそれを買って、大いに利用させてもらいました。

演目は大きく分けると固定型と移動型に分かれるようです。固定型は場所を固定して行われる演目。移動型は場所を移動しながら行われる演目。路上パフォーマンスといえばいいかな。追いかけっこする東独軍陸軍上着(ミリオタですから、私)を着た女の子たち、ダンス、長距離ランナー、理由は解らないのですが、自転車に乗って通り過ぎる白塗りの人。

デリシャさんの演目を拝見して、松山市駅に戻って伊予鉄で石手川公園駅へ。いや、ひと駅だから歩けばいいんですが。偏陸さんの演目が始まるようでしたが、見当たらず。どうやらそこはゴール地点だったのかもしれません。そのままサロンキティというところに行って寸劇。サロンキティというところは、どうやらビルひとつライブハウスとかイベントスペースになってる場所みたい。こういうスタイルのライブハウスは初めてなので面白かったです。

それから市の中心部に向かいながら演目をいくつか。観客が化粧したり衣裳を貸してくれるスペースもあるみたい。気がつくと白塗りして衣裳をつけたお客さんの姿もちらほらでした。つうかそういう観客、けっこう多いぞ。さすがに私はその勇気はなかったのですが。

デブですから歩くのは苦手。商店街のベンチでジュース片手にへばっていると女優さんがやってきて、封筒をひとつ手渡されました。「なんだなんだ」と中身を見ると、指示がかかれた紙切れ。これが「振り向かないでください」という演目みたい。指示通りちょっと体を動かすと、強ばった体が伸びていい感じでした。

それから「1メートル四方1時間国家」がどうなったのかちょっと覗こうとしたけど、どうやら終りで撤収中みたいでした。それから俳優さんについていって、公民館みたいな場所へ。そこがフィナーレの「思想への離陸」の会場みたいでした。

左右、高い足場の上に手旗信号を送るセーラー服の少女ふたり。そして、今回参加された俳優さん&女優さんでしょうか、大勢の人たちによる言葉と歌と踊り。そして観客を舞台に上げての記念撮影。1時間半くらいあったかな?けっこう長かったです。
そして会場から外に出ると、こんどはグラウンドにしつらえられた人力飛行機とパフォーマンス。雨の中。

お天気じたいは降ったり止んだりでした。合羽を荷物に入れていくかどうか出発間際まで悩んだのですが。入れとけばよかったです。しかし合羽を着るとこんどは蒸れるんだよなぁ。

終演後、時間に余裕があれば軽く一杯ひっかけようと思いましたが、どうもそこまでは時間の余裕はなさそうだったので、松山市駅前のインディーズ系の?牛丼屋さんで牛丼を食べて、コンビニでお酒とおつまみをちょっと買って、新宿行きの夜行バスに乗り込みました。

地図によると、トータルで50くらい演目があったのですが、目にできたのはほんのわずか。もちろんそれも市街劇の趣向です。すべてを見渡せる「神の視点」を持てる“劇場”演劇と違い、すべてを観る事は誰にもできない。そして、「出会わなかったことも出会いのうち」なのだと思います。
しかしやっぱりもうちょっと動けたらよかったなと思います。見たかったけど見られなかったのもけっこうあるし。お天気が良かったらレンタサイクルを探せば良かったかもしれません。

でもほんと、見られて良かったと心から思います。そして、また見たい、体験したいなぁと思いますが。どこかでやってくれるところ、また現れたらいいのですが。

081125 配布された地図と正岡子規のお面と「振り向かないでください」の指示が書かれた紙。
あとバックは今回の公演グッズのタオルです。小さめのバスタオルくらいの大きさ。公演前、どうやらこのタオルをポスター代わりにして掲示していたらしく、新品が千円、その掲示に使われた中古が五百円でした。新品を買いましたが、中古を買っても面白かったかもしれません。

松山市内をうろつきながらけっこうジュース類を飲みましたが…。
そういやせっかく愛媛に行ったのだからポンジュースを飲むべきだったなぁ。
つうか自販機では見かけなかったような気もする…。

松山だと蛇口からポンジュースが出てくるんでしたっけ?

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» 黒く塗れ [confetti]
虚構の中にいて、見えなかったもの。 思い立って、ネットの海を検索してみた。 搭乗員も観客も、当たり前だけれど、人それぞれ感じ方も見えているものも違っていて、面白い。 区切られた劇場の中だけでは、忘れてしまいがちだけれど、確かにそうなのだ。見えているものも聞こえているものも、感じていることも、誰ひとりとして同じはずはない。 それでも、あの人力飛行機離陸の瞬間、どうしようもないほどの一体感があった、と思うのは、贔屓目だろうか。 勝手にトラックバック、失礼します。...... [続きを読む]

受信: 2008/12/01 01:55

» 僕は知らない寺山修司NO.113⇒市街劇「人力飛行機ソロモン 松山篇」 [飾釦]
この市街劇をみてから、かなりの日数が経ってしまっていますが、この市街劇の前に続けて歌舞伎、泉鏡花の朗読と観て来てそれに関する記事を、ボクの個人的な気持ちで週間単位で書いていきたいという想いがあり、記事のアップが遅くなってしまいました。以下の文章は市街劇を見た夜にホテルで書いたものです。ですから市街劇の生々しさが残っています。 市街劇「人力飛行機ソロモン 松山篇」 ■日時:2008年11月24日(月)、12:00〜 ■劇場:松山市市内各所 ■言語:寺山修司 ■総指揮・演出・音楽:J・A・シーザー ... [続きを読む]

受信: 2008/12/08 21:51

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