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2008/11/15

『略奪の群れ』

『略奪の群れ』(ジェイムズ・カルロス・ブレイク:著 加賀山卓朗:訳 文春文庫)
読了。ほんと久しぶりのまっとうな冒険小説です。
深夜+1の方のおススメで読んでみました。ジェイムス・カルロス・ブレイクは『無頼の掟』を読んでます。2冊目。『無頼の掟』はギャング物ですが、『略奪の群れ』もまたギャング物であります。

時代背景は禁酒法末期ごろ、大恐慌のさなかです。『無頼の掟』は確たる年代は描かれていないのですが、こちらもその頃あたりを舞台にしているようです。ジェイムス・カルロス・ブレイクはローリング・トウェンティーズあたりのギャング物の作家さんなのかしら?

本書は主人公、ハリー・ピアポントの死刑執行の前日からお話が始まります。彼の生い立ちからギャング時代の回想という筋立てです。
ハリー・ピアポントは伝説のギャング、ジョン・ディリンジャーの一味だったとか。巻末の訳者あとがきによると起きた事は史実をなぞっているようですが、お話しとしてはフィクションであるということです。

う~ん、これは『無頼の掟』でもそうだったんですが…

いまひとつのめりこめませんでした。

うん、本書がとても面白いのは伝わってくるんです。無茶苦茶面白いって。でも、のめりこみはできませんでした。たぶん、主人公像が受け付けないのだと。これはほんと、『無頼の掟』でもそうでした。

無法者(アウトロー)。でも、己の掟は持っていて、それは守る、そういう意味では誇り高い主人公。イケメン、モテるけど、自分の掟において女性に対して真摯に接し、女を使い捨てにはせず、恋人として大切にする。
かっちょいい人物像であります。たぶん、お好きな方にはとてもハマれるのではないかと。

ただ、あたし的にはどうも好きになれないんです。

私はヤクザ映画とかが苦手なんですが。そのせいかもしれない。
でも、ピカレスク物、犯罪物でも読めるんですが。ただ、どこか、追い詰められてそうなったとか、犯罪を重ねながらも心のどこが苦悩しているとか、あるいはダークな空気を漂わせているとか、そういうファクターがないとダメみたい。そういうファクターがあって面白ければ読めるんですが。そのファクターが本書にはありません。本当に“屈託ない”というか。

その、“屈託なく”犯罪を重ね、恋人を愛し、強盗したカネで享楽的に生きている姿が好きになれないのではないかと。たぶん、あたしはどっか“鬱屈”を抱えた人物じゃないと好きになれないのではないかと。根暗ですから…

うん、何度も書きますが、とても面白い本でありました。それは頭では理解できるのですが…。でも、これほど「面白い!」と解りながら、でも没入度がいまいちって読書体験も珍しいです。

車の描き方が印象的でした。やっぱりアメリカ人は車に対する憧れがあるんだなって、力と自由の象徴とかいう意味もあるんでしょうね。
女性の描き方もいいです。なんていうのかな、女性そのものじゃなくて、男から見た女性の描き方というか。

『略奪の群れ』、面白本とは理解していますし、お好きなタイプであろうおススメもできます。
今回も日本冒険小説協会大賞を取れそうなグレードであるかもしれません。私はあまり読んでないのでそういう事を断言する事はできないのですが。あたしも主人公たちに違和感を感じながらもけっこうグイグイと読めましたし。

いや、ま、おススメであるという方向で。

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