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2008/09/28

映像の地下水脈#8

土曜日のダブルヘッダー第2試合は高円寺のMatching Moleさんでのかわなかのぶひろ先生の上映会、『映像の地下水脈#8』でした。

今回のプログラムは、
かわなかのぶひろ作品として
『私小説4』(1990)
『旅の繪6 青い映画』(2008)
ゲスト作品として、
『窓際の白い花が一刻もはやく枯れますように!』(三角みづ紀/DV/15分/2008)
『落書き色町』(平岡香純/DV/30分』
でした。

『私小説4』。本作は、なんていうのかな、ストーリーらしきものは一切ない、解説はもちろんテロップすらない、純粋に”映像”のみで構成された作品です。

何度も何度も何度も書いていますが。スペクタクルでもない、美男美女が出てくるわけじゃない、ほんと、日常的な光景の断片を細かく積み重ねていって、一歩間違えれば退屈になりそうなのを、というか、よほどのセンスでこしらえないと退屈になりそうなのを、飽きさせない、画面から目が離せない、作品に仕上げられています。

ほんと、なんでこういう作品で目が離せなくなるんでしょうか?これは、かわなか先生の作品を初めて見たときの驚きと戸惑いでした。初めて実験映画を見た時でもあるのですが。

それまで普通の人と同じく、私も映画ってのは劇映画しか知りませんでした。スクリーンに展開されるのは、非日常的なストーリー、非日常的なスペクタクル、非日常的な美男美女。例え“日常”を描いたとうそぶく作品もそうでした。だって僕たちにとって“日常”は退屈極まりない、つまらないものだもの。それから離れるために映画館に足を運んでスクリーンに見入るのだもの。

『映像の地下水脈』シリーズでは毎回かわなか先生の新作がかかります。今回の新作は『旅の繪6 青い映画』でした。

『旅の繪』シリーズは海外で撮影された作品だったのですが、今回は国内の地方都市を舞台にした作品。

現代から取り残された、50年代の風情を残す古びた建物、そして、神社の境内で開かれていた骨董市の風景、そこでかわなか先生が手に入れた撮影済み8ミリフィルム。

8ミリフィルム、ひとつはお花見の様子を写した家族の映画でした。子供とおばあちゃん?とか。もうひとつはモノクロのブルーフィルム。

家族の映画、それが手放されて骨董市で売られている。その他にも骨董市に並ぶ“思い出”たち。それを買うこと。
なんか、『ブレードランナー』で生まれて数年しかたってないレプリカントたちが古い写真を、“思い出”を大切に持ち歩いてるのを思い出しました。『M/世界の、憂鬱な先端』(吉岡忍)の描く「今・ここ」に薄くスライスされた現代人のありよう。現代人はレプリカントみたいな存在かもしれません。

そして、ゲスト作品。

三角みづ紀さんの『窓際の白い花が一刻もはやく枯れますように!』。三角みづ紀さんは詩の賞をいくつか受賞されている、キャッチフレーズ的に言えば、「新進気鋭の女流詩人」、でもあります。

『窓際の白い花が一刻も早く枯れますように!』。道端に捨てられていた男の子と、彼を拾った女の子のおはなし。
男の子は白い花を持っていて。それが一刻も早く枯れますように、そして、それで、彼が絶望しますようにと祈る女の子。

どういう機微なのかしら?絶望して、私に、私だけに依存しなさいという意味なのかしら?
だとしたら、彼を絶対的に自分に引き止めたい、彼女の深い絶望と孤独もまた、伝わってきます。

『落書き色町』。大阪の平岡香純さんの作品。本作は「調布映画祭2008 第11回ショートフィルムコンペティション」のグランプリ作品であります。そちらもお伺いしました。

本作はストーリー作品というよりイメージ作品です。古びた木造家屋の町並み。そこを縦横に駆けめぐる娼婦たち。カラフルな着物、そこからこぼれる肌。ほんと、映像美でしたし、艶めかしかったです。

上映後、平岡さんと三角さんのトーク。おふたり同年代。そして、平岡さんはバンドとかダンサーもなさっているし、三角さんも音楽関係の人脈が豊富です。というか、三角さんと初めてお会いしたのはチバ大三さん主催のライブだったのですが。

上映後、かわなか先生たちと阿佐ヶ谷の山路でちょっと呑んで帰宅しました。

土曜日の2つのイベント、両方とも不思議なご縁がたくさん絡んでいて、ほんと、私って恵まれているなぁと思いました。ただ、ご縁のあった方々のお役にどれだけ私がたっているか自信はないのですが…

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