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2008/08/20

『オウバアキル』

『オウバアキル』(三角みづ紀:著 思潮社:刊)
読了。詩集です。

三角みづ紀さんに初めてお会いしたのは何年前だったかな。あるライブイベントの時でした。
その時みづ紀さんの映像作品が上映されて。で、主宰の方が「三角みづ紀さんは造形大の学生さんです」という紹介をされて。それで、もしやと思って、思い切ってみづ紀さんに声をかけてみました。
「かわなかのぶひろ先生はご存知ですか?」って。

もう定年退職されてますけど、かわなか先生は当時造形大で教えていらして。だから、ご存知かなぁと思って。ご存知で、授業を受けた事があるというお返事でした。
んで、「造形大で映像をやっていて、かわなか先生につかないのはおおぞんである」なんておススメしてしまいましたが。いや…。

それから第1詩集『オウバアキル』が詩の賞をダブル受賞して、という話も耳にしました。

ただ、どうも、今まで三角みづ紀さんの詩はネットで拝見したり、ブログを読んでいたものの、詩集は読んでいませんでした。ゴメンナサイ。なんかちょっと手を出しかねていて。

詩稿とか先日書きましたし、ポエトリーリーディングというのも見たりしていますけど、でもなんかちょっと“詩”というのは恥ずかしくて、何となく手を出しかねていました。
みづ紀さんの映像作品『東京心中』は見に行ったりしてたんですが。『東京心中』は青い部屋でのライブつき上映会、かわなかのぶひろ先生の『映像の地下水脈』と、2度見ているのですが。なんか詩集は買ってなくて。

先日、造形大で学生さんたちの上映会とかわなか先生の映像パフォーマンス『つくられつつある映画』を見に行って。で、久しぶりに三角みづ紀さんとお会いしました。もう松葉杖はついていらっしゃらなかったので安心しましたが。

三角みづ紀さんは『つくられつつある映画』でリーディングで参加されました。映像作品の上映もありました。みづ紀さんのリーディングを聞いていて、なんか言葉がすっと入っていくなぁと思いました。

それで、やっぱりみづ紀さんの詩集を読みたくなって、本書に手を出したわけです。

うん、『オウバアキル』でも不思議と言葉がすっと入っていく印象でした。「わかった」とはちょっと違う感覚なのですが。これはいままで他の人の詩集を読んでも、リーディングを拝見していても、受けなかった印象です。ほんと、不思議な感触がします。

実はみづ紀さんの詩の世界、どこか「閉じている」のではないかと先入観を持っていました。たぶん、私が普段お会いする、みづ紀さんぐらいの年頃の女性に受ける印象がそういうのが多い感じがするのです。

彼女たちは、独自の世界を持っていて。たぶん、私は門外漢。入る事は許されない、入ってはいけない、入って荒らしてはいけない、そういう世界。
きれいな、という言い方は違うかな、独特の雰囲気、例えばゴシック&ロリィタだったりするんですが、そういう彼女たちの世界を、壊さないように、そっと息を詰めて塀越しに眺めている。そういう感覚を持ってました。
ちょっとでも欲を出して入っていこうとすれば、たぶん、彼女たちを壊してしまい、あたしは傷つくのではないかと。そういう感覚。

でも、みづ紀さんの詩は違いました。向うからすっと言葉がわたしの中に入ってきました。
ほんと、不思議。

立島夕子さんの絵の世界に似ているかなぁ。ぱっと見には凄惨な印象だけど、近づいて拝見すると不思議と暖かい、優しい感じがする、心が安らぐ、そういう感触に似ているかなぁ。

私は
にんげんがすきなのだよ
お前のみえないところから
血を流しているのだよ
帰れといわれても
帰る場所がないのだから
帰らなくていい公式も持っているし
にんげんがすきだから
失望したくはないし
(21-22p「ソナタ」より)

三角みづ紀さんのブログを拝見していても思うのですが、ほんと、どうやってこういうことばを思いつくのでしょう。私にはとても思いつけません。やっぱり賞を沢山とっていらっしゃる方だなぁという感想も持ちます。
『オウバアキル』は3刷だし、たくさんの人に読まれて欲しいなと思っています。

さて、もうちょっとしたらまた一冊、みづ紀さんの詩集を買いましょう。
ほんと、もっと早くに読んどくんだった…。

三角みづ紀さん、10月には朗読会があるようです。それもこの前の日曜日に三上寛さんのライブを見に行った西荻窪のZEN PUSSYで。ほんと、不思議なご縁です。
オープンマイクもあるようです。ちょっとやってみたいなぁと思ってます。
ただほんと、三角さんの詩に触れると私のレベルなんて低すぎて困ったものですが…

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